インド中華

インド料理のなかの中華料理 ウィキペディアから

インド中華

インド中華[1][2][3][4][5](インドちゅうか、英語: Indian Chinese cuisineインディアン中華[6]インド式中国料理[7])とは、インド料理のなかの中華料理を指す。具体的には、インド風にアレンジされたチャーハンチャウメンチャプスイエビチリ、あるいは「マンチュリアン満洲風)」「シェズワン(四川風)」などと中国の地名が名前につく料理を指す[8]

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ゴビ・マンチュリアン
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マンチョウスープ
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チャウメン

概要

インド現地では大衆料理店屋台、現地外ではインド料理店で主に食べられる。

料理の傾向として、ニンニクショウガ醤油唐辛子チリソースなどインドで中華料理の特徴とみなされる調味料を使うこと[7]中華鍋を使うこと[5]ベジタリアン料理と親和性が高く[9]、まれに肉を使う場合は鶏肉を主に使うこと[7][6]、などが挙げられる。色は赤や茶、味は辛くて脂っこいものが多い[7]。インド料理特有のマサラなどの香辛料は、使うとも[7][6]、使わないとも言われる[10][4][5]

主なメニューに以下がある。

マンチュリアン

「チキン・マンチュリアン[14]」(満洲風チキン)、「ゴビ・マンチュリアン」(満洲風カリフラワー[15][13]などの料理。青トウガラシニンニクショウガ醤油などをベースにしたグリーンチリソースを用いる[16]。実際の満洲料理とは別物[16]

1970年代[9][17]コルカタ在住の華人3世の料理人ネルソン・ワン英語版が、ムンバイボンベイ)で中華料理店を開いた際に創作料理に名付けたのが発祥とされる[16]。インドでは、素材名の前後にインド国外の有名な地名を付けて本場感を出し、それらしいメニュー名でアピールすることはよくある[16]

シェズワン

「シェズワン・ドーサ」など[13]、赤トウガラシ山椒ニンニクをベースにしたインド中華独自のチリソース「シェズワン・ソース」をかけた各種料理[7][16]。「シェズワン」(Schezwan) は「四川」の英語読みの転訛だが、四川料理とは別物。

1970年代、ムンバイタージマハル・ホテルの中華料理店「ゴールデンドラゴン」が四川から招聘した料理人の料理が由来とされる[16]

歴史

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コルカタチャイナタウン、2014年

インド中華が生まれた背景には、中印関係インドの華人だけでなく、現地の飲食業界や、アメリカ風中華料理の存在もある[7]。その歴史は未解明な部分が多いが[7]、おおよそ以下のようなものと推定される。

18世紀末、イギリス東インド会社により国際都市となったコルカタに、インド初の華人コミュニティが形成された[7]1912年中華民国が成立すると、華人が増加し[7]1920年コルカタを皮切りに[3]英領インド各地に華人経営の中華料理店ができた[7][3]。コルカタにある「欧州飯店」(Eau Chew Restaurant)は、インド現存最古の華人経営の中華料理店である[10]第二次大戦中、連合国軍がインドに駐留すると、アメリカ風中華料理チャプスイも伝わった[7]

1950年代後半から、チベット問題中印国境紛争により中印関係が悪化すると、華人人口が下降し、華人経営の中華料理店も減少し始め[7]、本場の中華料理が消えていった[13]。その中でガラパゴス化が進み、独特の「インド中華」が形成された[13]。以降1970年代までに、上記の「マンチュリアン」「シェズワン」が生まれた。

20世紀末から21世紀には、中印関係は相変わらず悪いものの、1988年ラジーヴ・ガンディー訪中をはじめ関係回復の兆候がある[7]。そのような背景のもと、2017年の調査によれば、インド諸都市の料理店のうち約37%が中華料理を提供をしている[7][3]。IT企業が多いバンガロールで特に人気とも言われる[2]。また関係改善により本場の中華料理が再び知られるようになり、「本格中華」(オーセンティック・チャイニーズ)を謳う店も増えている[13]

関連項目

脚注

参考文献

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