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テッキョンは朝鮮半島の武芸・民間遊戯。プムバルキ(품밟기)という独特のステップを踏み、足払い・蹴り・投げ技を繰り出す武術で、足を使った全身打撃、手を使った打撃、折れ、突き、スタンディング柔術とシルム技術を使って相手をダウンさせたり無力化させることを目的とする[1]。韓国では1983年に重要無形文化財第76号に指定されている。2011年ユネスコ無形文化遺産に登録され、現在では韓国伝統テッキョン協会を中心に50人余りの公式履修者がテッキョンを守っているという[2]。
李氏朝鮮末期に林虎(イム・ホ、임호)からテッキョンを伝承した宋徳基(ソン・トクキ、송덕기)が近代のテッキョンを代表する人物であるという。戦後幾つかの団体が設立され、現在では韓国で全国規模の大会も実施し、国民体育化を図っている。なお練習施設は道場ではなく、「伝修館」と呼ぶ。
テッキョンの特徴としては、音楽的で舞踊のように動き、攻撃よりは守備に重きを置き、足を多く動かす[3][4]。古代のテッキョンは、手が地面に付けば負けるというルールで[5]、朝鮮中期・朝鮮末期には鍾路、仇里介、往十里を代表にソウルを中心に盛んに行われたという[6]。
韓国でテッキョンは三国時代にはすでに行われていた武術であるとしている。その根拠として5世紀に描かれた高句麗壁画古墳の一つである安岳3号墳の壁画にテッキョンが描かれているとしている[3]が、この壁画では両手を横に開いた二人の人物が相対している絵が描かれているのみであり、現在行われているテッキョンの特徴である足技は描かれていない。また『靑丘永言』(1728年)に「탁견」と書かれていること、『才物譜』(1798年)にも「탁견」が『海東竹枝』(1921年)には「托肩」、『朝鮮語大辞典』(1920年)には「택견」と書かれており、これをテッキョンであるとしている[7]。さらに19世紀中期に活動した劉淑(유숙 1827年-1873年)の描いた大快図(大快圖 대쾌도)という絵に対峙した二人が描かれており、これはテッキョンをしている姿だと言われ、その二人の周りを酒を飲んだりタバコをすったりしている見物人が囲む様子が描かれている。
朝鮮半島の歴史書である『三国史記』『三国遺事』『高麗史』『高麗史提綱』『高麗史節要』『朝鮮王朝実録』のいずれの原文にも、「テッキョン」に関する記載は無く、さらに古式を伝える日本や中国のような流派・門派や伝書・巻物も存在はしておらず、漢字表記や原型が不明である。
北朝鮮の労働新聞では「テッキョンは正当で世界最古の武道であり、その発祥の地は平壌である」(2006年8月16日付)[8]と主張しているが、記事中ではその根拠となる史料は一つも紹介されていない。
基本フットワークは、「ァイクッ、ァエクッ、ァエクッ、ァイクッ!」と腹式発声しつつ、リズミカルに前方左右45度の線上で ステップを踏む、特徴的なものである。
足や手を相手に掛け、転倒させる。
ほか、背負い投げ(柔道に近い)や手の甲で胸を押しのけ足背で内脚を掬うものがある。
腰を縦にうねらせて脚を振るう。これも相手を叩き壊すというよりは、バランスを奪うための技である。
ほか、外転脚や側転蹴りがある。
防御や足技の補助として使われる。反復練習では「く」の字軌道で進む。
以上の指導体系は、大韓テッキョン協会での一例である。それ以前に成立した流派では基本ステップ練習の方向からして異なり、西洋レスリングのように手で相手の脚を救い上げたり、目つきや頭突きなどが伝わっている。
ッカックムダリ(脚踏み)のみで攻め合うスパーリング練習を「バルキ」、ッタンジュク(足払い)のみを攻め合うスパーリング練習を「コルギ」、チャギ(蹴り技)等も全て含めたスパーリング練習を「キョルギ」、勝敗の記録をのこす競技は「シハプ(試合)」と呼ぶ。試合の勝敗は、手足を使って相手の膝の上を床につかせるか、脚を使って相手の首の上の所を攻撃し均衡を著しく乱すと勝利となる。
その他に、「殺手」と呼ばれる複数の技がある。昔、これらの技で一撃で絶命させる等の事があったため、禁じ手とされ上記の様な試合形式となった。ちなみに韓国では「殺手」を「옛법(昔の技(要は殺人テッキョン))」と呼ぶ事もある。
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