川口俊和による日本の戯曲 ウィキペディアから
『コーヒーが冷めないうちに』(コーヒーがさめないうちに)は、川口俊和による日本の戯曲。当時、劇団音速かたつむり(2011年解散)主宰の脚本家・演出家の川口が主宰する演劇ワークショップ公演として、川口演出で2010年3月に初演された。過去に戻ることができると噂の喫茶店を舞台に、4つの奇跡の物語を描く。第10回(2013年)杉並演劇祭演劇大賞受賞作。
2015年に川口著により同名で小説化され、のちシリーズ化。また、2018年に同名小説および続編小説『この嘘がばれないうちに』を原作として映画化された。
当時、劇団音速かたつむり(2011年解散)の脚本家兼演出家として活動していた川口俊和が手掛けた舞台作品で、2010年3月[1]の演劇ワークショップ用に書き起こされた[2]。2011年2月にあらためてキャストを集めて公演が行われ、それを見に来た編集者が感動し声を掛け、2015年に小説として出版された[2][3]。
以降も幾度か再演され、2013年3月に行われた公演が第10回杉並演劇祭大賞を受賞。2017年、本屋大賞にノミネートされた[4]。
親のない20代の女性・時田数(かず)と叔父が営む古い喫茶店。この喫茶店の特定の席に座ると過去にタイムスリップ出来るとの都市伝説がある。その伝説を聞きつけて店の常連になる大学生の新谷亮介。しかしタイムスリップするには複雑なルールがあった。
気の強いOLの二美子は、幼馴染の五郎に呼び出され、この喫茶店で会った。その足で空港に向かいアメリカに旅立つという五郎。相談もなかったことに怒った二美子はケンカ別れしてしまった。しかし、内心で五郎を慕っている二美子は1週間後に店に押しかけ、五郎と会った日に戻せと騒いだ
タイムスリップしても過去は変えられないと話す数(かず)。しかも、数が淹れたコーヒーが冷めない内しか時間はなかった。それでも戻ろうとする二美子。だが、問題の席には、いつも一人の女性が座り、彼女がトイレに立つ間しかタイムスリップは試せなかった。無表情に座る女性はタイムスリップに失敗した幽霊だと話す数。
過去に戻っても吾郎とケンカをする二美子。だが、五郎が恋人と別れたことは分かった。現在に戻った二美子は会社を辞め、五郎を追ってアメリカに旅立った。
常連の中年女性・佳代は若年性認知症で夫の房木に世話されながらも、彼が夫だと認識していなかった。それでも、過去に戻って夫に渡せなかった手紙を渡したいと話す佳代。その手紙を妻から受け取りたい房木はタイムスリップし、認知症が軽い頃の佳代から手紙を渡された。それは、記憶が無くなっても最後まで夫婦でいたいというラブレターだった。房木は、彼が誰だが分からない佳代に改めてプロポーズした。
八絵子は仙台の老舗旅館の長女だったが家業を妹に押し付け、喫茶店の近くでスナックを経営していた。仙台から度々上京し、姉への手紙を喫茶店に預けて行く妹の久美。だが、八絵子は一度も手紙を読まなかった。
そんな時、久美が交通事故で亡くなった。久美が喫茶店に居た日にタイムスリップし、初めてじっくり話す姉妹。久美が姉と一緒に旅館を経営したかったのだと知った八絵子は、旅館を継ぐ決意を固めた。
その頃、数と店の外で会うようになる亮介。いつも寂しげで友達もいないという数のために、友達に名乗りを上げる亮介。
タイムスリップの席に座っている幽霊が、数の母親だと知る亮介。数が6才の時に、数の母親はタイムスリップし、帰るために飲み干さなければならないコーヒーを飲まなかった。そのために幽霊になったのだ。母親に捨てられたと、ずっと心の傷になっている数。
亮介は大学を卒業し社会人になった。亮介と交際し、やがて妊娠する数。しかし、数は幸せになることに臆病だった。母がタイムスリップするときにコーヒーを淹れたことを、数は罪だと感じているのだ。
数をタイムスリップさせて母親と会わせたい亮介。だが、タイムスリップするコーヒーは時田家の女性しか淹れられず、現在は数一人きりで、自分で淹れても失敗するだけだった。そこで一計を案じる亮介。
ある日、店に呼び出された数の前に見知らぬ女子中学生の未来(みき)が現れた。数のためにコーヒーを淹れ、タイムスリップさせる未来。過去に戻った数は、母親のタイムスリップの理由を知った。病弱な母親は余命3ヶ月と宣告され、自分の亡き後の数が心配で、数が必ず店にいる4ヶ月後のクリスマスを目指してタイムスリップしたのだ。母親と再会した幼い数は泣きじゃくって怪我をし、心配した母親は戻るためのコーヒーを飲みそこねて幽霊になったのだった。
母親と話し、自分が捨てられたのではないと安堵する数。改めて母親にコーヒーを飲ませて、数は現在に戻った。未来の姿は消えていたが、彼女が、成長した自分の娘だと知る数。亮介は十数年後に実行する長い計画を立てたのだ。いつの間にか消えている母親の幽霊。結婚した数と亮介は娘の未来を育てて幸せに暮らした。
時田 数(かず):喫茶店を経営する若い女性
時田 要:数の母親
新谷亮介:大学生。数の恋人
二美子:OL
五郎:二美子の幼馴染
高竹佳代:認知症の女性
房木康徳:佳代の夫
平井八絵子:スナックの経営者
久美:八絵子の妹
未来(みき):数と亮介の娘
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コーヒーが冷めないうちに | ||
