Loading AI tools
ウィキペディアから
つばめ(超低高度衛星技術試験機、SLATS、Super Low Altitude Test Satellite)は、宇宙航空研究開発機構 (JAXA) が開発した、人工衛星の超低軌道飛行技術の確立を目的とした人工衛星。2017年(平成29年)12月23日にH-IIAロケット37号機によりしきさいと相乗りで打ち上げられた[7]。プロジェクト総資金は34億円[4]。
超低高度衛星技術試験機「つばめ」 (SLATS) | |
---|---|
所属 | JAXA |
主製造業者 | 三菱電機 |
公式ページ | 超低高度衛星技術試験機「つばめ」(SLATS) |
国 | 日本 |
運用者 | JAXA |
国際標識番号 | 2017-082B |
カタログ番号 | 43066 |
目的 | 超低軌道を飛行する衛星技術の確立 |
設計寿命 | 2年以上 |
打上げ場所 | 種子島宇宙センター |
打上げ機 | H-IIAロケット37号機 |
打上げ日時 | 2017年12月23日[1] |
運用終了日 | 2019年10月1日 |
停波日 | 2019年10月1日 |
物理的特長 | |
本体寸法 |
打上時:2.5×1.1×0.9 m 軌道上:2.5×5.2×0.9 m[2] |
質量 |
383kg[2] キセノン:13.3kg ヒドラジン:34.5kg[3] |
発生電力 | 1,174 W以上[4] |
主な推進器 |
20mNイオンエンジン×1[5] 1Nガスジェット×4 |
軌道要素 | |
周回対象 | 地球 |
軌道 | 円軌道 |
高度 (h) |
軌道遷移フェーズ :393km以下 軌道保持フェーズ :271.5 - 181.1km 後期運用段階:167.4km |
搭載機器 | |
原子状酸素 (AO) モニタシステム | 原子状酸素を観測する |
材料劣化モニタ | 熱制御材の劣化を監視する |
小型高分解能光学 センサ SHIROP | 低高度から高解像度の画像を得る。パンクロ画像。 |
光学センサ OPS | カラー画像 |
引用資料[6] |
2019年4月2日以降、271.5kmから181.1kmの超低軌道の軌道保持運用を実施し、イオンエンジンによる軌道保持・大気密度データの取得・原子状酸素データの取得・超低高度からの光学撮像等を実証した[8][4]。また、イオンエンジンとガスジェットエンジンを併用して高度167.4kmを周回しギネス世界記録に認定された[4][9]。
従来の地球観測衛星は低軌道でも高度600から800km程度を保ち、つばめで実証した高度300km以下の超低軌道ではそれと比較して大気密度が高いことから1000倍以上の空気抵抗を受けてしまうため、衛星の速度が低下して高度が急速に落下し長期継続的な活動は不可能であった。一方、超低高度での継続的な地球観測が実用化できれば、衛星はより地上に近い位置で活動できるため同じ性能のセンサでも取得データは高分解能となり、従来高度での撮像能力を維持するならば小型・軽量化が可能になる[10]。
周回軌道は太陽非同期軌道とし、高度268 km以下ではイオンエンジンの電力確保のため降交点通過地方時刻が16時となるドーンダスク軌道に近い軌道がとられる[11]。
つばめは2017年12月23日にH-IIAロケット37号機により、しきさいを高度793kmで分離した後、2度ロケットを燃焼させて高度481kmまで低下したところで分離された[12][13]。投入軌道は遠地点643 km×近地点450 kmの楕円軌道であり、3ヶ月の機能性能確認期間にガスジェットエンジンを使って高度392 kmの円軌道に移行した[4]。
2018年4月から軌道遷移フェーズとして太陽電池パドルを進行方向に向けたエアロブレーキ姿勢に入り、大気抵抗を大きくして燃料消費を抑えながら高度を下げる。
2019年4月、高度271.5 kmでエアロスルー姿勢(光学観測姿勢)に移行して大気抵抗を最小化し、機体に生じる空気抵抗に相当する力をイオンエンジンの推進力で補償する軌道維持を開始。271.5、250、240、230、216.8、181.1kmの超低高度で速度を維持することに成功し、更に後期運用段階ではイオンエンジンの出力だけでは高度を保持できない際に、ガスジェットを自律的に併用することで高度167.4kmを9日間保持した[4]。高度216.8kmにおける大気抵抗はだいち2号の高度(628km)と比較して約3500倍であった[14]。
軌道保持運用は2019年9月30日 9時42分に終了し、10月1日 19時13分に停波作業を実施、運用を終了した[15]。
また、超低高度での原子状酸素の影響による金色の熱制御材(多層インシュレーション:Multi Layer Insulation)のポリイミドフィルムの劣化をモニタリングする装置も備え、軌道高度300 km以下における長期間(6か月)の原子状酸素量の計測や大気曝露による材料劣化のモニタリングを世界で初めて実施し、JAXAが開発した材料が長期間の原子状酸素の曝露に耐えることも実証した[15][6]。
つばめでは、従来から衛星のエンジンとして一般的に使われているガスジェットエンジン(化学エンジン)に比べて、燃料の使用効率が10倍高いキセノンイオンエンジンを採用することで長期間にわたって軌道高度を維持できるようにする。キセノンイオンエンジンは小惑星探査機はやぶさで使用されたことで有名になったが、つばめでは技術試験衛星きく8号で採用されたイオンエンジンのXIESに改良を加えたものを使用する[6]。
GPS受信機を搭載し指定した撮像地点に応じて撮像時刻を自律決定する[11]。
カメラで1週間に1度、試料サンプルの劣化状態を撮影する[10]。
Seamless Wikipedia browsing. On steroids.
Every time you click a link to Wikipedia, Wiktionary or Wikiquote in your browser's search results, it will show the modern Wikiwand interface.
Wikiwand extension is a five stars, simple, with minimum permission required to keep your browsing private, safe and transparent.