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SLAM DUNKの登場人物 ウィキペディアから
桜木 花道(さくらぎ はなみち)は、井上雄彦の漫画作品およびそれを原作とするアニメ『SLAM DUNK(スラムダンク)』に登場する架空の人物で、本作の主人公。
担当声優は草尾毅。劇場アニメ『THE FIRST SLAM DUNK』では木村昴[1]。
赤い髪がトレードマーク。和光中学時代は不良であり、喧嘩に明け暮れる一方、「好きな娘と一緒に登下校する」という少年らしい夢を持っており、50人の女性に告白したが全て振られ、50人目の相手である島村葉子(アニメ版より)の好きな相手が「バスケ部の小田」だったためにバスケットボールが大嫌いになる。湘北高校に入学直後に怪物とも言われる湘北バスケ部キャプテンの赤木剛憲を挑発しながら喧嘩を売った。それにキレた剛憲との対決の際、不慮の事故により彼のズボンを公衆の面前で脱がせており、この出来事のインパクトは彩子に思い出し笑いさせる程。 入学直後に自身の体格に目を付けた同学年の赤木晴子に話しかけられた際、彼女に一目惚れして誘われるがままにバスケ部への入部を決意し、これが彼の高校生活を大きく変えていくきっかけとなる。晴子の兄でもある剛憲にしごかれ、派手なプレイではなく毎日退屈な基礎練習ばかりやらされるが[注 2]、それからは次第にバスケの面白さに目覚め、持ち前の体力や様々なライバルとの勝負で急激に成長していく。晴子が兄の幼馴染の青田を「龍ちゃん」と呼んでいるのを聞いて、「花ちゃん」と呼ばれたいと思っている。
気性が激しく粗暴で自信過剰で、清田や南郷に並ぶお調子者で目立ちたがり屋。喧嘩っ早く、中学時代から、高校生4人がかりでも勝てないくらい喧嘩が強かった(その高校生は恥は承知の上で8人で仕返しした)ことから、暴力を振るうことも多く、キレて暴れると手がつけられないほど凶暴になる。喧嘩での得意技は頭突き。このように絵に描いたような問題児ではあるが、根は繊細で真面目[注 3]であり、桜木軍団の例に漏れず喧嘩において卑怯な戦い方や弱い者いじめは決して行わず、クラスメイトからも慕われている模様。女性に関しては、頭が上がらず、「さん」付けで呼ぶ[注 4]。
トレードマークの赤い髪に関しては、最初はリーゼントだったが、海南との試合で自身のパスミスによる敗退に責任を感じて以降は、心機一転して、坊主頭に変え[注 5]、最終回エピローグでは、スポーツ刈りのようになっていた。
剛憲に対する「ゴリ」、魚住に対する「ボス猿」など、チームメイトや他校の選手に、その特徴を突いた失礼なあだ名をつけ、自分だけで勝手に[注 6]そう呼び続ける[注 7]。また作者の井上は桜木が人の名前をあだ名で呼ばない時は、必ずカタカナにしていると語る[注 8][3]。その一方で「野猿」とあだ名をつけた清田からは「赤毛猿」とあだ名をつけ返され、アニメ版では流川親衛隊から「赤坊主」のあだ名を付けられた。映画版では、南郷ともお互いに「猿」や「バカ」呼ばわりしている。この3人は流川も目の敵にしており、自分を「スーパールーキー」と称している。
学業の成績は極端に悪く、1学期終了時に赤点が7つあった[注 9]。その後、流川と三井と宮城と共に赤木宅にて勉強合宿し、追試をギリギリで合格した。普段の授業態度も悪く、授業中も平気で居眠りし、教師から目の敵にされている。
大食漢で、食事のときはいつも数人前の料理を1人で全てたいらげている。高宮曰く、その際の支払いはすべてツケとのこと。また、アニメでは翔陽戦から数日後、ラーメン5杯を食べた後の場面がある他、活躍ぶりに店主が大盛りをサービスしている。
所持金は常にやや金欠気味で、チエコスポーツの店長のコレクションであり「10万円積まれても売る気がなかった」というほどのエア・ジョーダンⅥを「中古だからまけてくれ」と30円で半ば強引に購入したり、500円しか持っていないのにもかかわらず桜木軍団と共にパチンコ店に行き、途中で牧に誘われたためその所持金で愛知行きの新幹線に乗ろうとするなど、少々世間の金銭感覚に疎いところがる。
