オレルアン王国(オレルアンおうこく、Kingdom of Orleans)は、任天堂(開発・インテリジェントシステムズ)のコンピュータゲーム『ファイアーエムブレム』のシリーズ作品中『暗黒竜と光の剣』(リメイク版「新・暗黒竜と光の剣」も含む)『紋章の謎』『アカネイア戦記編』に登場する架空の国家。
アカネイア大陸北部の草原地帯に位置する王国。精鋭部隊として「狼騎士団」を擁する。
この土地は古くから「草原の民」と呼ばれる騎馬民族が遊牧を行っていた地域であったが、アカネイア暦499年にアカネイア王家のカルタスにより平定され、その弟であるマーロンが初代国王となり建国された。
成立の経緯上、アカネイアに対する不満がオレルアンの先住民にはあったが、近年になりハーディンの優れた手腕によりようやく国としての体裁を成すに至る[1]。ビラクらのようにハーディンの手によって奴隷身分から解放された者たちもいる。
暗黒戦争においては、アカネイア七王国の中でドルーアに抵抗を続けている最後の国家であった。一時期は王城すら占領され命運は風前の灯であったが、マルス率いるアリティア軍と合流し勢いを回復。城を奪還しアリティア軍と共に暗黒戦争を戦い抜く。
英雄戦争ではハーディンの言葉を信じたオレルアン王の命により、アカネイアと共にアリティアへ出兵。しかしニーナからの密かな働きかけがきっかけで中立の立場となる。英雄戦争の終結後は王位継承者が不在のため、オレルアン王はマルスに王位を譲渡。アカネイア連合王国に併合され、独立国家としてのオレルアン王国は消滅した。
大陸中央部に位置。中央公路を通じ南東にアカネイア、西にカダインと接する。広大かつ肥沃な土地と、後背の山岳地帯という地理的優位を併せ持つ国である。
ゲーム中には一切登場せず、設定画のみ存在する。騎馬隊が掲揚したときの効果を踏まえ、横に長い燕尾型の長旗という独自のデザインを持つ[2]。比率は25:149。
旗竿側は通常の国旗と同じ配置となる。背景(フィールド)パーティ・パー・ベンドの形で分割され、左下が栗色、右上が白。盾(エスカッシャン)は上部に三つの頂点を持つものでスイス式に類似。中央には灰色の狼がチャージされ、手に槍を持つ。また右足で太陽を抑えている。盾の背景はベージュで、赤い波模様が入る。中央はインエスカッシャンの形であり、内部は黄色。盾の上部は黄色に塗り分けられ、7つの小さい円が配置される。
旗中央部は三角を組み合わせた幾何学模様が黄土色と茶色で繰り返される。旗竿の逆、末尾は黄緑地。緑色で縁取り。黄色の蔦模様が一面に描かれている。
声優は「箱田」が「GファンタジーコミックCDコレクション」(原作・箱田真紀)・「電撃」が「ファイアーエムブレム 旅立ちの章」(著者・あかほりさとる)・「ヒーローズ」が「ファイアーエムブレム ヒーローズ」を指す。
王族
- マーロン (Marlon)
- 初代オレルアン国王。アカネイア王族のカルタスの弟で、『紋章』からの追加キャラクターである。
- オレルアン王
- 現オレルアン国王。名前は明かされていない。ハーディンの兄。病弱で子供もいないことから、ハーディンに国を任せようと考えていた。『紋章』(第2部)では、アカネイア皇帝となったハーディンの話を信じてアリティアへ出兵し、アカネイア帝国とグラ王国と共にアリティアを落とした。後にアカネイアに向かっているアリティア軍討伐のためにアカネイアへも出兵。しかし出兵後に届いたニーナからの密書を受けて軍をオレルアンへ撤退させ、以降中立の立場を執った。このとき弟のハーディンを見限り、オレルアンの将来と大金を出して商人から買った「命のオーブ」をマルスに託してもいる。
- 佐野真砂輝&わたなべ京の漫画版では名前が「ブレナスク」になっている。さらに上に女の子、下に男の子の子供が存在している。
- ハーディン (Hardin)
- 声 - 堀秀行(箱田) / 大塚明夫(電撃) / 中谷一博(ヒーローズ)
