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2020年サヒールグランプリ (英語: 2020 Sakhir Grand Prix) は、2020年のF1世界選手権第16戦として、2020年12月6日にバーレーン・インターナショナル・サーキットのアウター・トラックで開催された。
チーム | No. | ドライバー | コンストラクター | シャシー | パワーユニット |
---|---|---|---|---|---|
メルセデスAMG・ペトロナス・フォーミュラワン・チーム | 63 | ジョージ・ラッセル | メルセデス | W11 | メルセデスAMG F1 M11 EQ Performance |
77 | バルテリ・ボッタス | ||||
スクーデリア・フェラーリ | 5 | セバスチャン・ベッテル | フェラーリ | SF1000 | フェラーリ 065 |
16 | シャルル・ルクレール | ||||
アストンマーティン・レッドブル・レーシング | 33 | マックス・フェルスタッペン | レッドブル | RB16 | ホンダ RA620H |
23 | アレクサンダー・アルボン | ||||
マクラーレンF1チーム | 55 | カルロス・サインツ | マクラーレン | MCL35 | ルノー E-Tech 20 |
4 | ランド・ノリス | ||||
ルノー・DPワールド・F1チーム | 3 | ダニエル・リカルド | ルノー | R.S.20 | ルノー E-Tech 20 |
31 | エステバン・オコン | ||||
スクーデリア・アルファタウリ・ホンダ | 26 | ダニール・クビアト | アルファタウリ | AT01 | ホンダ RA620H |
10 | ピエール・ガスリー | ||||
BWT・レーシング・ポイント・F1チーム | 11 | セルジオ・ペレス | レーシング・ポイント | RP20 | BWTメルセデス (メルセデスAMG F1 M11 EQ Performance) |
18 | ランス・ストロール | ||||
アルファロメオ・レーシング・オーレン | 7 | キミ・ライコネン | アルファロメオ | C39 | フェラーリ 065 |
99 | アントニオ・ジョヴィナッツィ | ||||
ハースF1チーム | 51 | ピエトロ・フィッティパルディ | ハース | VF-20 | フェラーリ 065 |
20 | ケビン・マグヌッセン | ||||
ウィリアムズ・レーシング | 89 | ジャック・エイトケン | ウィリアムズ | FW43 | メルセデスAMG F1 M11 EQ Performance |
6 | ニコラス・ラティフィ | ||||
ソース:[15][16] |
FP1は気温26度、路面温度30度で始まり[17]、真っ先に周回を重ねたマクラーレン勢がカルロス・サインツJr.が56秒631、ランド・ノリスが56秒884と1分を切るタイムを出し、この時点で早々と1974年フランスGP(en)(ディジョン・プレノワ・サーキット)の予選でニキ・ラウダが記録した58秒79を超えた。ルイス・ハミルトンの病欠により急遽メルセデスに乗るジョージ・ラッセルが54秒546のトップタイムを出した[18]。
FP2は気温24度、路面温度26度で始まり、ラッセルが54秒713でFP1に続いてトップタイムを出した。チームメイトのバルテリ・ボッタスは54秒506でラッセルより速いタイムを出していたが、ターン8のトラックリミット違反によりタイムが抹消された[19]。ボッタスはその後も満足な走りができず11番手に終わった[20]。ラッセルに続いたのはマックス・フェルスタッペンの54秒841だったが[19]、フェルスタッペンはマシンバランスにおいてメルセデスとの差を感じ取った[21]。
一夜明けたFP3は気温25度、路面温度30度で始まった[22]。ハースはセッション開始を前にピエトロ・フィッティパルディのパワーユニットのうち、エナジーストア(ES)とコントロールエレクトロニクス(CE)の交換を行った。両コンポーネントとも年間最大基数[注 2]を超える3基目となったため、グリッド降格ペナルティが科せられる[23]。トップタイムはフェルスタッペンの54秒064だが、15番手のセバスチャン・ベッテルまでわずか0.794秒の差であった[22]。
メルセデスのバルテリ・ボッタスが、病欠のルイス・ハミルトンに代わって急遽メルセデス・W11を駆るジョージ・ラッセルをわずか0.026秒差で抑え、今季5回目のポールポジションを獲得して意地を見せた。フロントローを独占したメルセデス勢は唯一Q2をミディアムタイヤで通過して[注 3]、ハミルトン不在の中でも優位を見せつけた。マックス・フェルスタッペンはボッタスに0.056秒差で3番手、シャルル・ルクレールは新品のソフトタイヤがなくなったため2度目のアタックをしなかったが4番手に入った[25]。アルファタウリ勢は2台ともQ3進出を果たしたが[26]、アレクサンダー・アルボンはタイヤ戦略を見誤りQ2で敗退した[27]。
順位 | No. | ドライバー | コンストラクター | Q1 | Q2 | Q3 | Grid |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 77 | バルテリ・ボッタス | メルセデス | 53.904 | 53.803 | 53.377 | 1 |