憧れの晴子が流川に片想いだと知り[注 10]これがきっかけとなって素人ながら身の程知らずにも流川に強烈なライバル意識を抱くことになる。流川の性格の不愛想さも手伝って、両人はしょっちゅう衝突を起こしてはチームメイトを困惑させ、「湘北名物イジのはりあい」と称されている。流川の実力については「中学レベル」などと嘲り、意固地になって頑固に認めようとしない。流川に対するライバル意識はバスケ部におけるユニフォームの背番号にも現れており、10番は当初、流川が受け取るはずだったのだが「流川より下の背番号は嫌だ」と我儘を言って拒否し、散々もめた末に木暮の提案で流川から背番号10を強奪し結果的に自身は10番、流川は11番のユニフォームを着ることとなった。試合中でも流川との連携を頑なに拒み、作中において彼が流川に自らの意思でパスを出した[注 11]のは海南戦で3人に取り囲まれた時にやむなく出したものと山王戦終盤の2回しかなく、どんなピンチでも流川にはパスを出し渋る[注 12]。反対に流川からパスを受けたことは山王戦終盤の1度しかない[注 13]。しかし、物語の後半では表面には決して出さないが、徐々に流川の実力を認めるようになった。
仲間意識が強く、豊玉戦で流川が南のラフプレーにより負傷した際には、流川が犬猿の仲である相手にもかかわらず反射的にベンチから飛び出して南に詰め寄り、乱闘寸前になるほど激怒する[注 14]など、無意識に友情をうかがわせる場面があり、三井がバスケ部に殴りこみをかけた際にも殴られた部員を心配したり、怒りを露わにしているほか、鉄男との喧嘩では彼に痛めつけられた潮崎、角田、流川、宮城の敵討ちと言わんばかりに全力で彼を殴った[注 15]。
また、普段はタメ口を常用しあだ名で呼ぶ先輩たちに対しても心の奥ではしっかり慕っているような描写も多く、海南戦で負傷して一度コートを離れた赤木の「やっと掴んだチャンスなんだ」という思いを聞いた際には「打倒海南!」と大声で決意表明し、試合再開後には「ゴリの穴は俺が埋める」と気合いを見せた。また、陵南戦前の木暮の「(インターハイに行けなければ)明後日の陵南戦が最後だ」という一言は試合中にも思い出されるほど胸に残ったようで、誰かのために・何かを守るために戦う精神を身につけ人としても成長していく。試合終盤には流川ではなく木暮にパスを出し[注 16]、試合を決定づける彼の3Pシュートをアシストしており、試合終了後には彼に「引退が伸びたな」と声をかけて涙を誘っている。
自作の歌を唄う事も多く、部活に行く途中や帰宅時に唄っており、彩子を呆れさせている。
家族については、中学時代の回想シーンで自宅に戻ると父親が発作のような状態で倒れている描写があったが、父親以外の家族構成や家庭の状況などは不明。父親が倒れた後の生死についても触れられていないが[注 17]、その出来事が教訓となり、シュート練習の付き添いで倒れた安西の異変に気付き、早急に適切な判断で救急車を呼んで病院に搬送した。住居については中学時代の時点ではアパート暮らし。
山王戦で背中を負傷し、その後無理をして最後まで出場を続け、怪我が悪化し試合後に入院。インターハイ終了後は療養中となっている[注 18]。作中の医師との会話では復帰を目指しかなり厳しいリハビリを行っている様子。原作終了後の黒板漫画ではリハビリを続けながら、アメリカ進出の野望を見せている。
連載中に行われた人気投票では2回とも第1位にランク入りしている[4][5]。
1990年、「SLAM DUNK」の連載開始以前に発売された「週刊少年ジャンプ増刊 Summer Special」にて掲載された「赤が好き」という読み切り作品に同姓同名の人物が登場。赤髪のリーゼントという容姿やカッとなりやすい一方で内気な性格などは共通しているが、学年が2年生であることや常にパイプを咥えていることや女性に対しても敬語を使わないことなど、設定は異なる。