- クラスはソシアルナイト→パラディン。『紋章』第2部では皇帝。『暗黒竜』、『紋章』、『アカネイア戦記編』に登場。
- 『暗黒竜と光の剣』では「オレルアン騎士団の隊長」と言う設定だけで、後述の王弟は『紋章の謎』からの追加設定である。
- オレルアンの王弟。兄とは違って身体が強く文武両道であり、オレルアン王国の騎士団である狼騎士団の隊長を務め「草原の狼」と呼ばれる。カミュ、ミシェイルと並び、この物語のキーである三大重要人物の一人[3]。
- 冷静で理知的な人物で、人々を思いやる王族の誇りや高潔さを持ち、部下からは深く敬愛されていた。マルスたちからも尊敬されており、後述のように英雄戦争時にて悪へと墜ちたことをマルスが知った際は最初「とても信じられない」と愕然としていた。ハーディン自身も後述のようにマルスへは嫉妬を抱きつつも表には出さず、マルスの能力と人徳を認めて敬意を払っており、ニーナが決定を下すまではお互いに同盟軍の指揮権を譲り合っていた。『アカネイア戦記編』の「赤い竜騎士」では、当時交戦中であったマケドニア王国のミネルバ王女と対面し、マケドニア正規軍を名乗る脱走兵の野党集団に襲われていた村を助け、彼女に「名乗るべきほどの者ではない」と素性を明かさないまま脱走兵討伐に協力しており、たとえ立場上敵となる者でも、相手の正義や本質を的確に見抜ける優れた洞察力の持ち主であることが分かる。
- 暗黒戦争では狼騎士団を指揮し、グルニア黒騎士団のカミュから託されたニーナ王女を保護(『アカネイア戦記編』の「始まりのとき」がこのエピソードである)。オレルアンがマケドニア軍に完全占領されてからも、ゲリラ的に活動しつつニーナを守りながら各地を転戦する。この時点においては、ドルーア側へ抵抗する最後の勢力となっていた。その後はマルス率いる同盟軍と合流し暗黒戦争を戦い抜き、マルスと並ぶ功労者として称えられる。翌606年、ニーナ王女と結婚しアカネイア第24代国王となる。戦火の爪跡が残る国土を自ら先頭に立って復興に尽力、アカネイアはめざましい勢いでかつての栄華を取り戻す。この時点では能力・人徳の両面よりアカネイアの国民からは絶大な支持を得ていた。
- しかしニーナ王妃は想い人を暗黒戦争で失い心の整理をつける時間のないままアカネイア王国のために婚姻したため、そのことをハーディンに気取られてしまった。ハーディンは妻の心が自分にないと気づき嫉妬と苦悩に苛まれ、誰とも会わず部屋に閉じこもり酒浸りの日々を送ってしまう。
- 607年にアカネイア神聖帝国の建国を宣言し初代皇帝に即位した時には残虐な暴君と化し、強大な軍事力を背景に圧政を敷き、グルニアを始めとする各国の人民を苦しめた。そこに至るまでに彼の心の隙につけこんだガーネフが商人に化けて闇のオーブをハーディンに渡しており、オーブの魔力によって嫉妬と憎しみを引き出されたハーディンはすでに悪に転落していた。その後ニーナが紋章の盾を持ち出しリンダに渡したことを知りニーナを軟禁。密かにニーナとボアが連絡を取っていたことに気づくと逆上し、ボアに致命傷を負わせ、ニーナをガーネフに引渡した。また、暗黒戦争の際に自身ではなくマルスにエムブレムを託されたことにも心の底で嫉妬の感情を抱いており、そのことがアリティアを襲撃させた遠因になった。英雄戦争末期、王都パレスに迫るアリティア軍に対し自らグラディウスを携えて迎え撃つが、敗北。死の間際にようやく闇のオーブの力から解放され、自身の弱さを吐露し、悪に屈服してしまったことへの後悔と、それゆえに自分を殺してほしかったこと、そしてニーナを今なお愛していることをマルスに告げて絶命した。この遺言は、奇しくもシリウスこと生きていたカミュがニーナに伝えることとなった。
- 戦闘時の能力は非常に高く、幸運を除く全パラメーターが最大値で、三神器の一つグラディウスを装備。さらに闇のオーブを持つため、攻撃できるのは光のオーブを持つものだけという強敵。なお、オリジナル版『紋章の謎』における公式イラストではグラディウスではなく、ゲーム中には存在しない武器である大鎌を手にしている。
