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カールグスタフ m/45(Carl Gustav m/45)は、スウェーデン製の短機関銃である。第二次世界大戦末期にカールグスタフ・ファクトリーにて開発され、1945年にスウェーデン軍が制式採用した[1]。スウェーデン語では単に「45型短機関銃」(スウェーデン語: Kulsprutepistol m/45)と呼ばれ、Kpist m/45と略称される。アメリカ合衆国では「Kライフル」(K-Rifle)や「スウェディッシュK」(Swedish-K)と通称された[2]。
カールグスタフ m/45B | |
概要 | |
---|---|
種類 | 短機関銃 |
製造国 | スウェーデン |
設計・製造 | カールグスタフ・ファクトリー |
性能 | |
口径 | 9mm |
銃身長 | 212mm |
ライフリング | 6条 / 右回り |
使用弾薬 | 9mmパラベラム弾 |
装弾数 | 36/50発 |
作動方式 |
シンプル・ブローバック方式 オープン・ボルト撃発 |
全長 | 550mm(ストック展開時808mm) |
重量 | 3.35kg(マガジンなし) |
発射速度 | 600発/分 |
銃口初速 | 420m/s |
有効射程 | 200m |
スウェーデン軍が初めて採用した短機関銃は、フィンランド製スオミ KP/-31を制式拳銃FN ブローニングM1903と同様の9mmブローニングロング弾(9x20mm)仕様に再設計・国産化したm/37短機関銃であった。m/37は900丁ほどが調達されたが、さらなる需要を満たすべく、軍はナチス・ドイツのカール・ワルサー社と契約を結び、9mmルガー弾(9x19mm)仕様のMP35/1短機関銃をおよそ1,800丁、同じく9mmルガー弾仕様の拳銃をおよそ1,500丁調達した。MP35/1と9mmルガー弾は、制式名称m/39短機関銃および9mm m/39弾として採用された。これに合わせ、m/37の製造ラインは9mmルガー弾仕様に再設計されたm/37-39に切り替わり、さらに別途購入された500丁のフィンランド製KP/-31にはm/37-39Fの制式名称が与えられた。また、1940年にはアメリカ合衆国製トンプソン・サブマシンガンおよび.45ACP弾がm/40として採用された。この時点でスウェーデン軍は3種類の拳銃弾と6種類以上の短機関銃を並行運用しており、弾薬だけではなく交換部品などの調達にも支障をきたしていた。そのため、新たな国産短機関銃を開発し、これを一本化する必要が生じたのである[3]。
第二次世界大戦中の1943年、生産性の高い短機関銃を求めていたスウェーデン軍は、フィンランドのティッカコスキ社からm/44短機関銃(ソ連製PPS短機関銃のコピー設計)を購入した。1944年9月、短機関銃の採用に向けた評価委員会が発足し、m/44およびハスクバーナ製試作短機関銃の評価が行われた。トライアルは陸軍歩兵学校(InfSS)およびカールグスタフ小銃工廠(GF)で実施されることとなった。その後、まもなくしてGFからも新型短機関銃の設計が提出された[4]。最終的にGFの設計が優れていると見なされ、これがm/45として知られる短機関銃の原型となった[5]。
なお、当時同じく新型短機関銃を模索していたデンマーク軍では、スウェーデン軍が採用を見送ったハスクバーナの設計案に注目し、これに小改良を加えたものを後にm/49短機関銃として採用している[6][7]。
スウェーデン軍では、1945年からAk 5突撃銃が採用される1986年まで、m/45を標準的な短機関銃として運用していた[5]。1950年代のガザにおける国連任務、コンゴ動乱(1960年 - 1964年)でのコンゴ国連軍に参加したスウェーデン軍部隊で使用された。水中から取り出してもすぐに射撃を行うことができたので、1960年代から1970年代にはスウェーデン海軍のダイバーらにも愛用された[3]。郷土防衛隊では引き続き運用されていたが、2007年には調達が終了している[8]。