驚異的なフィジカルの持ち主で、パワー、スピード、スタミナはいずれも一級品で2mの魚住や河田弟に対しても力も高さも互角以上に渡り合える。だが森重には弾き飛ばされて力負けしている。垂直跳びの最高到達点は赤木をも凌ぎ[注 19]、到達までの時間も早いので、魚住のダンクを赤木の上からブロックするほど。特筆すべきこととして連続して最高到達点にジャンプ可能で、滞空時間も長いため安西や花形、河田らが息を呑むほどであり、リバウンドを取りまくる[注 20]。安西にリバウンドとガッツを湘北に加えたと評される。相手をブロックするほどのジャンプをしてからも、着地後すぐにチームの先頭を切って走れる点も河田に注目されている。初期にはゴール前で目にもとまらぬ速さで連続ジャンプし、分身したかのように立ちはだかって壁を作ってシュートコースを全てふさぐという「フンフンディフェンス」を披露した。持前のスピードを活かして、相手のパスを予想外のところから奪いに行くこともできる。1年にもかかわらず走り回ったりパワープレイを繰り返しても尽きないスタミナ、上記のような驚異的な身体能力、様々な技術を的確に身につける底知れない素質は、監督の安西・他校の主力選手や監督も非常に高く評価した。自らも「ゴール下の覇者」と自惚れ、その能力は山王工業にも通用し、堂本が桜木の働きを封じるために河田兄をマンツーマンで当たることを指示するほど、リバウンダーとしての活躍を見せた。神は桜木を抜いてシュートしようとした矢先にすぐに回り込まれてブロックされたことが脳裏に焼きついたと語る。前述のリバウンドのほか赤木から教わった「ハエタタキ」や宮城から教わった「フェイク」などを得意技とする[注 21]。三浦台戦での「脳天ダンクの退場王」で一気に名前が知れ渡った。陵南戦でゴールに入る前にボールを弾き出してファウル取った審判は「高校の試合でインターフェアの反則は初めて」と語る。
そのような驚異的な身体能力を有する反面、過去にバスケ経験が一切無い「初心者」であるため、パス、ドリブルなどの基本的な技術に関しては未熟な面も目立つ。プレイスタイルは荒削りもいいところで、本人もそのことを気にしており、「素人」と馬鹿にされると激怒する。また、バスケ用語や細かいルールに関しても知識不足で、試合中にチームメイトから耳打ちして教えてもらうこともあるほど。しかし、集中力が増した時のプレイは常軌を逸しており、なめてかかった相手は手痛いしっぺ返しを食らっている。実際に花形は「甘く見ていた。シュートは下手だがリバウンドは違う。パワーもある」とあらためている。また、初心者であるが故に、試合のセオリーを無視した予想外な行動をとる事があり、それが功となり試合の流れを変える事もある。マンツーマンディフェンスにあたって敵チームのスクリーンプレイに対するスイッチが苦手だったりするが、時々「細胞が瞬間的に反応した」と表現されるヘルプを見せることがある[注 22]。赤木に「他はともかくリバウンドだけは全国区」、三井に「お前がリバウンド取ることが相手の3Pを封じる事にもなる」と諭されてからは、リバウンドに文句を言わなくなる他、三井が思い切り良く3Pを打て、成功率上昇にもつながった。そうなるとディフェンスは外に向くので今度は赤木や流川に中から攻められるので、堂本は河田兄に桜木のリバウンドを止めるように指示する。
プレイヤーとしてはマッチアップの相手が上手ければ上手いほど実力を開花させていくタイプ。作中でもバスケットボール自体の技量では大きく上回る選手に競り勝ち続け、山王工業戦では河田から得点を奪うまでに成長した。ただし熱意に任せた動きが多いため、宮益のように意地を張らず堅実なプレーに徹する選手とは相性が悪い。当初は恵まれた体格に頼ったリバウンドしか取り柄がなかったが、後述するレイアップシュートのように基礎的な技能や頭脳的な面も徐々に伸びており、全国大会では狙ってオフェンスファールを奪うシーンも描かれている。
