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ハルマヘラ島およびその周辺部にはブリ語を含めたオーストロネシア語が数種類存在する。Meillet & Cohen (1952) でインドネシア語派、Salzner (1960)で西ニューギニア語群に属するとされた言語には、ブリ語以外に以下のものが挙げられる[3]。
近年WajamliとKajoaはそれぞれブリ語、東マキアン語の一方言として[1][2]、Bitjoliとウェダ語はそれぞれマバ語、サワイ語の別名として[1]、またギマン語と東マキアン語は南ハルマヘラ諸語下で上記の他言語とは独立したグループとして扱われる傾向にある[1][2]。なお、ブリ語はこの言語群の中では最も早い段階にまとまった形の報告や記述がなされている[4]。
[p]、[b]、[m]、[t]、[d]、[n]、[t͡ʃ]、[d͡ʒ]、[ɲ]、[k]、[ɡ]、[ŋ]、[f]、[h]、[s]、[r]、[l]、[w]、[y]の19種類が確認されている[5]。
ブリ語で〈飲む〉に該当する語domに対応するマレー・ポリネシア祖語の再構形は*(❛i-)numで、*n > dという推移があるという事になる。しかし通常*nに対応するのはnであり[7]、こうした変化は例外的なものである。この現象はガレラ語のudoやロロダ語のudomoといった近隣のパプア諸語からの影響により引き起こされたものと見ることが可能である[8]。
所有代名詞は所有の対象が
のいずれによるかで形態が変化する[9]。
こうした特徴は一見するとフィジー語やキリウィナ語、ナウル語といったいわゆるメラネシア語と似通っている様にも思われる[10]。しかし上表の2.と3.に見られる様な-ni(-)、-na(-)という属格指示辞の存在はむしろポリネシア語的な特徴であり、メラネシア語には見られないものである[11]。崎山理はこの要素を根拠の一つとして、ブリ語は本来はポリネシア語的な言語であり、やがてマレー系言語との度重なる接触により変容していったものであるという仮説を唱えている[12]。
naga 〈龍〉(< nāga- 〈蛇〉)やrupa 〈姿〉(< rūpa-)といったサンスクリットやwaktu(< وقت)といったアラビア語起源の語彙が存在するが、これはインドネシア語(マレー語)を経由して伝わったものであると推定される[13]。またkastəra〈とうもろこし〉、sintu 〈帯〉、tənda 〈店〉、❛oras 〈時間〉といったスペイン語やポルトガル語からの借用語も存在する[14]。
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