コルセット
ウィキペディアから
ウィキペディアから
コルセット(英: corset)は、女性用ファウンデーションの一種で、近代から現代にかけてヨーロッパ大陸で一般に使用された。胸部下部よりウェストにかけてのラインを補正する役割を持ち、ヒップの豊かさの強調と対比的に、胴の部分を細く見せた。
イギリスでは、コルセットとほぼ同じ目的の補正下着としてステイズ (stays) があった[1]。これは重層的な構造を持っていたため、ヨーロッパ北部では保温目的でも着用された。
20世紀中盤以降は、ファウンデーションの素材の進化とファッションの方向性の変化でコルセットは廃れており、今日では医療・運動補助用や趣味、一部の民族衣装を着用する際の装身を目的として使用されている。
コルセットの形状を維持するためのボーンは鯨髭、ないしは鉄鋼製であった。通常、背後にはハトメに紐を通したレース部分があり、ウエスト部分から取り出された紐を締め付けることによってウェストを細くする。
このような下着では着用に多少時間がかかるが、一人で着用することも十分に可能である。しかし、装着時に手伝いがあるとより良く、早く着付けることができる。後年、女性の社会進出と共にコルセットが廃れたのは、その装着に時間や手間がかかるのも一因とされる。
1906年、ポール・ポワレがコルセットを用いないハイウエストのドレスを発表。19世紀のドレスには無かった、自然な身体の美しさを押し出すファッションは革新的であり、新たな道筋を示すこととなった。 ココ・シャネルは婦人服にジャージー生地などの新たな素材や男性服のエッセンスを導入した日常生活における利便性とファッション性を両立したスーツを発表、こうした流れの中で窮屈なコルセットは衰退し始めた[5]。それでも実用的な補正下着としてのコルセットは20世紀半ば頃まで使用され続けるが、下着の生地の素材が進化すると共に多様化し、コルセットとは別種の体型補正下着が素材レベルからデザインされ、これらがコルセットに取って代わって行った。
20世紀の半ば以降になると女性の社会進出が著しくなり、屋外での活動に適した実用的な形状のスカートが登場した。19世紀になお存在した重厚なペティコート、あるいはペティコート型スカートは廃れて行き、ヴィクトリア朝時代に盛んであった装飾過剰で裾の長いドレスも、20世紀の初期から半ばへとかけて、より活動的なファッションへと変化して行ったのである。
これと共に、着脱が容易で生活運動にも支障をきたさない補正下着がコルセットの位置を奪っていったのであり、また時代における女性に期待される「美しい身体のライン」の理想の変化もファッションとしてのコルセットの衰退をもたらす原因となった。
近年はギプスや腰痛緩和器といった医療具、腹部や腰椎部に負荷がかかる運動における肉体損傷予防および力学的効率化を目的とした運動補助具としてその名前を残している。
Seamless Wikipedia browsing. On steroids.
Every time you click a link to Wikipedia, Wiktionary or Wikiquote in your browser's search results, it will show the modern Wikiwand interface.
Wikiwand extension is a five stars, simple, with minimum permission required to keep your browsing private, safe and transparent.