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クランカーティ伯爵(クランカーティはくしゃく、英: Earl of Clancarty)は、イギリスの伯爵、貴族。アイルランド貴族爵位。これまでに2度創設され、第2期が存続している。同族にアシュタウン男爵家がある。
コーマック・マクダーモット・マッカーシー(1552–1616)の息子チャールズ・マッカーシー(1570s–1641)は1620年3月24日に騎士爵に叙された後、1628年11月15日にアイルランド貴族であるコーク県におけるマスケリー子爵とブラーニー男爵に叙された[1]。これらの爵位は初代の死後、まず次男ドノー・マッカーティー(1594–1665)およびその男系男子が継承し、それが断絶すると初代の男系男子が継承する、という継承順位が規定された[2]。
この継承順位に基づき2代子爵となった次男ドノーは父の存命中にアイルランド庶民院議員を務め、1638年ごろにノバスコシアにおける準男爵に叙された[3]。彼は1641年アイルランド反乱で反乱軍に加わったが、1651年のノックナクラッシーの戦いで初代ブロッグヒルのボイル男爵ロジャー・ボイル率いるイングランド共和国軍に敗れ、以降王党派に転じた[4]。そして、王党派としての功績により1658年11月27日にコーク県におけるクランカーティ伯爵に叙された[3]。
その孫にあたる4代伯爵ドノー・マッカーティー(1668–1734)はジャコバイトであり、ウィリアマイト戦争でジャコバイト軍に加わったが、1690年のコーク包囲戦で捕虜になり、ロンドン塔に投獄された[5]。彼は1691年に領地と爵位を剥奪され、1694年にフランスに逃亡した[6]。1698年にイングランドに戻って妻に会ったが、妻の弟にあたるスペンサー卿チャールズ・スペンサーが当局に密告したため再び投獄された[6]。のちに出国を条件に釈放され、以降2度と帰国しなかった[6]。
4代伯爵の息子ロバート・マッカーティー(1685–1769)は爵位を継承できなかったが、父の存命中に「マスケリー子爵」の儀礼称号を、父の死後に「クランカーティ伯爵」の称号を使用した[6]。彼は1730年代にニューファンドランド総督を務めたが、爵位継承を認められなかったため1741年に移住して、1745年ジャコバイト蜂起に関与した[6]。
政治家リチャード・トレンチ(1710–1768)の息子ウィリアム・パワー・キーティング・トレンチ(1741–1805)は29年間アイルランド庶民院議員を務めたのち、1797年11月25日にアイルランド貴族であるゴールウェイ県におけるガーバリーのキルコンネル男爵に、1801年1月3日にゴールウェイ県ダンローおよびロスコモン県バリナスローにおけるダンロー子爵に、1803年2月11日にコーク県におけるクランカーティ伯爵に叙された[7]。
その息子である2代伯爵リチャード・ル・プア・トレンチ(1767–1837)は小ピット派の政治家であり、アイルランド庶民院議員、連合王国庶民院議員、アイルランド郵政長官、アイルランド貴族代表議員、商務庁長官を歴任した[8]。このほか、外交官としては在オランダイギリス大使を務め、ウィーン会議のイギリス代表も務めた[8]。その後、1815年8月4日に連合王国貴族であるゴールウェイ県におけるガーバリーのトレンチ男爵に叙され、駐蘭大使在任中の1818年7月18日にネーデルラント連合王国の爵位であるフースデン侯爵に叙された[8]。さらに駐蘭大使の退任にあたり、1823年12月8日に連合王国貴族であるコーク県におけるクランカーティ子爵に叙された[8]。
その曽孫にあたる5代伯爵ウィリアム・フレデリック・ル・プア・トレンチ(1868–1929)は広大な領地を相続したが、1891年に領地を担保に多額な借金をして、1907年にアイルランドにおいて、1910年にイングランドにおいて破産を宣告された[9]。
5代伯爵の息子にあたる8代伯爵ウィリアム・フランシス・ブリンズリー・ル・プア・トレンチ(1911–1995)は1979年に貴族院で政府によるUFO研究を提唱した[10]。
2024年現在の当主は8代伯爵の弟の息子にあたるニコラス・ル・プア・トレンチ(1952–)である[11]。
爵位の推定相続人はいない。
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