SEAC
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SEAC(Standards Eastern Automatic Computer[1] または Standards Electronic Automatic Computer[2])は、1950年にアメリカ国立標準局(NBS)が開発した第一世代の電子コンピュータである。NBSが、より強力なコンピュータ(DYSEAC)が完成するまでのつなぎとして、短期間で開発して稼働できるように設計した小型コンピュータであり、当初は National Bureau of Standards Interim Computer(国立標準局暫定コンピュータ)と呼ばれていた。


SEACの開発チームは、サミュエル・N・アレクサンダーによって組織された[3]。SEACは1950年4月に公開され、同年6月に稼働した[4][5][6]。SEACは米国で最初に完全動作したプログラム内蔵型電子コンピュータであると主張されている[7]。
詳細
SEACはEDVACに基づいた設計で、当時としては少ない747本の真空管(最終的には1,500本まで増設)と、10,500個のゲルマニウムダイオード(後に16,000個に増設)を使用していた。全てのロジック機能はダイオードが担当し(動作原理はDiode-transistor logicを参照)、真空管は増幅と反転、およびフリップフロップによる情報の保存のみに使用された。SEACは、ほとんどのロジックを半導体デバイスで実行した最初のコンピュータである[8]。64個の遅延記憶装置を使用して512ワードの主記憶装置を構成していた。各ワードは45ビット幅である。クロックレートは1MHzと低く抑えられた。
コンピュータの命令セットは、固定小数点数の加算・減算・乗算・除算、および比較・入力・出力の11種類の命令で構成されていた。最終的に16種類に拡張された。
加算には864マイクロ秒、乗算には2980マイクロ秒(つまり約3ミリ秒)かかった。
利用例
SEACはテレタイプによって遠隔地から使用することもできた。すなわち、SEACは遠隔利用された最初のコンピュータのうちの1つということになる。SEACは様々な改造を施されながら1964年まで使用された[9]。以下のような分野の計算がSEAC上で行われた。
- デジタル画像処理(ラッセル・A・キルシュによる)
- 都市交通シミュレーションのコンピュータアニメーション[10][11]
- 気象学
- 線形計画問題
- 光学レンズ
- ロスアラモス国立研究所による利用
- LORAN航法用の数表作成
- 統計的サンプリング計画
- ヘリウム原子の波動関数
- 陽子シンクロトロンの設計
- SEACのブロック図
- SEACの入出力図
- 磁気ワイヤードライブとカートリッジ
- 磁気ワイヤから紙テープへの変換器と、紙テープの内容をプリントアウトする装置
- SEACのスキャナ
- 初めてSEACでスキャンされた画像。ラッセル・A・キルシュの息子の写真。
- サミュエル・N・アレクサンダーとSEAC
- 1960年にHorace JosephとGeorge A. MooreがSEACイメージスキャナを使用して冶金写真を分析している様子。Mooreは法的盲だった[12]。
- SEACの配線
- SEACの制御卓にいるEthel Marden(1959年)
関連項目
- SWAC (Standards Western Automatic Computer)
- 真空管式コンピュータ一覧
- Manchester Baby
脚注
参考文献
外部リンク
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