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クロユリ(黒百合、学名: Fritillaria camschatcensis)はユリ科バイモ属の高山植物。別称はエゾクロユリ(蝦夷黒百合)。
多年草。地下にある鱗茎は多数の鱗片からなる。茎は直立して高さ10-50cmになり、3-5輪生する葉が数段にわたってつく。葉は長さ3-10cmになる披針形から長楕円状披針形で、質は厚く表面はつやがあり、基部に葉柄はない[1][2]。
花期は6-8月。花は鐘状で、茎先に1-数個を斜め下向きにつける。花被片は6個で、長さ25-30mmの楕円形で、暗紫褐色または黒紫色になり、網目模様があり、内面の基部に腺体がある。雄蕊は6個あり、花被片の半分の長さ。花柱は基部から3裂する。花には悪臭があり、英語では「skunk lily(スカンクユリ)」「dirty diaper(汚いオムツ)」「outhouse lily(外便所ユリ)」などの別名がある[1][2]。
北海道以北の低地に分布する染色体数が3倍体3n=36で、草丈が高く50cmになり、花が3-7個つくのものをエゾクロユリ(基本変種)と、日本の本州、北海道の高山に分布する染色体数が2倍体2n=24で、草丈が10-20cmのものをミヤマクロユリ(変種)と分類する場合がある[1][3]。
日本の北海道、千島列島、ロシア連邦のサハリン州、米国に分布。高山帯の草地に生える。
本州では、東北地方の月山、飯豊山。 中部地方の白山で、室堂周辺などに大量に群生しているのが見られる。石川県の「郷土の花」である[4](「県花」ではない[5]。)。
アイヌ料理では鱗茎を米と混ぜて炊いたり、茹でてから油を付けたりして食される。樺太では乾燥させて保存し冬季の料理に用いられた。その調理方法は、まずチエトイ(cietoy 珪藻土)を溶かした水で乾燥させた鱗茎を煮て、深い鉢に移して油を入れ、すり鉢でよく潰す。そして前述のチエトイの水を少し入れ、コケモモの実を入れてから静かにかき混ぜるというものである。
この鱗茎を北海道アイヌ語でアンㇻコㇿ(anrakor)またはハンㇻコㇿ(hanrakor)といい、樺太アイヌ語ではハㇵ(hax)と呼ぶ。また花や葉は染料として用いられた[6]。
花言葉は「恋」「呪い」。戦国武将佐々成政の側室・早百合姫の怨念にまつわる「黒百合伝説」が富山にあり、明治になり金沢出身の作家泉鏡花が『黒百合』という小説を書いている。
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