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トルッロ(イタリア語: trullo)は、イタリア南部のプッリャ州に多く見られる形式の住居。特にアルベロベッロの町では約1500軒のトルッロ群が市街を形成しており、世界遺産に登録されている(アルベロベッロのトゥルッリ)。
アルベロベッロでは集合して存在することから単数形であるトルッロより複数形のトルッリ (trulli) で呼ばれることが多い。トルッリに対するカタカナ表記の揺れは激しく、トゥルッリ、トゥルーリ、トルーリ(単数形ではトゥルッロ、トゥルーロ)などと示されることも多い。トルッロとはイタリア語で「部屋一つ、屋根一つ」という意味があり、語源はラテン語のトルッラである。
サレント半島北部のヴァッレ・ディトリアの伝統的な住居である。
平たく加工した石灰岩を積み、壁を石灰で塗る。屋根は円錐形である。初め白い屋根は、年月を経るにつれ南イタリア特有の強い紫外線を浴び、徐々に黒ずんでゆく。白壁には紫外線を防ぐほか、外気を遮断して保温効果を高め、室内を広く明るく見せる効果がある。
部屋一つに対して屋根も一つあり、この集合体が一軒のトルッロとなる。部屋の間は仕切りがないため、カーテンなどで仕切られる。この構造には諸説あるが、この地を治めた貴族が王からの家屋に課せられる税から逃れるため調査の際に屋根を壊し、「家ではない」と主張できるように壊しやすい家を作ったとする説が有力である。
屋根の道路側には白い模様が描かれてあり、呪術的な意味をもつとも似たような形状の他の家との区別のためともいわれている。屋根の頂上には飾りがついていることがあり、これも宗教的な意味と区別のためであると云われる。人々は昔からのトゥルッリを修復しながら、大切に守ってきた。材料は全て石灰岩。19世紀半ばまではつなぎを一切使ってこなかった。石灰岩を場所にあった形にカットし、それを隙間なく積み上げていく。屋根の石を円形に積むのはその強度を高めるためである。
トルッリには生活に欠かせない工夫も施されている。この辺りは川や湖がなく、降水量も僅か。しかも薄い土壌の下は巨大な岩盤になっていて、井戸を掘ることもできなかったので、円錐形の屋根で受けられた雨は、傾斜によって雨水を集め、水路を通して、床下の貯水槽に貯められ生活用水に使われている。
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