概要
通常、ファイル名の本体と拡張子は "."(ピリオド、ドット)で区切られる。拡張子はアルファベットと数字の組み合わせで、歴史的には3文字以内が好まれたが、4文字以上や2文字以下の場合もある。拡張子は、オペレーティングシステム (OS) においてファイルの判別のために任意につけられるもので、必ずしも必須ではない。拡張子が適切でない場合は、システムまたはアプリケーションソフトウェアの動作に影響を及ぼす場合がある。 .tar.gz
のように複数のピリオドで区切っているケースもあるが、最後のピリオド以降を拡張子と判断するシステムが一般的である。
Mac OSでは、OSレベルでは各ファイルに埋め込まれたクリエータとファイルタイプで識別するシステムを持っている。macOSでは拡張子も利用して動作するようになり、Mac OS X v10.4 TigerからはUniform Type Identifier (UTI) なる枠組みでデータの種類を判別するようになった。
Unix系OSではファイル名の終端でファイルの種類を表す慣習があり、一般にはsuffixと呼ぶが、必ずしもピリオドで区切るとは限らない。カンマで区切る「,v
」(バージョンの差分情報などを格納するRCSファイルの末尾につけられる[1])や、特に区切り文字を使わずに「-
」や「~
」や「rc
」を付けるケースもある。これはあくまでも整理上の便宜であってシステム上意味はない。ただしmakeコマンドがsuffixに基づいたルールに従って動作したり、lsコマンドが色分けして表示するようなケースはある。またデスクトップ環境であるKDE、GNOME、CDE等も拡張子に基づく動作をする。
OS以外では、MIMEタイプの設定に拡張子を利用していることなどがあげられる。Apache HTTP Serverはindex.ja.html
とindex.html.ja
の両方を「日本語(ja)のhtmlファイル」と判断する。最後尾でなくても拡張子として判断する一例である。
こうしたことから、かつては一部のシステムのみの概念だった拡張子は、現在は広い範囲で使われていることがわかる。
拡張子の由来
拡張子は、もともとはDECのオペレーティングシステム (OS) 、たとえば、TOPS-10、OS/8やRT-11に利用されていた。その後、CP/Mでも採用された。CP/Mのファイル名は8+3バイトの構成になっており、後ろの3バイトが拡張子と呼ばれた。さらにCP/Mと互換性を取るため、MS-DOSやOS/2、Windowsなどに受け継がれた。現在のWindowsでは3バイトの制限はない。
拡張子の一例
- bmp
- Windowsビットマップ。Windowsの標準的な静止画像ファイル。
- wav
- WAVE。Windowsの標準的な音声ファイル。
- avi
- Audio Video Interleave。主にWindowsで使われる動画ファイル。
- txt
- 一般的なテキストファイル。
- zip
- ZIPファイルフォーマット。データ圧縮やアーカイブ目的で使用される。
- PDF。アドビが開発した文書ファイルフォーマット。
拡張子が引き起こすセキュリティ上の問題
Windowsには、拡張子とアプリケーションの関連付けという機能があり、拡張子の種類によってそのファイルを処理するアプリケーションを選択することが可能である。ただし、設定次第でファイル名の拡張子を表示しないようにできるため、コンピュータウイルスなどがこれを悪用する場合がある。例えばLOVE-LETTER-FOR-YOU.TXT.vbsという名前のファイルはそのような環境ではLOVE-LETTER-FOR-YOU.TXTとのみ表示され、一見テキストファイルに見える。これをテキストファイルだと思って実行すると、実際にはVBScriptが起動し、ウイルスなどの被害に遭う。
また、一部のWindowsではUnicodeの制御文字の一つであるU+202E (RIGHT-TO-LEFT OVERRIDE) をファイル名に使用することで、拡張子を末尾以外の場所に表示させることが可能である。例えばSAMPLE-(U+202E)TXT.EXEというファイル名はSAMPLE-EXE.TXTと表示され、一見テキストファイルに見える。これをテキストファイルだと思って実行すると、実際にはEXEファイルが実行されることになり、前記同様の問題が発生する。このように、拡張子を誤読させる他要因との複合技で問題を生ずることもある。
脚注
関連項目
外部リンク
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