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沖縄の妖怪 ウィキペディアから
キジムナーは、沖縄諸島周辺で伝承されてきた伝説上の生物、妖怪で、樹木(一般的にガジュマルの古木であることが多い)の精霊。精魔、セーマグ、ブナンガヤー、ブナガイ、ミチバタ、ハンダンミー、アカガンダーなどとも呼ばれる[1]。
人から恐れられることはあまりなく[1]、「体中が真っ赤な子ども」あるいは「赤髪の子ども」「赤い顔の子ども[2]」「長髪で全身毛だらけ[1]」の姿で現れると言われることが多いが、また、手は木の枝のように伸びている、一見老人のようだがよく見ると木そのものである、などともいう。土地によっては、大きくて真っ黒いもの、大きな睾丸の持ち主などともいう[2]。
跳びはねるように歩く。男女の性別があり、大人になって結婚もすれば、子どもを生んで家族連れで現れる、あるいは人間の家に嫁ぐこともあるなどとされる。
川でカニを獲ったり特に魚の左目または両目が好物で、キジムナーと仲良くなれば魚をいつでも貰え、金持ちになれるともされる[1]。また、グルクンの頭が好物だともいう。海に潜って漁をするのが得意であっという間に多くの魚を獲る[1]。また、水面を駆け回ることができ、人を連れながらでも水上に立てる[1]。
いっぽうで人間の船に同乗して共同で漁を行うと伝えられ、ほかにも作業の手伝いをして褒美にご馳走をいただく、夕食時にはかまどの火を借りに来る、年の瀬は一緒に過ごすなど、人間とは「ご近所」的な存在であるといった伝承が多い。キジムナーとともに漁をすると、たちどころに船が魚であふれるほど魚が捕れるが、前述のようにキジムナーは好物の魚の目玉を食べるので、捕れた魚は必ず片目がないという[2]。
人間と敵対することはほとんどないが、住みかの古木を切ったり虐げたりすると、家畜を全滅させたり海で船を沈めて溺死させるなど、一たび恨みを買えば徹底的に祟られると伝えられる。赤土を赤飯に見せかけて食べさせる、木の洞など到底入り込めないような狭い場所に人間を閉じ込める、寝ている人を押さえつける、夜道で灯りを奪うなどの悪戯を働くともいう[2]。出入りが自在でどんな小さい隙間でも出入りが可能とされる[1]。東北地方の座敷童子に近い伝承もあり、キジムナーに気に入られた家は栄え、反対に嫌われた家は滅びるとも伝えられる。
タコ、ニワトリ、熱い鍋蓋、屁を嫌うので、キジムナーと縁を切るにはこれらのものを使うか、キジムナーの宿っている木を焼いたり、釘を打ち込んだりすると良いという[2]。ただし、ある老人がキジムナーと仲良くなった後、しばらくしてキジムナーを気味悪く思ったのでこのような方法で追い払ったところ、その老人は3日後に死んでしまったという話もある[3]
火に関連しているという説もあり、旧暦8月10日にはキジムナー火が出るといって見物人が出たという[1]。屋敷の古木に尾花を結んで木の下に立てると現れないとする[1]。また、原因不明の怪火もキジムナーの火によるものといわれ、家の屋根からキジムナーの火が上がると死の予兆とされた[2]。
昭和以降も沖縄の子供たちの間では、キジムナーの足跡を見るという遊びがあった。それによれば、静かで薄暗い場所に円を描き、小麦粉などの白い粉を撒き、円の中心に線香を立てて火を灯し、呪文を唱えて隠れてから20数えてもとの場所に戻ると、粉の上にキジムナーの足跡がついているという[4]。
なお、民俗学上、八重山諸島にはキジムナーの伝承は確認されないが、現在では沖縄県の妖怪・精霊として、全県的に定着している。
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