成長スピードにも目に見張るものがある「未完の大器」だが、この成長の裏には隠れた努力と彼なりの工夫があり、不良少年らしからぬ努力家でもある。インターハイ予選で4試合連続退場を記録した後は、県内一の高さを誇る翔陽相手にリバウンダーの才能を開花させ[注 23]、続く海南戦では赤木の負傷がきっかけとなり、これまで自分が目立つプレイばかりを求めてきたが「誰かのためにプレイをする」ということを覚え始めていく。また同試合で「抱えたボールを下から掬うように投げる」という特異なフリースローフォームを編み出したことで、それまでは一度も入らなかったフリースローも克服した。観客や選手は「また変な事始めた」「出鱈目野郎」と罵ったが、高頭や安西は「フリースロー成功率95%を誇ったリック・バリーのフォームと一致」と説明している。さらに、この予選期間中にゴール下シュートの特訓も積み修得、攻撃にも参加するようになる。そしてインターハイ直前にも2万本という凄まじいミドルシュート練習をやりぬき、ミドルシュートをも習得した。その甲斐もあって、山王戦では安西に「湘北の武器」と言わしめた。バスケ部入部からわずか4ヶ月後の山王戦のラストに流川からのパスで逆転のブザービーターを決めた。なお、山王戦までの公式戦に陵南との練習試合を合わせた10試合の合計で、湘北は1005得点を記録しているが、その中で彼の得点は僅か25得点に過ぎなかった。しかし、山王戦では2桁得点を記録している。また、ボールハンドリングは入部当初からかなりの腕前であった[注 24]。退場や怪我、戦術上の問題などから作中の公式戦で40分フル出場の経験はない。牧や河田兄などが相手でも物怖じしないので、木暮は「見てる方が怖くなる」と言うが、彩子は「入学早々あの赤木に喧嘩売った男だから」と言っている他、村雨は「怖いもの知らず」と呆れている。
試合中に繰り出すプレイは観客を味方につける力があり、湘北ファンが少なかった翔陽戦や海南戦、山王戦などにおいても、彼のプレイがきっかけになることにより会場を湘北応援ムードに変えることができた。特に山王戦では傍若無人な勝利宣言で大ブーイングを受けていながら、危険を顧みず記者席に突っ込みながらルーズボールを奪ったことで、ほとんど山王ファンしかいなかった観客の心を動かし、ゲーム後半では会場が割れんばかりの声援が飛んでくるほどのムードに変えた。また、武里戦では試合開始前にその姿が見えなかった[注 25]ことで、観客席では「オレはあいつを見に来たのに」と落胆している観客もいた。続く陵南戦では試合開始前の選手紹介で大歓声を受け、「名物男」とまで言われていた。ただし、天敵である流川親衛隊のメンバー達からは最後までとことん嫌われ抜かれており、試合中に味方であるはずの彼女たちから「帰れ!」「ひっこめ!」などとブーイングを浴びせられたことも多々あった。
山王戦では河田弟がゴール下でしか得点できないことを見抜いてディフェンスを行ったり、沢北の行動を読んで対抗策を赤木に進言するなど、頭脳的な面も見せる[注 26]。
インターハイ予選では5試合連続退場[注 27]の他、決勝リーグの陵南戦では自殺点を取ったり[注 28]、陵南のカウンターを勢い余って股間で受けてしまったり、山王戦では沢北のブロックを顔面で受けてしまい、撥ね返ったボールが得点になったりなど、珍プレーも多い。スキルの吸収も早いのだが、素人ゆえ力んだり集中力を欠く場面が多いために習得したはずのシュートをしばしば失敗し、リバウンドやミドルシュートについても練習明けにはすぐコツを忘れてしまっていた。海南戦では牧に自らマークを買って出させ、さらにラスト19秒でブロックを行おうとした牧から会心のファウルをもらい、逆転のチャンスを作り出した。ただし、水戸いわく強い相手でないと実力以上のものが出ないらしく、同じく海南戦では試合出場経験なしの宮益につかれたところ、練習したことのないゴール下シュートをことごとく外していた。
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