放線菌
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放線菌(ほうせんきん、羅・英: Actinomyces)は一般に、グラム陽性の細菌のうち、細胞が菌糸を形成して細長く増殖する形態的特徴を示すものを指す慣用名である。元来、菌糸が放射状に伸びるためこの名があるが、現在の放線菌の分類は16S rRNA遺伝子の塩基配列による分子系統学に基づいているため、系統的に類縁な桿菌や球菌の菌群も放線菌に含められることがある。このため、もはやこの菌群を菌糸形成という形態で特徴づけることは困難である。
概要 放線菌, 分類 ...
放線菌 | ||||||
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分類 | ||||||
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学名 | ||||||
Actinomycetota Stackebrandt et al. 1997 | ||||||
タイプ属 | ||||||
アクチノマイセス属 Actinomyces Harz 1877[1] (IJSEMリストに記載 1980[2]) | ||||||
シノニム | ||||||
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下位分類(綱)[3] | ||||||
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放線菌は高次分類群としてアクチノマイセス門(Actinomycetota、放線菌門)に属する。分類学的には下記に示す多くの属がアクチノバクテリア綱(放線細菌綱)に分類されるが、マイクロコッカス目(Order Micrococcales)の各属のように菌糸形態を示さないものは便宜的に放線菌として扱われないこともある。
ストレプトマイセス属Streptomycesなど典型的な放線菌では空気中に気菌糸を伸ばし胞子を形成するので、肉眼的には糸状菌のように見える。多くは絶対好気性で土壌中に棲息するが、土壌以外にも様々な自然環境や動植物の病原菌としても棲息している。また病原放線菌として知られるアクチノマイセス属Actinomycesとその関連菌群などのように嫌気性を示す放線菌も一部存在する。放線菌のDNAはそのGC含量が高く(多くは70%前後)、それがこの菌群の大きな特徴である。