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正方行列 A を下三角行列 L と上三角行列 U の積に分解する数学的操作 ウィキペディアから
数学における行列のLU分解(エルユーぶんかい、英: LU decomposition)とは、正方行列 A を下三角行列 L と上三角行列 U の積に分解すること。すなわち A = LU が成立するような L と U を求めることをいう。正方行列 A のLU分解が存在する必要十分条件はすべての首座小行列式が 0 でないことである。また L の対角成分をすべて 1 とすれば分解はただ一通りに定まる。文献によってはLR分解とも呼ばれる(それはAを左三角(left triangular)と右三角(right triangular)の行列の積に分解するということにちなむ)。
以下、n 次正方行列の場合で説明する。基本的にはA = LU の各成分について書き下した n2 個の式を解くことにより、行列 L , U を求めるのだが、このままでは未知の係数の個数(n (n + 1) 個)が式の個数(n2個)より多いので解けない。これを解くための解法には ドゥーリトル法 と クラウト法 の2つがある。
ドゥーリトル法による2次行列のLU分解を行う。与えられた正方行列A の成分をaij とする。
の解き方に、行列 A を LU分解する方法がある。L , U は下三角行列、上三角行列であるため、逆行列を求めることなく計算することが可能である。このため、同じA に対しb だけを変えていくつも連立方程式を解く場合、LU分解は有用である[1]。
与えられた方程式
に対し、変数y を
とおき、これを上式に代入する。
から変数y を求める[注釈 1]。求めた解y をUx = y の右辺に代入し、解 x を求めることができる[注釈 2]。
Ly = bはガウスの消去法の前進消去、Ux = yは後退代入に対応する。
行列 A を LU 分解すると、
により逆行列A-1 を求められる。
また、
の解xi を並べた行列は AX = I を満たすので、このようにしても逆行列A-1 を求めることができる。
行列 A を LU 分解できれば、その行列式は簡単に求めることができる。なぜならば、行列 L および U は三角行列であることから、それらの行列式 |L | , |U | は対角成分の積で表され、|A | は、
と計算できるからである。
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