マーベル・コミックのキャラクター ウィキペディアから
オーディン・ボーソン・ザ・オール・ファーザー(Odin Borson, the All-Father)は、マーベル・コミックが発行するアメリカン・コミックスに登場する架空のキャラクターである。
Odin | |
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出版の情報 | |
出版者 | マーベル・コミック |
初登場 | 『ジャーニー・イントゥ・ミステリー』第86号(1962年11月) |
クリエイター | |
作中の情報 | |
フルネーム | オーディン・ボーソン |
種族 | アスガーディアン |
所属チーム |
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著名な別名 | ザ・オール・ファーザー Gagnraðr グリームニル アトゥム・レ 放浪人 オーリン インフィニティ |
能力 | 超人的な力、スタミナ、耐久力、速度、敏捷性、反射神経、治癒、寿命、知恵
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1962年11月にスタン・リーとジャック・カービーに創造され、『Journey into Mystery』第86号でデビューした[1]。
北欧神話によれば、オーディンは最初のアスガーディアンの一人である父ボーと霜の巨女の母ベストラの息子であり、ヴィリとヴェの実の兄である。兄弟たちの助けを借りて、幼いオーディンは炎の悪魔スルトを倒した[2]。その後、オーディンは兄弟たちをスルトによって殺されたが、彼らの力を与えられ、スルトは地球に封印された[3]。それからオーディンは“アスガルド”の支配者となり、そこでザ・オール・ファーザーの諡を受け、やがて女神ガイアと恋に落ち、彼女との間に生まれたソーの父となる。ソーの誕生後、オーディンはアスガルドに戻り、フリッガを妻とし、巨人の王のラウフェイの血を引く子どものロキも養子に迎えた[4]。だが、自身の意図とは裏腹に、ソーとロキは仇敵となる運命にオーディンは直面することとなった。
また、ソーのミッドガルド(地球)への執着に常に悩んでいたオーディンは、罰としてソーの力を少なくとも3度は奪っている。そのたびにソーは罪を償おうとし、高潔な意思を持ち続け、勇敢さも手伝って、元の力とアイデンティティを取り戻した息子をオーディンは最終的に認めるようになった[5][6][7]。
アスガルドの支配者であり守護者であるオーディンは、ロキ、嵐の巨人スカッグ、スルトを(ソーとバルダーの助けを借りて)阻止した一件をはじめ[8]、この他、アスガルドのほぼすべてを吸収したカール・クリール/アブソービング・マンを倒し[9]、怪物マンゴグを追放[10]。“ラグナロク”を止める知恵を得るためにミーミルに右目を捧げ[11]、デストロイヤー”の鎧に身を包んだ“セレスティアルズ”を阻止し[12]、異次元の暴君ドーマムゥと“コズミック・チェス”での対戦[13]。そして、スルトが破滅の剣“トワイライト”を放つのを阻止するなど[14]、アスガルドや地球を脅かす数々の危機に関与してきた。
そんなオーディンは、アスガルドを守るために3度死んだ[15]。1度目はマンゴグに殺され、後にヘラによって蘇生された[16]。2度目は、セレスティアルズがソー以外のすべてのアスガーディアンと共に息の根を止められてしまい、ソーが各パンテオンから集めたエネルギーの一部を使ったことで復活し、自身はアスガーディアンを復活させた[12]。
3度目では、地球上でスルトと繰り広げたの大規模な戦いで生命を落とし、その際に自身の力の源であるオーディン・フォースが息子のソーに移った[17]。ソーがラグナロクによるアスガルド滅亡を阻止すると、生前の姿をしたオーディン・フォースとして現れ、これは最初から自身の計画だったのだと語った[18]。
オーディンは、通常のアスガーディアンを遥かに凌ぐ超人的な力、スタミナ、耐久力を持ち、地球上のあらゆる病気や毒素に対する免疫力、魔法に対する驚異的な抵抗力、そしてイドゥンの黄金のリンゴの恩恵として、大幅に延長された寿命を有している。オーディンは息子ソーの全ての能力と同等のものを持つが、その程度ははるかに高く、オーディンは強力なエネルギー源である“オーディンフォース”を操ることができ、エネルギー投射、イリュージョンやフォース・シールドの生成、空中浮遊、分子操作、アスガルドと地球ほどの途方もない長距離でも他のアスガーディアンと交信できるテレパシー[19]、催眠術[8]、アスガルドから地球に向けて放つ稲妻[19]、全てのアスガルド人の生命力の操作、次元間テレポーテーション、全人類を異次元へ転送[8]、時間停止[8]、遠い惑星の残骸を引き寄せての攻撃[2]、メフィストの魂の奪取[20]、銀河系全体の破壊[21][22]、ギャラクタスのような存在と特定の条件で交戦できるなど[23]、いくつもの物語においてオーディンは普遍的、あるいは壮大な力を持つ存在として描かれてきた[24][25][26]。
オーディンはまた、戦術と策略の達人でもあり、ラグナロクを阻止してきたと同時に[27]、何世紀にもわたってセレスティアルの到来を計画していた[28][29]。
しかし戦闘では年に一度、アスガルドの冬の間、オーディンは再生のために24時間“オーディンスリープ”をしなければならないが[注釈 1]、カーニラのような敵の強力な呪文によって弱体化することがある[30]。
同じような力を持つ相手と戦うためにオーディンは、金属“ウル”で作られたアーティファクトである魔法の槍グングニル("天の槍")を携えており、オーディンフォースが流しこまれているが、これが無くてもグングニルはソーのハンマーに匹敵するほどの力を発揮する[15]。
また、8本足の軍馬スレイプニルや、「宇宙の海」を航行し玩具の大きさまで縮小できる魔法の船“スキップブラッドニル”を使うこともある。
『スパイダー・パンク』の世界におけるオーディンは、エリック・マスターズ/サンダーストライクの力の源である[31]。
『アルティメット・マーベル』の世界では、“アース1610”におけるオーディンが登場。このバージョンはアスガルドの体現者であり、ムジョルニアと“ノルン・ストーンズ”の力の源である。彼は殺されたものの、霊としてソーを助けるために戻って来た[32][33][34][35]。
『マーベル・シネマティック・ユニバース』(MCU)では、アンソニー・ホプキンスが演じた。日本語吹替は浦山迅が担当。
本項は、“アース616”(正史の宇宙)におけるオーディンを主軸として表記する。
北欧神話の主神にして、戦争と魔術を司る全能の神“オーディン”のモデルであり、“アスガルド”の国王。ソーやヘラの実父にしてロキの養父であり、この世の始まりからアスガルドと“九つの世界”の民を守ってきた。その寿命はゆうに50万年を超える[注釈 2]。嘗ての“氷の巨人群”との戦いで右目を失ったため、右眼窩にアイパッチをはめ込んでいる。
8本脚の馬“スレイプニル”を愛馬とするほか、自身の強力なパワーを失うと“オーディンの眠り”につくが、この世のすべてを見通す力を持つことから昏睡中でも外界の様子を察知できる力も持つ。自身も“ムジョルニア”を扱えうことができ、息子たちや愛妻のフリッガからは厚く尊敬され、アスガルドの戦士たちからも忠誠を誓われているほど公正で慈悲深いが、時には差別的な行動や、柔軟さに欠け、理性を失う様子を見せることもあり、完全に純潔な神とも言えない人物である[注釈 3]。
他の並行世界に存在するオーディンの“変異体”。ほぼ正史のオーディンと同様のキャラクター像である。
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