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SI単位ではないが、SI単位との併用が国際度量衡委員会により認められている単位 ウィキペディアから
SI併用単位(エスアイへいようたんい)、公式には「SI単位と併用できる非SI単位[1]」(仏: Unités en dehors du SI dont l’usage est accepté avec le SI[2]、英: Non-SI units accepted for use with the SI Units[3])とは、国際単位系において、SI単位ではないが、SI単位との併用が国際度量衡委員会 (CIPM) により認められている単位である[1]。
SI基本単位、SI組立単位およびSI接頭語から成るSI単位は、計算の際に単位の換算をしなくて済むという利点があり、全ての人がSI単位を使用することで、その利点がより発揮されることになる。しかし、実際にはいくつかの非SI単位が科学、技術、通商の分野で使用されており、それらは今後も使われ続けることが予想される。そのため、SIの国際文書ではそれらの非SI単位のうちの15単位を「SI単位と併用できる非SI単位」として明示している。
下記に、SI国際文書「国際単位系(SI)」第9版(2019年)第4章「SI単位と併用できる非SI単位(Non-SI units accepted for use with the SI Units)」の表8[4][5]で挙げられている15個の非SI単位の全てを列挙する。この表中の非SI単位は、SI単位との併用が認められる。なお、ガル(Gal)については、この表8の側方の欄外に掲げられているが、その意味するところは明らかではない。
最後の二つの欄の「計量法上の位置づけ」と「SI接頭語との組合わせ」は、SI国際文書には記載がなく、参考として付加したものである。
量 | 単位の名称 | 単位の記号 | SI単位による値 | (参考)計量法上の位置づけ | (参考)SI接頭語との組合わせ |
---|---|---|---|---|---|
時間 | 分 | min | 1 min = 60 s | 法定 | 不可 |
時 | h | 1 h = 60 min = 3600 s | 法定 | 不可 | |
日 | d | 1 d = 24 h = 86400 s | 非法定[注 1] | 不可 | |
長さ | 天文単位[lower-alpha 1] | au | 1 au = 149597870700 m | 非法定 | 不明 |
平面角および位相角 | 度 | ° | 1° = (π/180) rad | 法定 | 不可 |
分 | ′ | 1′ = (1/60)° = (π/10800) rad | 法定 | 不可 | |
秒[lower-alpha 2] | ″ | 1″ = (1/60)′ = (π/648000) rad | 法定 | 可 注[lower-alpha 2]参照。計量法では不可 | |
面積 | ヘクタール[lower-alpha 3] | ha | 1 ha = 1 hm2 = 104 m2 | 特殊 | 不可 |
体積 | リットル[lower-alpha 4] | l, L[6] | 1 l = 1 L = 1 dm3 = 103 cm3 = 10−3 m3 | 法定 | 可 |
質量 | トン[lower-alpha 5] | t | 1 t = 103 kg | 法定 | 可 |
ダルトン[lower-alpha 6] | Da | 1 Da = 1.66053906660(50)×10−27 kg[注 2][7] | 非法定 | 可 | |
エネルギー | 電子ボルト[lower-alpha 7] | eV | 1 eV = 1.602176634×10−19 J | 非法定 | 可 |
比の対数 | ネーパ[lower-alpha 8] | Np | 非法定 | 不明 | |
ベル[lower-alpha 8] | B | 非法定 | 不明 | ||
デシベル[lower-alpha 8] | dB | 法定 | 不可 |
(表の側方欄外)ガル(記号 Gal)は、測地学および地球物理学で重力加速度を表現するために用いられている加速度の非SI単位である。1 Gal = 1 cm s−2 = 10−2 m s−2
(参考)(注)「(参考)計量法上の位置づけ」欄の意味: 法定:法定計量単位、特殊:特殊の計量に用いる法定計量単位、非法定:非法定計量単位
SI併用単位であっても、そのすべてが法定計量単位となっているわけではない。日本の計量法の規定では、次のようになっている。
国際単位系国際文書第9版(2019)は、「SI接頭語は、SI併用単位の一部とは併用できるが、例えば時間の非SI単位との併用はできない。」と記述しているのみで、分・時・日以外の12個のSI併用単位のうち、どの単位がSI接頭語と組み合わせることができるかについては、明確に述べていない。
日本の計量法の規定(計量単位令第4条1号)では、次の単位にはSI接頭語を付することができない(SI接頭語#法定計量単位のうちSI接頭語を付けることができない単位)ので、これをも参考にした分類は次の通りである。なお、 日は計量法上は計量単位ではなく、暦の単位と位置づけられている。
以下の単位は、計量法上の法定計量単位ではなく、SI国際文書の記述からも、SI接頭語と組み合わせることができるかどうかは不明である。
SI国際文書において、「SI併用単位」の範囲は次のように改訂されてきた[9][10]。
1970年(第1版)、1973年(第2版)、1977年(第3版)において、次のように規定されていた。これは1969年のCIPMの決定によるものである。
1981年(第4版)、1985年(第5版)、1991年(第6版)においては、次のようになった。
1998年の第7版においては、次のようになった。これは1996年のCIPMの決定によるものである。
2006年の第8版においては、次のようになった。これは2004年のCIPMの決定によるものである。
ただし、ネーパ、ベル、デシベルの3つは、SI単位とは考えられていないが表8に記載されており、CIPMによりSI単位との併用が認められている[11]。
(ダルトンが追加された。原子質量単位の名称が統一原子質量単位となった。ただし、ダルトンと統一原子質量単位は同じ単位であり、名称と単位記号が異なるだけである。)
2019年の第9版においては、次のようになり、SI併用単位の扱いが一新された[12]。 1970年以来の「実験的に得られる併用単位」のカテゴリーが廃止され、「併用単位」のカテゴリーに一括された。
(天文単位、ダルトン、電子ボルトが実験的に得られるものから移動された。ダルトンと統一原子質量単位は名称と単位記号が異なる同一の単位でありダルトンに統一された。ネーパとベルが復活し、デシベルが追加された)
第8版(2006年)のSI国際文書「国際単位系(SI)」(廃版)では、その第4章において「SIと併用される非SI単位,及び基礎定数をよりどころとする単位」として、SI併用単位とは別に表7、表8、表9に様々な非SI単位が掲げられていた[13]が、それらは第9版(2019年)ではすべて削除された。削除された単位については、非SI単位を参照のこと。
なお、表7、表8、表9の非SI単位のうち、天文単位、ダルトン、電子ボルト、ネーパ、ベル、デシベルの6単位(およびガル)は、第9版上の「SI併用単位」に格上げされた。
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