アトモキセチン

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アトモキセチン

アトモキセチン英語: Atomoxetine)はノルアドレナリン再取り込み阻害剤英語版の一種である[1]。日本では商品名ストラテラ。日本での適応は注意欠陥多動性障害(ADHD)である。医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律における劇薬である。

概要 IUPAC命名法による物質名, 臨床データ ...
アトモキセチン
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IUPAC命名法による物質名
臨床データ
胎児危険度分類
    法的規制
    薬物動態データ
    生物学的利用能63 to 94%
    血漿タンパク結合40%
    代謝Hepatic, via CYP2D6
    半減期5 hours
    排泄Renal (>80%) and fecal (<17%)
    データベースID
    CAS番号
    83015-26-3
    ATCコード N06BA09 (WHO)
    PubChem CID: 54841
    DrugBank APRD00614
    ChemSpider 49516
    KEGG D07473
    化学的データ
    化学式
    C17H21NO
    分子量255.355 g/mol
    291.820 g/mol (hydrochloride)
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    中枢神経系の刺激薬であるメチルフェニデートとは異なり、アトモキセチンは非刺激薬とされ乱用性がない[2]世界保健機関 (WHO) のATC分類ではN06B-精神刺激薬に分類される[3]

    開発と販売

    アメリカのイーライリリー・アンド・カンパニーにより開発された。Strattera、Tomoxetin、Attentinの商品名で販売されている。

    日本ではストラテラ (Strattera)の商品名で、日本イーライリリーが製造販売している。18歳未満の注意欠陥多動性障害(ADHD)に対して承認されていたが、2012年に成人期のADHDに対しても承認された[4]

    有効性

    成人ADHDに対するシステマティックレビューは、偽薬に比較して小さな効果で中止率も多く、利益と危険性のバランスが悪いため使用の推奨は弱いと結論された[5]

    副作用

    ADHDで使われる他の薬メチルフェニデートとは異なり、乱用性がない[2]

    重大な副作用として、添付文書には肝機能障害、黄疸、肝不全、アナフィラキシーが記載されている[6][7]

    軽度の副作用として現れやすいのは、消化器系で悪心が31.5%、食欲減退が19.9%。神経系で頭痛が15.4%、傾眠が15.8%の人に見られた。他にも、腹痛や口渇、嘔吐や便秘なども見られる。[8]

    アメリカ食品医薬品局(FDA)の有害事象報告システム(AERS)のデータから殺人や暴力など他害行為の報告を調査し、アトモキセチンは6位の9倍であった[9]

    アトモキセチンは全ての医薬品の中で、2番目に自殺未遂の報告が多かった[10]

    薬物動態

    肝臓のCYP2D6で代謝される。

    薬理

    アトモキセチンは臨床用量でNMDA受容体拮抗作用を有する[11]

    アトモキセチンのNMDA受容体拮抗作用のプロフィールは解明されていない。最近の研究ではADHDの病態生理学にグルタミン酸機能不全が関与していることを示唆している[12][13]

    さらに見る タンパク質, アトモキセチン(nM) ...
    結合親和性(Ki)プロフィール[14][15][16][17]
    タンパク質アトモキセチン(nM)4-ヒドロキシ-アトモキセチン(nM)
    NMDA受容体(IC503000[11]000?
    セロトニントランスポーター0077000?
    ノルアドレナリントランスポーター0005000?
    ドーパミントランスポーター1451000?
    セロトニン受容体1000 以上000?
    アドレナリン α受容体1000 以上000?
    アドレナリン β受容体1000 以上000?
    ドーパミン D1 & D2受容体1000 以上000?
    ムスカリン M1 & M2受容体1000 以上000?
    ヒスタミン H1 & H2受容体1000 以上000?
    オピオイド δ1受容体000?0300
    オピオイド κ1受容体000?0095
    オピオイド μ受容体000?0422
    シグマ σ1受容体1000 以上000?
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    出典

    関連項目

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