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著者 | 川口俊和 | |
発行日 | 2015年12月6日 | |
発行元 | サンマーク出版 | |
ジャンル | 小説 | |
国 | 日本 | |
言語 | 日本語 | |
形態 | 四六判並製 | |
ページ数 | 348 | |
次作 | この嘘がばれないうちに | |
公式サイト | coffee-book.jp | |
コード | ISBN 978-4-7631-3507-0 | |
ウィキポータル 文学 | ||
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この嘘がばれないうちに | ||
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著者 | 川口俊和 | |
発行日 | 2017年3月20日 | |
発行元 | サンマーク出版 | |
ジャンル | 小説 | |
国 | 日本 | |
言語 | 日本語 | |
形態 | 四六判並製 | |
ページ数 | 303 | |
前作 | コーヒーが冷めないうちに | |
次作 | 思い出が消えないうちに | |
公式サイト | www.sunmark.co.jp | |
コード | ISBN 978-4-7631-3607-7 | |
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思い出が消えないうちに | ||
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著者 | 川口俊和 | |
発行日 | 2018年9月25日 | |
発行元 | サンマーク出版 | |
ジャンル | 小説 | |
国 | 日本 | |
言語 | 日本語 | |
形態 | 四六判並製 | |
ページ数 | 382 | |
前作 | この嘘がばれないうちに | |
公式サイト | www.sunmark.co.jp | |
コード | ISBN 978-4-7631-3720-3 | |
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川口俊和の著で小説化され、シリーズ第1作『コーヒーが冷めないうちに』が2015年12月5日にサンマーク出版より刊行された。「4回泣ける」小説として話題を呼び、累計発行部数が20万部を越えて2017年(第14回)本屋大賞にノミネートされ、第10位となった[6][7]。
同じ喫茶店「フニクリフニクラ」を舞台に6年後を描いたシリーズ第2作『この嘘がばれないうちに』(このうそがばれないうちに)が2017年3月20日に[8]、北海道・函館にある「喫茶ドナドナ」を舞台としたシリーズ第3作『思い出が消えないうちに』(おもいでがきえないうちに)が2018年9月25日に[9]、第1作の一年後を舞台としたシリーズ第4作『さよならも言えないうちに』が2021年9月に同社より刊行された。
大学時代の友人(皆藤考史)に誘われてたまたま本作の舞台公演を観たサンマーク出版の編集者・池田るり子が「8回くらい泣いた」と語るほど感動し、終演直後に「これを小説にしませんか?」と川口俊和ヘ小説化を依頼。川口の初の小説として、4年の歳月をかけて書き上げられた[8][10]。
シリーズ第1作が85万部を突破し続編となるシリーズ第2作『この嘘がばれないうちに』が[8]、さらに第1作および第2作の映画化(後述)にあわせて第3作『思い出が消えないうちに』が執筆されている[9]。同シリーズは2023年7月時点で37言語で刊行、2023年9月時点で累計370万部突破[11]。余談であるが上述の友人は、池田の計らいでシリーズ全作に「協力」として名前がクレジットされている。
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FeBe(現・audiobook.jp)が配信している。
2016年10月に配信が開始された[12]。
2018年6月に配信が開始された[13]。
Audibleから「コーヒーが冷めないうちに」が2018年8月[14]、「この嘘がばれないうちに」が2019年4月[15]に配信が開始された。キャストは一人語りで白川周作が担当した。
小説『コーヒーが冷めないうちに』『この嘘がばれないうちに』を原作として映画化され、2018年9月21日に公開された[17]。主演は有村架純。監督は塚原あゆ子。 2019年、第42回日本アカデミー賞話題賞・新人俳優賞を伊藤健太郎が受賞。
全国307スクリーンで公開され、2018年9月22日 - 23日の全国週末興行成績(興行通信社)では観客動員が15万6000人、興行収入2億300万円を記録し、初登場2位となった[18]。映画公開4日間(2018年9月21日 - 24日)では観客動員29万5000人、興行収入3億7400万円となっている[18]。2019年1月発表の総興行収入は15.0億円[16]。
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