アーケアメーバミトコンドリアを欠き嫌気的環境に適応したアメーバ様生物からなる群。動物腸管内に寄生または片利共生する生物を含み、赤痢アメーバのような病原体も知られている一方で、淡水環境に棲息するものもいる。分類学的にはアーケアメーバ綱またはアーケアメーバ亜綱があてられている。名前は、真核生物ミトコンドリアを獲得する以前に分岐した生物群だと当初考えられた(現在は否定されている・アーケゾア参照)ことに由来しており、そのため古アメーバ類という訳語がある。

概要 アーケアメーバ, 分類 ...
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特徴

典型的には単核で鞭毛を1本持つものが多いが、多核のものもあり、鞭毛の本数も多様である。嫌気的または微好気的な環境に棲息していて、酸素呼吸を行うミトコンドリアを持たないが、ミトコンドリアが著しく縮退したマイトソームとなっているものが知られている[2]

鞭毛を持つものでは基底小体が対になっていないことが特徴的であり、その鞭毛は外腕ダイニンを欠いていて運動はあまり活発でない。鞭毛はあっても短くほとんど動かないような種もある。赤痢アメーバのように完全に鞭毛装置を欠いているものもある[3]

分類

分子系統解析によりアメーボゾアのうちコノーサの所属とされている。リンネ式階級分類では、たとえばアメーバ動物門コノーサ綱アーケアメーバ亜綱[4]、あるいはアメーバ動物門コノーサ亜門アーケアメーバ綱[5]とする。内部分類については分子系統解析による整理が進められているところである。ここでは2016年時点で提唱されている体系[6]を示す。

この他に分子情報がなく位置不詳のものとして、

  • TricholimacidaeCavalier-Smith, 2013
    Tricholimax hylaeのみ。ペロミクサ科とマスチゴアメーバ科の特徴を兼ね備える。
  • Endamoeba
  • Mastigina

がある。

歴史

1983年にトーマス・キャバリエ=スミスアーケゾア仮説を提唱した際にアーケアメーバ門として設立されたが、この時は単にミトコンドリアを持たないアメーバという特徴でまとめられたに過ぎなかった[1]。たとえばエントアメーバ科はミトコンドリアを二次的に喪失したと推測されて、アーケアメーバから外されたこともある[8]。それ以外にも、取り除かれたり追加されたりすることが多く、定義は曖昧であった[9]。しかし分子系統解析の情報からアーケアメーバはいずれもミトコンドリアを二次的に喪失したものと推定され、1997年にアメーボゾアに属する亜門とされた[10]。これ以降、分子情報が蓄積され系統解析の手法が改善されるなかで、アーケアメーバ類の一体性は一貫して支持されている。一方アメーボゾア内部の分類体系が整理されるにつれて、アーケアメーバ類の分類階級は下門[11]、綱[12]、亜綱[4]と下がっていった。

参考文献

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