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『あなたがいたら/少女リンダ』(原題: Wish You Were Here)は、1987年公開のイギリス映画。戦後イギリスの海岸沿いの田舎町を舞台に、自由奔放な少女リンダの思春期における反抗・孤独・性体験・愛をユーモラスに綴った青春物語である[3]。イギリスの田舎町独特の雰囲気が忠実に再現されているとされる[4]。また、高貴なティールームでの大立ち回りや、少女の衣装でタップを踊る老婆など、随所に見られるユーモアとシニカルな表現は、イギリス映画特有の「上品なようでグロテスク」さがあり、モンティ・パイソンを思わせると評される[5]。主演のエミリー・ロイドは、撮影初日に16歳の誕生日を迎え[6]、演技とも地のままとも取れるキュートでみずみずしい姿が話題を呼んだ[5]。
あなたがいたら/少女リンダ | |
---|---|
Wish You Were Here | |
監督 | デヴィッド・リーランド |
脚本 | デイヴィッド・リーランド |
製作 | サラ・ラドクリフ |
出演者 |
エミリー・ロイド トム・ベル ジェフリー・ハッチングス |
音楽 | スタンリー・マイヤーズ |
撮影 | イアン・ウィルソン |
編集 | ジョージ・エイカーズ |
制作会社 |
ゼニスエンターテインメント ワーキング・タイトル・フィルムズ フィルム4・プロダクションズ |
公開 |
1987年5月(カンヌ) 1987年7月24日 1987年12月3日 1987年12月19日 |
上映時間 | 91分 |
製作国 | イギリス |
言語 | 英語 |
製作費 | 120万ポンド[1] |
興行収入 | 1,200万ドル[2] |
1951年のイギリス、16歳のリンダは、地元の名士である父ヒューバートと品行方正な妹マーガレットとともに小さな海辺の町に住んでいた。変化の乏しい日々に退屈し、口を開けば下品な言葉を吐き、隙あらばスカートをたくし上げて少年たちを挑発。奇行を繰り返すリンダは周りから浮いた存在になっていた。美容学校の訓練生だったが、パーマのかけ方が乱暴で退学させられてしまう。父親のコネで、バス会社の事務員、フィッシュ&チップスの移動販売員など、さまざまな仕事に就くが、抑制の効かないリンダは直ぐクビになってしまう。折り合いの悪い父親は、溜まりかねてリンダを精神科医に連れて行くが、医師からの質問にも終始ふざけ続ける始末。いつもアッケラカンとして能天気に見えるリンダだが、自室で1人になると灯りも点けずにうなだれ、優しかった母の思い出に浸りながら人知れず涙を流していた。
すべてのことに退屈しきっていたリンダは、遊歩道で出会った少年ブライアンと映画デートをしたり、若いバス車掌デイブと一夜を共にするなどボーイハントに励むが、父親からの横槍で関係は絶たれてしまう。一方、父ヒューバートの中年の友人エリックはリンダに性的対象として興味を持ち、父ヒューバートの目を盗んではリンダにイヤラしく接触してくる。最初は拒んでいたリンダだが、父親との関係悪化をかき消すかのように、あるいは当て付けのように、中年男エリックとの火遊びにのめり込んでいく。それを知った父ヒューバートは、どれほど哀れな行為か罵り、リンダの母親も生きていたら悲しむだろうと嘆く。
1945年、まだ幼いリンダ。復員してきた父ヒューバートを囲んで親戚友人が集まり、父の"お決まり"の自慢話で大人たちが盛り上がっている。かつての女優との関わりについてだ。そんな中でも粛々と給仕をする母エリザベスを幼いリンダはただ見つめていた。唐突に、脈略のない悪態を突くリンダに父は激怒し部屋から追い出す。自室で1人うなだれるリンダにそっと寄り添い、優しく髪を撫でる母エリザベス。
しばらくしたある日、自室で1人うなだれる幼いリンダ。父が部屋に入ってくるが無言で立ち去る。入れ替わりに叔母のミリーが現れ優しく髪を撫でて階下に連れておりる。下では母の棺が運び出されていた。
エリックとの関係がバレた翌日、リンダは家を出てエリックのもとに身を寄せた。涙ながらに慰めを求めるが、エリックはリンダの訴えを無視しセックスすることにしか興味がない。リンダは最終的にエリックと別れ、ティールーム「パリス・カフェ」のウェイトレスとしての仕事に就き、友達もできて順調に新生活を始めていた。そんな中、突然エリックが現れ、寄りを戻したいと泣きつく。小競り合いの中でリンダが妊娠していることを明かすと、エリックの態度は露骨に急変するのだった。失意のリンダは同僚のヴィッキーに付き添われ、メモを頼りに堕胎医の家を訪ねるも門前で怖気付く。費用もままならない。
家出した娘の妊娠を知った父ヒューバートはティールームに客として訪れる。リンダは挑戦的な態度で接客するが、父親の「アバズレだと分かるぞ」との発言が引き金となって大ゲンカに発展してしまう。止めに入るマネージャーを他所に、次第にエスカレートしたリンダは、テーブルによじ登り、汚い言葉で騒ぎ立て、ティールームの客を下品な言葉で侮辱してみせた。公衆の面前で醜態を晒したリンダはその場で解雇されるが、ティールームのピアノを弾く年配女性と仲間のウェイトレスは、背筋をピンと伸ばし颯爽と立ち去るリンダに拍手を送るのだった。
絶望的な状況に陥ったリンダは、身内で唯一理解のある叔母のミリーに会う。バッグから取り出した札束をそっと差し出すミリー。未婚の子連れでは苦労を背負い込むだけ、堕胎か養子に出すことになる。お金の使い道は自分で決心するようにと促す。リンダは以前訪れた堕胎医の家の門前に佇んでいた。
数ヵ月後、リンダは乳母車に生まれたばかりの赤ん坊を乗せて、晴れ晴れとした表情で生まれ育った町に戻って来た!以前働いていたバス倉庫、少年たちに脚を見せていた遊歩道、かつてのたまり場を颯爽と通り過ぎる。公園の芝生でボール遊びをする大人たちの中にエリックもいたが、鮮やかなドレスに身を包み、堂々と乳母車を押すリンダの姿に愕然としている。リンダは実家の玄関前に到着し呼び鈴を鳴らした。赤ん坊を抱き上げると、ふたりに燦々と陽の光がふりそそぐのだった。
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