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『ワンダと巨像』(ワンダときょぞう、英題:Shadow of the Colossus)は、 2005年にソニー・コンピュータエンタテインメント(のちのソニー・インタラクティブエンタテインメント)からリリースされたアクションアドベンチャーゲーム。キャッチコピーは「最後の一撃は、せつない。」。
ジャンル | アクションアドベンチャーゲーム |
---|---|
対応機種 |
PlayStation 2 PlayStation 3 PlayStation 4 |
開発元 | ソニー・コンピュータエンタテインメント |
発売元 | ソニー・コンピュータエンタテインメント |
プロデューサー | 海道賢仁 |
ディレクター | 上田文人 |
デザイナー | 上田文人 |
音楽 | 大谷幸 |
人数 | 1人 |
メディア |
[PS2]DVD-ROM [PS3][PS4]Blu-ray Disc/ダウンロード |
発売日 |
[PS2] 2005年10月18日 2005年10月27日 2006年2月17日 [PS3] 2011年9月22日 2011年9月27日 2011年9月28日 [PS4] 2018年2月6日 2018年2月6日 2018年2月7日 2018年2月8日 |
対象年齢 |
[PS2]CERO:12才以上対象 [PS3/PS4]CERO:B(12才以上対象) ESRB:T(13歳以上) PEGI:12 OFLC(豪州): M |
コンテンツアイコン | [CERO]暴力 |
売上本数 | [PS3] 45,174本[1] |
初版はPlayStation 2向けのパッケージソフトであり、2005年10月27日に発売された。 人気作となり、2006年6月8日には普及版(廉価版)の「PlayStation 2 the Best」が発売された。
2011年9月22日にはPlayStation 3用の「HDリマスター版」が発売され、2012年1月31日にはダウンロード版が発売された。
2018年2月8日にはブルーポイントゲームズ社によるPlayStation 4用のフルリメイク版が発売され、「フォトモード」も追加された。PS4版はパッケージで購入することも、PlayStation Storeでダウンロードすることもできる。
『ICO』を手掛けた上田文人とその開発チームによるゲーム作品。独特の空気感があり幻想的で美しい世界で物語が展開する。
プレイヤーは主人公の青年ワンダを操作する。ワンダは少女モノの失われた魂を取り戻すため[2]、神殿(祠)を訪れる。すると「お告げ」の声が響き、モノの魂をとりもどすには16柱の巨像を倒すことが必要だと告げられる。それを実行するために、各地を巡り、自力で巨像を1柱1柱探し出し、ひとつひとつ倒していく。
古えの地にはワンダの他には誰もいない。ワンダが利用できるものは2つある。ひとつは剣で、これは高くかかげると光を放ち巨像がいる土地の方角を漠然と示してくれる。もうひとつはアグロという馬で、これはワンダの相棒のような存在であり、その背に跨がることで素早く移動できる。
あとは自分自身の知恵だけで[2]巨像を倒していかなければならない。巨像は大きいものでワンダの数十倍もの大きさだが、その巨体にしがみつき、よじ登りながら戦う[2]。
古えの地には荒野、砂漠、丘、崖、草原、湖、渓流、古代遺跡などがあり、詩的で幻想的な世界観とその視覚的な表現手法[注釈 1]、またそれに合わせた環境音と雰囲気のある音楽の対比的な使用などが世界的に高く評価され、また巨像を倒すため「巨像の体表の毛を手でつかむ、そしてよじ登る」という動作をゲームの軸としたアイディアも、それまでのゲームになかったものであり[注釈 2]、それらが総合的に高く評価され best video games ever made賞など世界の様々な賞を受賞した[要出典]。
PlayStation 2版については、細かな質感を表現する上で必要なプログラマブルシェーダーが搭載されておらず、CPU速度やメモリ容量にも余裕がないPlayStation 2であるにもかかわらず、次世代機以降でプログラマブルシェーダーを用いて行うような人間の視覚特性や物理現象を模倣する下記の映像表現(擬似手法ではあるが)を先取りして実現している[3]。
