サマリア峡谷
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サマリア峡谷またはサマリア渓谷(ギリシア語: Φαράγγι της Σαμαριάς)はギリシャのクレタ島にある峡谷(渓谷)で、同国の国立公園。1981年にユネスコの生物圏保護区に指定された[1]。
峡谷(渓谷)はクレタ島の南西に位置し、ハニア県の一部を占めている。レフカ・オリ山脈(英語版)(Λευκά Όρη)とヴォラキアス山からの渓流を主な源流とし、アギア・ルメーリ村(Αγιά Ρουμέλη)付近でリビア海(地中海の一海域)に流れ込む。峡谷のトレッキングコースは、レフカ・オリ山脈の高台に位置するオマロス村(英語版)(Ομαλός、標高1250m)付近からスタートしアギア・ルメーリ村までの全長16kmであり、そのうち国立公園内は13kmである[2]。この全長は一説では18㎞とするものもある。土壌の質が悪く、主にテラロッサからなる。トレッキングコース中で最も有名なものは、コース終盤に位置する『鉄門』(Iron Gates)と呼ばれる場所で、高さ300mの崖に両側を挟まれた幅4mの谷底を歩く部分である。峡谷に住む珍しい野生のヤギの一種『クリ・クリ(英語版)』(Κρι-κρι、クレタパサン)等を守るため、1962年にサマリア峡谷は国立公園に指定された。かつてこの峡谷には人が住んでおり、サマリア村やニコラス聖堂などは国立公園指定時に無人化され、住人はアギア・ルメーリ村や他所に強制移住させられた[3]。
一帯の植生は地中海地方の高地ホソイトスギ(英語版)林、マッキア低木林(英語版)およびフリガナ(英語版)であり、主な植物種はホソイトスギのほか、カラブリアマツ(英語版)、カイノキ属、ゴジアオイ属がある。動物はクレタパサンのほか、コーカサスアナグマ(英語版)のクレタ島亜種が生息している[1]。