- 佐野&わたなべ版では、保護をしたニーナ王女にかなり好感を持っており、戦場から帰ってきた直後に手を洗っていない理由でマントで手を被せてニーナをエスコートをしたり、ニーナを罵る言葉を投げかけ特攻をしかけた重傷の敵兵に対して冷静さを失って逆上して倒した一面もある。また、英雄アンリの血筋を持つマルスに対してもやや嫉妬している面も垣間見える。
騎士団
- ロシェ (Roshe / Roshea)
- 声 - 岩永哲哉(箱田) / 堀江瞬(ヒーローズ)
- クラスはソシアルナイト→パラディン。『紋章』第2部ではパラディン。『暗黒竜』、『紋章』、『アカネイア戦記編』に登場。
- オレルアン騎士団の騎士。他の3人と共に騎士団のメンバーは元々は孤児であったが、ハーディンに保護されて騎士へ抜擢された過去を持つ。そのためハーディンを慕い、絶対の忠誠を誓っている。第1部ではハーディンと共にマルス軍へと合流した。4人の中で一番優しい心を持つ。暗黒戦争後は他の3人とは違って一度軍を退役したが、後に聖騎士としてオレルアン騎士団に復帰。
- 第2部ではアドリア峠にてアリティア軍を迎え撃つ。この時ハーディンの行動に疑問を抱いていたものの、仲間を裏切れないからという理由で戦うことにした。オレルアン王の停戦命令後にオレルアン狼騎士団から唯一マルス軍に参加。『新・紋章』では自分たちが好きだったハーディンではなくなってしまったことを認めるとともに、過去にハーディンが言った「もし自分が道を誤ったら正してほしい」という頼みを遂行するときが来たためハーディンを討つべきとして、仲間を説得する。
- 『紋章』では成長率が大幅に改善され、オレルアン軍一番の出世頭となれる可能性を持つ。
- 自分たちが孤児であることから孤児院に多額の資金援助をしていて、孤児達との手紙のやり取りを励みにして戦場に臨んでいるのだが、自身も軍人である身のため周囲からは偽善と罵られ本人もそのことに思い悩んでいる。またビラクとは4人の中で一番仲が良く、常に危険な戦いをしているビラクのことを心配している。
- 英雄戦争後、オレルアンへ帰国した。
- ビラク (Biraku / Vyland)
- 声 - 木村昴(ヒーローズ)
- クラスはソシアルナイト→パラディン。『紋章』第2部ではパラディン。『暗黒竜』、『紋章』に登場。
- オレルアン騎士団の騎士。他の3人共々ハーディンに絶対の忠誠を誓う。第1部ではハーディンと共にマルス軍へと合流した。暗黒戦争後もオレルアン騎士団に残り、国の復興に力を尽くした。
- 第2部ではパラディンとしてハーディンへ忠義を固く誓っており、アドリア峠でアリティア軍を迎え撃つ。オレルアン王の停戦命令後、アカネイア軍を離れてオレルアン本国に帰還する筈だったがロシェの事が気になりマルス軍の後方から奇襲をかける。本心では自分たちが慕うハーディンではなくなってしまい彼を討つべきと理解はしつつも認められず苦悩していた。
- 初期能力、成長率においてマチスすら下回るが、『新・暗黒竜』では多少成長が改善された。
- 『新・紋章の謎』ではロシェの説得により仲間になる他、4人の中で一番仲間思いで義に厚い性格という設定が追加された。ロシェ、ウルフ、ザガロを兄弟の様におもっている。特にロシェとは一番仲が良く、実力は自分よりも高いのに優しすぎるせいで実力を発揮しないことに対してやきもきし、玉砕同然で突っ込んでは窮地に陥った自分を救出させるという強引な方法で、彼の実力を引き出すというかなり無茶な戦闘を行う。4人の中では実力が一番劣る様ではあるが、マイユニットに「人の速さではない」と言わしめる程の素早い立ち回りを発揮したりと決して弱いわけではないようだ。
- ウルフ (Wolf)
- 声 - 伊東健人(ヒーローズ)
- クラスはホースメン。『暗黒竜』、『紋章』、『アカネイア戦記編』に登場。