エジプトは第二次以降の中東戦争で使用し続けた。また、ポートサイド(Port Said)の名でライセンス生産され、エジプト軍に供給された[1]。エジプトではさらにアカバ(Akaba)あるいはカラ(Kara)として知られる省力化モデルを設計している。このモデルでは銃身の放熱筒が廃止され、銃床はM3短機関銃と同型の伸縮式に改められていた。また、照門は固定式だった[9]。ポートサイドの製造はアル・マアディ工業社(第54工場)にて行われ、1950年代から1970年代まで使用された。アカバは1970年代に入ってから設計され、ポートサイドを更新した。1981年に起こったジハード団によるサダト大統領暗殺事件では、多数のAK-47と共にポートサイドが使われたことが知られている[10]。
ベトナム戦争中にはアメリカ軍でも使用された。Navy SEALs(アメリカ海軍の特殊部隊)で採用されていたほか[11]、南ベトナム軍事援助司令部付研究・観察グループ(MACVSOG)では非合法越境作戦の折に国籍を秘匿するべくm/45を使用したという[2]。m/45はアメリカ軍の標準拳銃弾ではなかった9mm弾を使用していたことに加え、スウェーデンのほか、エジプトやインドネシアでも製造されていたことから、仮に鹵獲されてもアメリカとの直接的な関係が示されない「滅菌済み火器」(sterile weapon)の1つと見なされていた。中央情報局(CIA)では、秘密工作用に何種類かの消音器付モデルが採用されていた。アメリカ軍で主に使用されたのは、改良型のm/45Bだった[12]。そのほか、バードドッグ観測機の乗員なども、コンパクトで機内に持ち込みやすいm/45を愛用したと伝えられる[3]。しかし、スウェーデン政府がベトナム戦争に批判的な姿勢をとった後、アメリカに対するm/45の供給は打ち切られた。1967年には軍部の要請を受けたスミス&ウェッソン社がm/45の代用たる短機関銃としてM76短機関銃を発表した。M76はm/45とよく似ており、また基本的な機能も共通していた[11]。その後、アメリカ軍における特殊部隊用火器としてのm/45およびM76の役割は、XM177E1/E2へと引き継がれていった[3]。
2022年ロシアのウクライナ侵攻以降、インターネットに流されるいくつの写真と動画がm/45短機関銃がウクライナ軍に運用されることを示してる。[13]
m/45はオープンボルト、シンプルブローバックの作動方式を採用している。部品は大半が肉厚の鋼板をプレス加工して製造したもので、レシーバーの上半分(円筒形)と下半分(箱形)は一体成型されており、耐久性は高い。銃身は穴あきの放熱筒で覆われている。コの字型の金属製銃床が付き、銃把の上下を支点に右方向に折り畳むことが可能である。
使用する弾薬は9mmパラベラム弾である。スウェーデン軍での制式名称はm/39弾で、朝鮮戦争頃には貫通力を高めたm/39B弾が採用されている[5]。
初期型は先代の短機関銃であるスオミm/37-39用の50発箱型弾倉や71発ドラムマガジンを取り付けることができた[5]。当初のm/45からm/45Bの最初期型までは、弾倉口が着脱式になっており、これを取り外すことでドラムマガジンを装填することができた[12]。しかし、弾づまり不良が起こりやすく、装弾にも時間が掛かるなどの欠点があったため、後期型では弾倉口が固定式に改められ、36発弾倉が標準的に使われるようになった。安全装置はMP40などと同様、ボルト後退時はコッキングレバーを溝に引っ掛け、ボルト前進時はコッキングレバーを押し込む型式のものだった。照門は照準距離100m、200m、300mの3枚が重ねられており、m/37-39のものとよく似た形だった[5]。フルオート連射のみ可能だが、連射速度は比較的遅いため制御しやすい[5]。
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