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誇張した女性らしさのある服装やパフォーマンスをするアーティスト ウィキペディアから
ドラァグクイーン(英: drag queen)は、誇張した女らしさや性表現(女装)でパフォーマンスを行う人物[1]。ゲイのシスジェンダー男性であることが多いが、さまざまな性的指向や性同一性のドラァグクイーンも存在する[1]。纏った衣装の裾を引き摺る (drag) ことからこう呼ばれる[2]。
男性の同性愛者が性的指向の違いを超えるための手段として、ドレスやハイヒールなど派手な衣裳に厚化粧で大仰な応対をすることで、男性が理想像として求める「女性の性」を過剰に演出した。これがドラァグクイーンの起源とされる。
本来はサブカルチャーとしてのゲイ文化の一環として生まれた異性装の一つであるため、ドラァグクイーンには男性の同性愛者や両性愛者が圧倒的に多い。しかし近年では男性の異性愛者や女性がこれを行うこともある。趣味としてこれを行う者からプロのパフォーマーとして活躍する者まで、ドラァグクイーンの層も厚くなっている。
トランスジェンダー女性は性別移行の過程で女性らしくなるが、ドラァグクイーンは「女性のパロディ」あるいは「女性の性表現を遊ぶ」ことを目的としており、両者は大きく異なる。
drag が「女装した男性」を意味する理由は以下の3説がある。
drag queen という成語の初出は1941年である。
英語「drag」の片仮名表記は、標準的な転記法で「ドラッグ」とする場合もあるが、性の多様性を扱う場合は薬物を意味する 「drug」 との誤解・混同を防ぐために「ドラァグ」の表記が多い。
「drag」を「ドラァグ」と表記することを日本で初めて提唱したのは、元『Badi』編集長のマーガレットこと小倉東だが、以前から独自のドラァグ文化が存在した近畿地方は現在も「ドラッグ」の表記が多く見られる。また、本来の日本語には存在しない「ラァ」という表記は目にする者にある種の違和感、異質さを感じさせ、また発声すると「ラア」と同音であることから「ドラアグ」ではなく敢えて「ドラァグ」と表記することに疑義を唱える意見も見られる。
歌舞伎の女形の伝統がある日本では古くから男性が女装して人前で芸を披露する伝統があった。畿内では女舞が主体である上方舞の伝統が根ざしており、そうした中からは人間国宝・吉村雄輝のような舞手も出ている。この吉村の一人息子が1969年『薔薇の葬列』で衝撃的なデビューをしたピーターである。ピーターはデビュー後しばらくは女装でさまざまな芸能活動を行ったが、一歩カメラの前を離れると通常は男装または中性装(ただし派手なものだったが)で、しかも自らのセクシュアリティを一切芸の中には持ち込まなかった。この点で途中から常時女装になり同性愛者を公言していた美輪明宏などとは一線を画していた。カルーセル麻紀は、モロッコで性転換手術も受けている。
1980年代、いわゆるバブル全盛時代にクラブやショーパブでドラァグクイーンショーで注目を集めたニューハーフとは一線を画する日出郎やオナペッツがメディアに登場したのもこの頃である。
シモーヌ・深雪やミス・グロリアスは90年代初頭から京都で活動し始めた。90年代半ばから、東京ではオナペッツがパイオニアとして各メディアで活躍し、ドラァグクィーンの存在を世に知らしめた。同じ頃マーガレットこと小倉東がアメリカのゲイ文化としてのドラァグを紹介した。関東では「Gold」という伝説的クラブでドラァグを行う者が多く現れ始めた。その中にはテクノポップを歌う日出郎やJINCOママやKEIKOママがいてマドンナやユーミンを熱唱した[3]。因みに「Badi」(1998年5月号)「同じゲイなら踊らにゃソンソン」には、「ドラァグ・ショウの誕生はゴールドから」「日本のクラブでのドラァグクイーン文化はミス・ユニバースコンテストから」とあり、ゴールドのフライヤーやミス・ユニバースコンテストの写真が掲載されている。
2000年代後半に入り、マツコ・デラックスや、ミッツ・マングローブが容姿のインパクトに加え、鋭い切れ味を持つご意見番的なオネェ系という存在で娯楽メディアでも大きな立場を担い始めた。女装家という呼称はミッツがメディア向けに言い始めたことがきっかけに広まっていった。
2010年代に入り、マツコ・デラックスやミッツ・マングローブ、ブルボンヌにナジャ・グランディーバの人気や、かねてからのオネェ系のブームにより、様々なドラァグクイーンが女装家という枠で、主にバラエティ番組を通してメディアへ露出するようになった。その結果、オネェ系のひとつの形としてドラァグクイーンの存在が社会的に認知され始めた。
ロシアは、ドラァグクイーンも規制する法律の罰則を2年の懲役刑へ引き上げる修正案が可決される[4]。
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