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ドイツ語圏の爵位 (Graf) ウィキペディアから
グラーフ(独: Graf、女性の場合はグレーフィン(独: Gräfin))は、ドイツ語圏(神聖ローマ帝国、ドイツ帝国、オーストリア)における貴族の爵位の一つ。古高ドイツ語ではそれぞれグラーフィオ(grafio)およびグラーヴォ(gravo)であり、これは中世ラテン語のグラッフィオ(graffio)さらにビザンティン・古代ギリシア語のグラフェウス(grapheus、書記)に由来すると考えられている。これに対し、フランスやイタリア等で同等の伯爵に相当するラテン語のコメス(comes、仏: comte/comtesse、伊: conte/contessa)は、ローマ帝国後期の帝国高等財務官(comes largitionum)に由来する。
グラーフは一般的には伯爵に相当するが、グラーフの意味するものは幅広く、神聖ローマ帝国における帝国諸侯(ライヒス・グラーフ)を意味することもあれば、封土を持たない名誉称号的な伯までをも指す。方伯、辺境伯、宮中伯などのグラーフは、神聖ローマ帝国の序列で伯爵よりも上の、フュルストに次ぐ扱いであった。また、後代に増加する諸伯は、フュルスト並みに扱われた[1][2]。
グラーフの語を含む爵位には、以下のようなものがある。また歴史上、この他のグラーフも見られる。
ドイツ語 | 日本語訳 | 英語(参考) | 語源・備考 |
---|---|---|---|
Markgraf | 辺境伯 | Margrave (大陸のみ)、Marquess | Mark = march (辺境) + Graf。帝国の国境付近の統治者。 |
Landgraf | 方伯 | Landgrave | Land (地方) + Graf。特定の地方全体の統治者。 |
Reichsgraf | Imperial Count | Reich = (神聖ローマ) 帝国 + Graf。皇帝により授与あるいは認証された爵位。 | |
Gefürsteter Graf | Princely Count | 「諸侯(fürst、フュルスト)とされた」 + Graf。 | |
Pfalzgraf | 宮中伯 | Count Palatine、Palsgrave (古英語) | Pfalz (宮廷領) + Graf。もとは「宮廷の権力によって統治」したが、 後代には「宮廷の領土を統治」する者の意となった。 |
Rheingraf | ライン伯 | Rhinegrave | Rhein (ライン川) + Graf。ライン川に画された領邦の統治者。 |
Burggraf | 城伯 | Burgrave | Burg (城) + Graf。城塞を中心とした領邦の統治者。 |
Altgraf | Altgrave | Alt (古) + Graf。帝国による認証よりも遡る時代から有する伯位の家柄。 ザルム家のみが有する。 | |
Freigraf | 自由伯 | Free Count | Frei = 自由 + Graf。 |
Waldgraf | Wildgrave | Wald = 森林 + Graf。森林に覆われた地方の統治者。 | |
Raugraf | Raugrave | Rau (未開地) + Graf。未開地の統治者。 | |
Vizegraf | 副伯 | Viscount | Vize = vice- (副) + Graf。 |
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