- オレルアン騎士団の弓騎兵で、ハーディンの片腕的存在。他の3人共々ハーディンに絶対の忠誠を誓う。第1部ではハーディンと共にマルス軍へと合流した。王国奪取に燃えている。暗黒戦争後もオレルアン騎士団に残り、国の復興に力を尽くした。
- 第2部ではオレルアンを去ったハーディンに代わって狼騎士団の隊長となっている。なおもハーディンへ忠義を固く誓っており、ハーディンが指導者となったアカネイア帝国の出動要請に応じ、アドリア峠を南下しマルス軍を挟撃しようとした。
- 『紋章』では最初から上級職でレベルアップの回数が少ない上に、初期値もやや低め、さらに成長率も良くはないが、『新・暗黒竜』では一転して破格の成長率を誇る。その続編にあたる『新・紋章の謎』ではマイユニットとの会話で「前の戦争(暗黒戦争)でも最強の名に相応しい圧倒的な強さだった」と言われているが、これは『新・暗黒竜』での破格の成長率を受けての言葉であると思われる。
- 『新・紋章』では余程頭に血が上っているのか度々激昂していたが、本来は冷静沈着な性格で支援会話では落ち着いた様子を見せる。ハーディンへの忠誠は最も強く、ハーディンがおかしくなったと知りつつも、たとえ最後の一人になってもなお彼のために死をも辞さない覚悟でいたが、ザガロにハーディンが望んでいることを説得され、苦悩しつつもハーディンを討つ決意を固めマルス達の仲間になる。ハーディンへの忠誠を貫くがあまり、アリティア騎士を「軟弱」と見下したり、マルスに対する悪い印象の誤解をなかなか解かない頑固な所があるが、強き者には敬意を払う。4人の中では特にザガロを信頼しており、彼と話していると落ち着くらしい。
- ザガロ (Zagaro / Sedgar)
- 声 - 最上嗣生(ヒーローズ)
- クラスはホースメン。『暗黒竜』、『紋章』に登場。
- オレルアン騎士団の弓騎兵。他の3人共々ハーディンに絶対の忠誠を誓う。第1部ではハーディンと共にマルス軍へと合流した。公式イラストを見る限りではおそらく左利きである。暗黒戦争後もオレルアン騎士団に残り、国の復興に力を尽くした。ゲーム内では初期能力が低い上に成長率が悪く、既に上級職であるためにクラスチェンジやレベルアップによる伸びしろも少ないなど、終盤まで活用するのが難しいキャラクターの一人である。
- 『紋章』では唯一戦闘時自分の所属を言わなかったため正確な地位は不明であったが、『新・暗黒竜』では暗黒戦争後に狼騎士団の副長になったとされている。
- 第2部では、ハーディンへ忠義を貫くべく、アドリア峠でアリティア軍を迎え撃つ。オレルアン王の停戦命令後もアカネイア軍に就きマルス達に敵対する。ハーディンがもはやかつてのような人物ではなくなってしまっていることを頭では理解しているつもりであり、事実に目をそらしているという自覚もあったがハーディンを見限ることが出来ずにいた。しかし、ビラクの言葉により決心がつき、自分たちに出来る償いをしなければならないと心に決めマルス達に味方する。
- 『新・暗黒竜』ではウルフと双璧をなすかの如く、破格の成長率に改善され、レベルアップ時に1種類のステータスが2アップすることもしばしば。
- 『新・紋章の謎』ではビラクの説得により仲間になる。ウルフの良き補佐であり4人の中で一番理性的な性格という設定が追加され、頭に血が上った彼を説得する。ウルフの補佐役として彼の使う弓と馬具の手入れも行っていたが、ウルフは暗黒戦争でどんどん進歩していき作戦ごとに彼が扱う武器を換えるため(新・暗黒竜での兵種変更システム、及び彼自身の破格の成長率を示していると思われる)本来ホースメンには必要ない槍や斧といった武器、更には魔導書や杖といったあらゆる道具の整備が板についてしまったらしい。
その他
- バフス (Bathys)
- 初期クラスは海賊。『新・暗黒竜』に登場。
- オレルアン西方の海の城門を固めていた海賊。戦乱に乗じ、海賊団を率いて村から子供達をさらっていた。倒されると命乞いをする。