無線電信
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無線電信(むせんでんしん、英語: wireless telegraphy, radiotelegraphy)とは、電波により信号が送信される電信である[1][2]。Wireless telegraphy(無線電信)という用語は、1910年頃以降はもっぱら電波(radio)による電信を指すようになったが、それ以前は、電磁誘導や大地導電(英語版)など、電線を使わずに電信信号を伝送する様々な実験技術を指す言葉としても使用されていた[注釈 1][3][4]。無電(むでん)と略されることがある[5]。
無線電信は無線通信の最初の手段だった。グリエルモ・マルコーニが1894 - 95年に発明した初の実用的な無線送信機と受信機は、無線電信を使用した。振幅変調(AM)による無線電話の開発によって電波で音声を伝送することが可能になった第一次世界大戦期までの約30年間は、無線で伝送できるのは電信のみであり、この期間は"wireless telegraphy era"(無線電信の時代)と呼ばれる。無線電信では、情報は短点(トン)と長点(ツー)の2つの異なる長さの電波のパルスによって送信され、通常はモールス符号を使用して文字によるメッセージを綴る。手動による電信では、送信側のオペレータは、電鍵(キー)と呼ばれるスイッチを操作して送信機のオンとオフを切り替え、電波のパルスを生成する。受信機では、パルスを受信機のスピーカから聞こえる可聴音に変換し、モールス信号を知っているオペレータによって元のメッセージに変換される。
20世紀前半にかけて、無線電信は長距離の商用、外交用、軍用の文字通信に使用された。これは、2つの世界大戦の間に、戦略的に重要な能力となった。なぜなら、長距離の無線電信局がない国は、敵により海底電信ケーブルが切断されると、世界の他の地域から隔離されてしまうからである。1908年頃から、高出力の大洋横断無線電信局が1分あたり最大200ワードの速度で国際商用電報を送信した。無線電信はその歴史の間にいくつかの異なる変調方式によって送信された。1920年まで使用されていた原始的な火花送信機は、非常に広い帯域幅を持ち混信を起こしやすい傾向がある減衰波を送信した。減衰波を出す送信機は1930年までに使用が禁止された。1920年以降に使用されるようになった真空管送信機は、今日でも使用されている連続波(CW: continuous wave)と呼ばれる無変調の正弦波の搬送波のパルスを出すことができた。受信機でCW送信を聞こえるようにするためには、BFO(うなり周波数発振器)と呼ばれる回路を必要とする。第3の変調方式である周波数シフトキーイング(英語版)(FSK)は、主にラジオテレタイプ(RTTY)によって使用された。第二次世界大戦期には、モールス符号による無線電信はほとんどの分野でラジオテレタイプに置き換えられた。今日では、モールス信号による無線電信は時代遅れのものとみなされており[要出典]、今なお使用しているのはアマチュア無線のほか、軍隊による非常通信のための訓練くらいである。