その反面、多大な処理負荷が生じるため、ゲーム中のフレームレートは常時低めとなっている。本作はPlayStation 3の発売を控えたタイミングで開発されたこともあり、現行機のゲーム開発で蓄積されたノウハウを集約して、次世代機のゲームのプロトタイプを示す側面もあった[3]。
3D方式であり、三人称視点である。オープンワールド方式になっており[要出典]、古えの地の各エリアをシームレス(継ぎ目無し)に移動することができる。
ミニマリズム的なゲームシステムを採用しており、量的な要素は「握力」と「体力」しかなく、それらもゲージで漠然と示されているだけである[注釈 3]。ワンダの最大体力(基礎体力)[注釈 4]は巨像を倒すたびに少しづつ大きくなり、また「光るトカゲ」の尻尾や木の実を食べることでも大きくなる。
まず、神殿(祠)のシーンから始まる。「お告げ」の内容が、プレーヤーに「するべきこと」を、ゲームの目標を明示してくれる。
ワンダが神殿を後にしてからは、物語のいわば「本章」に当たり、お告げで言われたように16柱の巨像を倒していき、次のようなことを16回繰り返すことになる。
16柱の巨像はひとつひとつの名前が不明であるが、実際には巨像のひとつひとつ形状が大きく差別化されており、行動、ワンダに対する反応、弱点の部位、いずれも異なる。そのため、それらを見極めた上で巨像と戦う必要がある。巨像によっては周囲の地形を利用した戦い方を求められる。なお巨像の自然な動作、まるで生き物のような振る舞いはAIで生み出されている[要出典]。
なお、本ゲームは一度コンプリートした(ゲームの結末までたどりついた)後も何度も楽しめるようになっている。巨像は1度倒すと、その巨像に関しては「タイムアタックモード」を選択できるようになる。「タイムアタックモード」では、より短い秒数で巨像を倒すことを目指していく。また巨像を2柱倒す毎に入手できるボーナスアイテムが、難易度「ノーマル」と「ハード」で各8個ずつ存在するので、難易度「ノーマル」でコンプリートしたら次は「ハード」で再挑戦することもできる。
ワンダは、呪われし運命により生け贄にされて魂を失ってしまった少女・モノの魂を呼び戻すために、けっして足を踏み入れてはならない禁足地とされている「古えの地」の中央にある、巨大な神殿「古の祠」を訪れた。
「古えの祠」でワンダは、大いなる存在であるドルミンの天の声により、少女の魂を戻す方法を教えられる。それは、「古えの祠」にある16体の偶像と対になっている、古えの地に存在する16体の巨像を倒すことだった。かざした剣の光に導かれ、ワンダは巨像を倒すため愛馬アグロと共に、古えの地を駆け回っていく。たった一人の少女の命を救うためだけに、罪なき16体もの巨像の命を奪おうとするワンダ。それは少年の独善的なエゴでしかなく、部族では禁じられた禁忌の所業であった。各地にある巨像を殺すたびに、ワンダに「ヘビのような黒い影」が入り込んでいき、次第にワンダの身体は呪いのように「黒い影」によって侵されていく。
やがて、16体目の巨像を倒した頃、ワンダの行いを止めようと、呪術師エモンとその部下たちが「古えの祠」に訪れる。そこに死者の魂たちに取り憑かれてしまった、巨像と同じ角をはやし蒼い瞳をしたワンダが現れる。エモン達は反逆者であるワンダに矢を浴びせ、剣で心臓を一突きにして殺してしまう。すると、亡くなったワンダの身体が黒い影によって完全に覆われていき、死者と同様の姿となる。巨像を操っていたのは黒い影の死者たちであり、彼らはワンダと同じく「ドルミンに操られた者の末路」であった。
「我が身体を16の部位に刻み、我の力を封印してきた愚かなる人間どもよ……。我が名はドルミン……戦士の身体を借り今ここに蘇らん」
16体の石像に封印されていたドルミンは、「巨像討伐により全ての呪いを集約したワンダを殺害したこと」が最後の封印解除の引き金となって、ドルミンは復活を遂げる。ドルミンによって奪われたワンダの身体は、頭には角が生え、黒い影の死者たちをも取り込んでいき、これまで倒してきた巨像と同様に巨大になり、エモン配下の呪術師たちを撃退していく。ドルミンに恐れおののき呪術師たちが逃走していく中、エモンが「古えの剣」を祠の泉に投げいれると、封印の力が発動してドルミンは泉へと吸い込まれた。そして、唯一この禁足地と外界とをつないでいた橋も崩れ落ちてしまう。
