リン酸銀

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リン酸銀

リン酸銀(リンさんぎん、: Silver phosphate)は、化学式Ag3PO4で表される、リン酸塩。オルトリン酸銀、リン酸銀(I) とも呼ばれる。黄色の粉末で、光反応性がある。

概要 リン酸銀, 識別情報 ...
リン酸銀
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識別情報
CAS登録番号 7784-09-0
ChemSpider 140592
EC番号 232-049-0
特性[1]
化学式 Ag3O4P
モル質量 418.58 g mol−1
外観 黄色の粉末で、感光により暗色化
匂い 無臭
密度 6.37 g/cm3
融点

849 °C

沸点

(分解)

への溶解度 0.65mg/100ml(20℃)
溶解度 硝酸アンモニア水炭酸アンモニウム溶液に可溶。希酢酸などの弱酸溶液には微溶。
危険性
引火点 (不燃性)
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。
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性質

硝酸銀オルトリン酸液の反応により、黄色の沈殿物として生じる[2]溶解度積は8.89×10-17 mol4dm-12である[3][4]。この沈殿反応は分析的に重要であり[5]、リン酸塩の定性的・定量的試験に使用できる。

硝酸アンモニアに可溶であり[2]、リン酸銀のアンモニア溶液から徐々にアンモニアを除去することにより、リン酸銀の大きな結晶を得られる。この反応は、リン酸イオンの定量分析に使用できる[6]。異なる結晶状態のリン酸銀に対し、同じ格子構造を造り出せる[6]

用途

主な用途として分析化学や、細胞組織等の銀染色に用いられる[7]抗菌目的で素材に銀イオンを組み込むことへの利用も考えられている[8]。また、感光剤として初期の写真材料に使用された[9]

光触媒の1つとして、強い光酸化性を持つ。メチレンブルーを使った光酸化分解実験では、比較対象の酸化チタンバナジン酸ビスマスの数十倍、90%近い量子収率の光酸化性能を示した。可視光線下での水の光酸化分解においても、バナジン酸ビスマスや酸化タングステン(VI)をしのぐ性能を示しており、人工光合成への応用が期待されている[10]

安全性

日本の毒物及び劇物取締法では、無機銀塩類の1つとして劇物に指定されている。飲み込むと嘔吐、腹痛、下痢の症状が現れることがある。不燃性であるが、加熱により酸化銀(I)およびリンの酸化物に分解する[1]

その他の銀のリン酸塩

ピロリン酸銀 Ag4P2O7 (CAS No. 13465-97-9)[11]
銀と二リン酸の反応により得られる、白色の沈殿。オルトリン酸銀同様に光に敏感であり、光の曝露で赤色に変色する[12]。密度は5.306g/cm3、融点は585℃である[13]。水和物は110℃で分解する[13]
メタリン酸銀 (AgPO3) (CAS No. 13465-96-8)[14]
白色の固体で、密度は6.370g/cm3、融点は482℃である。水和物は240℃で分解する[13]

脚注

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