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イギリスのゲームブック ウィキペディアから
『さまよえる宇宙船』(さまよえるうちゅうせん、英語:Starship Traveller)はイギリスのゲームブック。著者はスティーブ・ジャクソン。
『ファイティング・ファンタジー』シリーズ第4巻。原書は1983年にパフィンブックスより刊行された。
ブラックホールに吸い込まれて未知の空間に転移した宇宙船の船長として、星々を渡り歩きながら既知の宇宙への帰還を目指す作品。
FFシリーズで最初にSFを題材とした1冊である[1]。同シリーズのSF作品はゲームシステムに凝ったものが多い傾向にあるが、その先駆けたる本書ではとりわけ顕著であり、戦闘方法が3種類もあるうえ、シリーズで唯一の複数キャラクター操作システムまで使っている[2]。
第4作で突然に、異様なまでの分量のルールシステムが追加された理由は、ひとえに「作者がスティーブ・ジャクソンだから」で説明がつく[1]。ジャクソンはもともと斬新な発想に長けており、同僚のイアン・リビングストンが基本線を守るのに対し、派手な作品を生み出すことが多かった[1]。ただ、ジャクソンは新機軸を導入する際、うまく機能することを考え、よく練り上げてから使うので、派手と言ってもやり過ぎない点が優れていた[1]。本書はそのジャクソンの数少ない失敗例であると、安田均は評している[3]。
本書の総パラグラフ数は340であり、ストーリー中で訪問することになる星は20近くあるので、平均するとひとつの星では17パラグラフ前後しか費やしていない[4]。そのためどの星で起こる事件も、通り一遍の物となってしまっている[4]。このストーリー面での単純さを、ルールの複雑化で補おうとした節が見受けられるが、かえって煩雑なだけに終わっている[4]。つまりストーリーの面白さと、複雑なルールを活用する面白さを両立させるには、400にも満たないパラグラフ数では不十分だったのである[5]。
ジャクソンは本書での失敗を踏まえて、ある程度の複雑さを追求するならば『ソーサリー』のような大作に仕上げる一方で、新しいアイディアをルールで表現するならば『地獄の館』の「恐怖点」のようなワンポイントに留めるという方法を確立し、いずれも成功している[6]。
また、シリーズ後続のSF作品が有望な新人作家のデビュー作となり、それぞれが新しいルールの実験の場として機能するようになったのも、本書が生んだ結果と言える[6]。
主要乗組員7名は、それぞれ〈サイコロ1個+6〉の「技術点」と〈サイコロ2個+12〉の「体力点」を備えている。
船長以外の乗組員が死亡した場合、その助手が昇格することになる。体力点は通常通りに決め直すが、技術点は前任者から-2した値となる。また、惑星に降りる際に助手を連れていくことはできない。それ以上の人員損失の危険を冒せないからである。
宇宙船「トラベラー号」は、ブラックホールとして知られるセルツィア空間に捕らわれ、次元を超えて並行宇宙に転移してしまう。
君は船長として、未知の星々をめぐりながら、元の宇宙に帰る手立てを探さねばならない。
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