アビジン
ウィキペディア フリーな encyclopedia
アビジン (Avidin) は、鳥類、爬虫類、両生類の卵管で産生される四量体型(英語版)ビオチン結合性タンパク質である。これらの動物の卵の白身に蓄積される。一部のバクテリアでは二量体型(英語版)のアビジンファミリーも存在する[1]。鶏卵の白身では、アビジンは全タンパク質の約0.05%を占める(卵1個当たり約180 μg)[2]。アビジンは4個の同じサブユニットを含み(ホモ四量体)、それぞれのサブユニットがビオチン(ビタミンB7、ビタミンH)を高い親和性と特異性で結合できる。アビジンとビオチンの解離定数Kdはおよそ10−15 Mと測定されており、既知の非共有結合性結合の中で最も強いものの一つである[3]。
Avidin | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
core-streptavidin mutant d128a at pH 4.5 | |||||||||
識別子 | |||||||||
略号 | Avidin | ||||||||
Pfam | PF01382 | ||||||||
InterPro | IPR005468 | ||||||||
PROSITE | PDOC00499 | ||||||||
SCOP | 1slf | ||||||||
SUPERFAMILY | 1slf | ||||||||
| |||||||||
テンプレートを表示 |
四量体形では、アビジンの大きさは66–69 kDaと見積られている[4]。分子量の10%は、4から5残基のマンノースと3残基のN-アセチルグルコサミンから成る糖鎖によるものである[5]。アビジンの炭水化物部分は少なくとも3種の特徴的なオリゴ糖構造を含む[6]。それぞれの構造と成分は似ている。
調理によってアビジンのビオチン親和性は破壊されるため、機能を持つアビジンは生卵でのみ見られる。卵中のアビジンの自然な機能は分かっていないが、(細菌の成長を助けるビオチンに結合する)細菌成長阻害因子として卵管中で作られていると想定されている。この仮説の証拠として、アビジンと等しいビオチン親和性と非常によく似た結合部位を持つストレプトアビジンがストレプトマイセス属細菌のある株によって作られており、抗生物質のようにして競合する細菌の成長を阻害する働きをしていると考えられている[7]。
アビジンの非グリコシル化形が市販の製品に含まれている。しかしながら、非グリコシル化形が天然に存在するのか、あるいは製造工程の産物なのかは最終的な答えが出ていない[8]。