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日本の北海道の民謡 ウィキペディアから
江差追分(えさしおいわけ)は北海道の民謡。渡島半島の日本海沿岸に位置する檜山郡江差町が発祥の地である。
江戸時代中期以降に発生したとされている。信濃の追分節に起源があるとするのが定説のようである。北海道指定の無形民俗文化財。「姥神大神宮渡御祭と江差追分」として、北海道遺産に選定されている。 文部科学省からの中学校学生指導要領解説音楽編の鑑賞教材としても指定されている。
信濃国追分宿の馬子唄が北前船の船頭たちによって伝わったとする説[1]、馬子唄が全国に広がった後に北海道に入植した越後出身者によって伝わったとする説がある[2]。今の江差追分の原形は、寛永年間に南部国出身の座頭の佐之市が謙良節と追分を融合させたものと言われる[3]。その後、歌い継がれる間に幾多の変遷を経て、浜小屋節や新地節など多くの流派が発生した。
1884年(明治17年)「小桝のばあさん」と呼ばれた小桝清兵衡の母が唄の調子を「二上り」とする座敷唄を基本として定型化し、親方衆や船頭衆に教えた[4]。この歌が正調江差迫分の元祖とされている[4]。1908年(明治41年)、追分節の統一を図る動きが生まれ、平野源三郎が追分節正調研究会を発足し、正調江差追分を「本唄を生命とする」「詰木石節を骨子とする」「調子をニコ上げ(二上がり)とする」「囃子をソイーソイとする」「七節を七声で途中切らずに唄うものとする」と定めた[4]。さらに、1911年(明治44年)現在の7線による独自の曲譜が完成した[4]。
しかし、その後も各流派が独自路線を歩み、江差追分統一にまでは至らなかった[4]。1935年(昭和10年)原田浅次江差町長(当時)が各師匠を説得して町内の追分会派を改組し、自らが会長に就任することで江差追分会が誕生した[4]。これにより江差追分が完全に統一され、正調として固定化されて現代に至る[4]。
正調江差追分の調べは以下の通りである[4]。
1節は大波の上より次第に海底に沈む思いを含み、
2節は沈んだ思いより次第に浮き上がる感じを持ち、
3節はその浮き上がった思いより逆に海底に引き込まれるような感じをもち、
4節は3節より悲哀の調子に至り、
5節は本曲の最も骨子となすところで熱情ほとばしり、真に血を吐く思いという感じを出し、
6節は3節同様海底に引き込まれる思いを出し、
7節は4節同様悲哀の情調をもって唄い終わるものとして、
7節を2分20秒から2分25秒までに唄い終わるとしている。(現在は2分30秒から2分40秒に唄い終わる場合が多い)
江差追分は以下の本唄を基本として、2分50秒間ほどかけて歌う[5]。
カモメのなく音に ふと目を覚まし あれが蝦夷地の山かいな 江差追分・本唄
本唄に対して、前唄と後唄がある[6]。前唄も後唄も本唄の情緒を高めるためのものであり、自由に唄われるべきで楽譜も規定に定まったものではない[6]。代表的な歌詞は以下の通り[6]。
前唄
国をはなれて 蝦夷地が島へヤンサノェー
幾夜寝覚めの 波枕
朝なタなに聞こゆるものはネ~
友呼ぶかもめと 波の音
本唄
かもめの 啼く音に ふと目をさまし
あれが蝦夷地の 山かいな
後唄
沖でかもめの 啼く声聞けばネ~
船乗り稼業は やめられぬ
前唄
好いた同志の 泣き別れ
連れて行く気は 山々なれどネ~
女通さぬ 場所がある
本唄
後唄
蝦夷地海路の おかもい様はネ~
なぜに女の 足とめる
「こぶし」や「ゴロ」と呼ばれる装飾的な節回しが特徴であり、唄い方としては「出だし」「せつど」「二声あげ(のし)」「もみ」「本すくり」「すくい」「半すくり」「止め」という技法を駆使して唄う[要出典]。日本一難しい民謡といわれる所以である[要出典]。
1963年(昭和38年)、江差追分の振興・継承を目的として、第一回江差追分全国大会が開催された[3][7]。その後大会は一年に一度、毎年9月に江差町で開かれ、全国の江差追分会支部の予選を勝ち抜いてきた出場者が、日本一を目指して熱唱している。札幌では4年生で習う。2020年(令和2年)、2021年(令和3年)新型コロナウイルスの影響により全国大会は開催されていない。前唄・後唄は唄わず、本唄の部分のみを唄い競い合う。
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