2 | 63 | ジョージ・ラッセル | メルセデス | 54.160 | 53.819 | 53.403 | 2 |
3 | 33 | マックス・フェルスタッペン | レッドブル-ホンダ | 54.037 | 53.647 | 53.433 | 3 |
4 | 16 | シャルル・ルクレール | フェラーリ | 54.249 | 53.825 | 53.613 | 4 |
5 | 11 | セルジオ・ペレス | レーシング・ポイント-BWTメルセデス | 54.236 | 53.787 | 53.790 | 5 |
6 | 26 | ダニール・クビアト | アルファタウリ-ホンダ | 54.346 | 53.856 | 53.906 | 6 |
7 | 3 | ダニエル・リカルド | ルノー | 54.388 | 53.871 | 53.957 | 7 |
8 | 55 | カルロス・サインツ | マクラーレン-ルノー | 54.450 | 53.818 | 54.010 | 8 |
9 | 10 | ピエール・ガスリー | アルファタウリ-ホンダ | 54.207 | 53.941 | 54.154 | 9 |
10 | 18 | ランス・ストロール | レーシング・ポイント-BWTメルセデス | 54.595 | 53.840 | 54.200 | 10 |
11 | 31 | エステバン・オコン | ルノー | 54.309 | 53.995 | 11 | |
12 | 23 | アレクサンダー・アルボン | レッドブル-ホンダ | 54.620 | 54.026 | 12 | |
13 | 5 | セバスチャン・ベッテル | フェラーリ | 54.301 | 54.175 | 13 | |
14 | 99 | アントニオ・ジョヴィナッツィ | アルファロメオ-フェラーリ | 54.523 | 54.377 | 14 | |
15 | 20 | ケビン・マグヌッセン | ハース-フェラーリ | 54.705 | 15 | ||
16 | 6 | ニコラス・ラティフィ | ウィリアムズ-メルセデス | 54.796 | 16 | ||
17 | 89 | ジャック・エイトケン | ウィリアムズ-メルセデス | 54.892 | 17 | ||
18 | 7 | キミ・ライコネン | アルファロメオ-フェラーリ | 54.963 | 18 | ||
19 | 4 | ランド・ノリス | マクラーレン-ルノー | 54.194 | 54.693 | 19 1 | |
20 | 51 | ピエトロ・フィッティパルディ | ハース-フェラーリ | 55.426 | 20 2 | ||
107% time: 57.677 | |||||||
ソース:[28][29] |
イタリアGPと同じように、メルセデスにピットミスが発生し大波乱となったレースをセルジオ・ペレスが制した。ペレスにとっては、F1史上最も遅い190戦目での初優勝であり[34][注 4]、レーシング・ポイントにとっても初優勝となった。2位に入ったルノーのエステバン・オコンもF1初表彰台。3位にはランス・ストロールが入り、レーシング・ポイントは初のダブル表彰台を獲得した。また、オコンは2018年途中のレーシング・ポイント発足時に同チームに在籍しており、本レースはレーシング・ポイントでの参戦経験があるドライバーが表彰台を占めることとなった。メキシコ人の優勝は1970年ベルギーGPのペドロ・ロドリゲス以来50年ぶりである[35]。ペレスはスタート直後にシャルル・ルクレールに接触してピットインを強いられ最後尾まで順位を落としたが、そこから巻き返しての優勝だった。なお、ルクレールはペレスとの接触によって行き場を失ったマックス・フェルスタッペンとともにクラッシュした件により、次戦アブダビGPで3グリッド降格のペナルティが科せられた[36]。初優勝を逃したジョージ・ラッセルはバルテリ・ボッタス用のタイヤを装着した件で審議対象となったが、チームに罰金が科せられただけで済み、初入賞(9位)と初のファステストラップが確定した[37]。
ラッセルがスタートを決め、スタートの蹴り出しが鈍かったボッタスをターン1でパス。メルセデス勢の後ろでルクレール、フェルスタッペン、ペレスの3人が3位争いをする中、ターン4でルクレールがブレーキングを遅らせすぎた結果、ペレスに接触してスピン、ルクレールはフロントサスペンションを損傷してしまう。フェルスタッペンはこれを回避しようと減速してワイドターンを取ったが、ターン4外が特殊舗装のアスファルトではなくグラベルであったことに気づかず[38]に侵入したことでトラクションを失い、バリアに衝突した。ルクレールとフェルスタッペンはリタイアしたが、ペレスはフロアにダメージがあったもののピットに戻ることができ、ミディアムタイヤに交換して最後尾を走行した。ターン3ではライコネンが単独スピンしたがダメージはなくそのままレースに復帰した。
このアクシデントを受けて入ったセーフティカー(SC)が7周目に解除されると、1位走行のラッセルがファステストラップを連発する走りで徐々にリードを広げていく。その後ろにはマクラーレン、アルファタウリ、ルノーのドライバーが続いた。ペレスは20周目にはポイント圏内の10位に浮上。50周目には全チームが最初のピットストップを行い、トップ3はラッセル、ボッタス、サインツ。 ペレスは2回目のピットストップを行い、9番手で復帰した。