やがて、魂をなくしていた少女モノが目を覚まし、傷ついたアグロに案内されていくと、ドルミンが封印された泉には、小さな角の生えた赤ん坊がいた。ワンダの面影のあるその赤ん坊を少女は優しく抱きかかえ、アグロと共に「古えの祠」の階段を登っていき、天空庭園に辿り着くのであった。
『ICO』と同じく、ゲーム中の台詞はすべて架空の言語である(日本語字幕付き)。
名称 | 形状 | 居場所 | 弱点 | 備考 |
---|---|---|---|---|
第一の巨像 | ミノタウロス | 峡谷の荒野 | 左足 | 攻撃方法は棍棒と踏み付け。 |
第二の巨像 | 雄牛 | 海辺の砂浜 | 足の裏 | 巨大だが動きが非常に鈍い。 |
第三の巨像 | 騎士 | 湖上のダンジョン | 剣 | 攻撃方法は剣の振り下ろし。鎧を纏っているが脆い。 |
第四の巨像 | 麒麟 | 地下道のある平原 | 首のつけ根 | 地下道を覗き込む癖がある。 |
第五の巨像 | 飛竜 | 湖上の塔群 | --- | 滑空したり振り落とそうとする。 |
第六の巨像 | 髭面の大男 | 地下神殿 | --- | ヒゲをつたって登れる。 |
第七の巨像 | 電気ウナギ | 北西の湖 | 背びれの横 | 水中を悠然と泳ぎ、角から電気を放出する。 |
第八の巨像 | ヤモリ | 階層のある神殿 | 足 | 壁を登って、毒霧を飛ばす。 |
第九の巨像 | カメ | 間欠泉の荒野 | 足の裏 | 炎弾を吐くが、間欠泉に弱い。 |
第十の巨像 | 砂龍 | 砂漠の穴 | 両目 | 砂中を高速で動き、人間では逃げ切れない。 |
第十一の巨像 | 獅子 | 洞窟の遺跡 | --- | 火を恐れる。全身を覆う鎧を剥がす必要がある。 |
第十二の巨像 | ポセイドン | 北東の湖 | 腹部 | 雷弾を発射する。弱点の腹部は水中に隠れている。 |
第十三の巨像 | ヘビ | 南部の砂漠 | エラ袋 | 袋状の部分を攻撃すると高く飛べなくなる。 |
第十四の巨像 | ケルベロス | 崩れた遺跡 | --- | 猪のように突進を繰り出す。 |
第十五の巨像 | ミノタウロス | 北東の寺院 | 右肘 | 二つ目の弱点は剣を持つ掌にある。 |
第十六の巨像 | イービス | 最南端の荒野 | 腰の後ろ 左腕の付け根 左胸 | 高層ビルの如き巨体から火球を放つ。 |
本作は、同じ開発チームによるアクションアドベンチャーゲーム『ICO』の次作として開発が開始され、初期のプロジェクト名には「Next ICO」を意味する「NICO」という仮名がつけられていた[5]。
本作と『ICO』は同じ世界を舞台にした作品であると設定されており[5][6]、作中には両作の繋がりを示唆する様々な要素が散りばめられているが[5][6]、具体的な関連性がどのようなものであるかは受け手の想像に委ねる形となっている[5]。
開発者の上田文人によると、「ワンダの衣装デザイン」「天の声の言葉」「影の存在」など似ている部分もあるが、「具体的な時間のつながりはないが、両方とも舞台となる世界は同じ」であると語られている。
また、『ワンダと巨像』の最終場面で登場する赤ん坊は、『ICO』の背景設定にある「角が生えた赤ん坊」の第1号とのことから、『ICO』よりも以前の物語であると推測されているが、その赤ん坊が『ICO』の主人公であるのか、血縁はあるのかどうかは不明である。
ゲーム中の音楽はカット・シーンや巨像の登場シーンなどきわめて限られた場面のみで使用され、オーケストラが使用されたサウンドトラックと、音楽が消えて主人公と馬、自然の環境音のみが聞こえるサウンドスケープの対比が効果を上げた。
2009年にはソニーピクチャーズ主導でハリウッド映画化されることが発表され、2014年には、アンディ・ムスキエティ監督がメガホンを取ることが報じられたものの、その後2022年に至るまで制作の進捗は報告されていない[要出典]。
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