Loading AI tools
ウィキペディアから
RAD50は、ヒトではRAD50遺伝子にコードされるタンパク質である[5]。
RAD50遺伝子にコードされるRAD50タンパク質は、DNA二本鎖切断修復に関与するタンパク質である、出芽酵母Saccharomyces cerevisiaeのRad50タンパク質と高度に類似している。このタンパク質はMRE11、NBS1(酵母ではXrs2)と複合体を形成する。このMRN複合体(酵母ではMRX複合体)は損傷DNA末端に結合し、非相同末端結合または相同組換えによる二本鎖切断修復に必要な多数の酵素活性を示す。Rad50のマウスホモログの遺伝子ノックアウト研究からは、このタンパク質が細胞成長と生存に必要不可欠であることが示唆されている[5]。
RAD50はSMCタンパク質ファミリーの一員である[6]。他のSMCタンパク質と同様に、RAD50の内部には長いコイルドコイルドメインが存在し、このドメインによって折り返されることでN末端とC末端は共に球状のABC型ATPアーゼヘッドドメインを形成する。RAD50はヘッドドメイン、そしてコイルドコイルの反対側に位置する亜鉛結合二量体化モチーフ(“zinc-hook”と呼ばれる)を介して二量体化することができる[7]。原子間力顕微鏡を用いた研究からは、遊離したMRN複合体中ではRAD50二量体中のzinc-hookどうしが結合して閉じたループを形成しているが、DNAへの結合に伴ってzinc-hookは切り離され、zinc-hookを介したDNA損傷末端の係留を可能にするコンフォメーションをとるようになることが示唆されている[8]。
RAD50は次に挙げる因子と相互作用することが示されている。
Rad50タンパク質の研究は主に真核生物で行われている。しかしながら、Rad50タンパク質のオルソログは現存する古細菌にも保存されており、相同組換え修復に機能している可能性が高いことが示されている[20]。超高熱性古細菌Sulfolobus acidocaldariusでは、Rad50とMre11タンパク質は相互作用し、ガンマ線照射によって導入されたDNA損傷の修復に活発な役割を有しているようである[21]。こうした知見は、真核生物のRad50が祖先型古細菌においてDNA損傷の相同組換え修復に役割を果たしていたRad50タンパク質の子孫である可能性を示唆している。
ヒトのRAD50欠損症は、小頭症と低身長の患者で報告される常染色体劣性症候群である。その臨床的表現型はナイミーヘン染色体不安定症候群と類似している。患者由来の細胞は、染色体切断応答の機能不全を伴う放射線感受性の増大を示す[22][23][24]。
Seamless Wikipedia browsing. On steroids.
Every time you click a link to Wikipedia, Wiktionary or Wikiquote in your browser's search results, it will show the modern Wikiwand interface.
Wikiwand extension is a five stars, simple, with minimum permission required to keep your browsing private, safe and transparent.