54周目にラティフィが、ターン8でオイル漏れを起こしてリタイアし、バーチャル・セーフティカー(VSC)が導入された。トップを走る2台のメルセデスの後ろにいた数人のドライバーがタイヤ交換のためにピットインした。サインツとリカルドはVSCの解除が予想よりも早かったことから、グリーンフラッグ下でのピットインを余儀なくされ、順位を下げてしまった。SC中のステイアウトを選択したペレスが3位に浮上し、オコンが4位、ストロールが5位となった。
61周目、15位のジャック・エイトケンがスピンしてフロントウイングをバリアに接触させウイングが脱落。本レース2回目のVSCが発動した。メルセデスは63周目に両ドライバーのピットインを選択し、この時点でVSCはデブリ回収のためSCに変更された。メルセデスのタイヤクルーとの無線通信に問題があったため、どちらのタイヤを先に準備するかでピットに混乱が生じた。ラッセルはボッタスのフロントタイヤを誤って装着した状態でコースに復帰し、ボッタスに関してはクルーが作業中にミスに気付いたため、とりあえず自分が履いてきたタイヤを再装着して送り出されることになり、30秒近くのタイムロスとなった。ラッセルは次の周に正しいタイヤを装着するために再びピットインすることを余儀なくされた。ボッタスが4位、ラッセルが5位となり、トップ3にはペレス、オコン、ストロールが入った。
69周目にSCが終了すると、トップ4ドライバーの中で唯一フレッシュタイヤを履いていたラッセルは73周目までにボッタス、ストロール、オコンを次々にオーバーテイクして2位に浮上。ボッタスはピット作業の混乱で結局交換できずじまいのままのハードタイヤの性能低下で9位に後退。78周目、ラッセルのマシンは左リアタイヤのパンクに見舞われ、再びタイヤ交換のためのピットインを余儀なくされ14番手まで後退したが9位まで挽回し、自身のF1キャリア初のポイントとファステストラップポイントを獲得した。レースはこのままペレスが逃げ切り、キャリア初優勝を飾った。
順位 | No. | ドライバー | コンストラクター | 周回数 | タイム/リタイア原因 | Grid | Pts. |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 11 | セルジオ・ペレス | レーシング・ポイント-BWTメルセデス | 87 | 1:31:15.114 | 5 | 25 |
2 | 31 | エステバン・オコン | ルノー | 87 | +10.518 | 11 | 18 |
3 | 18 | ランス・ストロール | レーシング・ポイント-BWTメルセデス | 87 | +11.869 | 10 | 15 |
4 | 55 | カルロス・サインツ | マクラーレン-ルノー | 87 | +12.580 | 8 | 12 |
5 | 3 | ダニエル・リカルド | ルノー | 87 | +13.330 | 7 | 10 |
6 | 23 | アレクサンダー・アルボン | レッドブル-ホンダ | 87 | +13.842 | 12 | 8 |
7 | 26 | ダニール・クビアト | アルファタウリ-ホンダ | 87 | +14.534 | 6 | 6 |
8 | 77 | バルテリ・ボッタス | メルセデス | 87 | +15.389 | 1 | 4 |
9 | 63 | ジョージ・ラッセル | メルセデス | 87 | +18.556 | 2 | 3 FL |
10 | 4 | ランド・ノリス | マクラーレン-ルノー | 87 | +19.541 | 19 | 1 |
11 | 10 | ピエール・ガスリー | アルファタウリ-ホンダ | 87 | +20.527 | 9 | |
12 | 5 | セバスチャン・ベッテル | フェラーリ | 87 | +22.611 | 11 | |
13 | 99 | アントニオ・ジョヴィナッツィ | アルファロメオ-フェラーリ | 87 | +24.111 | 14 | |
14 | 7 | キミ・ライコネン | アルファロメオ-フェラーリ | 87 | +26.153 | 18 | |
15 | 20 | ケビン・マグヌッセン | ハース-フェラーリ | 87 | +32.370 | 15 | |
16 | 89 | ジャック・エイトケン | ウィリアムズ-メルセデス | 87 | +33.674 | 17 | |
17 | 51 | ピエトロ・フィッティパルディ | ハース-フェラーリ | 87 | +36.858 | 20 | |
Ret | 6 | ニコラス・ラティフィ | ウィリアムズ-メルセデス | 52 | オイル漏れ[39] | 16 | |
Ret | 33 | マックス・フェルスタッペン | レッドブル-ホンダ | 0 | アクシデント[36] | 3 | |
Ret | 16 | シャルル・ルクレール 1 | フェラーリ | 0 | 接触[36] | 4 | |
ソース:[40] |
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