アイオワ級戦艦
アメリカが建造した高速戦艦 / ウィキペディア フリーな encyclopedia
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アイオワ級戦艦(アイオワきゅうせんかん、Iowa Class Battleship)は、アメリカ海軍の戦艦。アメリカが建造した最後の戦艦の艦級であり、各国の戦艦の中で最後に退役した戦艦である。計画では6隻が建造予定であり[6]、1938年海軍法により承認されたアイオワ、ニュージャージー、ミズーリ、ウィスコンシンの4隻が第二次世界大戦中の1943年から1944年にかけて就役した。両洋艦隊法で承認されたイリノイ、ケンタッキーの2隻が就役に至らず建造中止となった。
アイオワ級戦艦 | |
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艦級概観 | |
艦種 | 戦艦 |
艦名 | 州名。一番艦はアイオワ州に因む。 |
同型艦 | 予定:6隻、就役:4隻 |
前級 | サウスダコタ級戦艦 |
次級 | モンタナ級戦艦 |
性能諸元(1943年 - 1945年)[1][2] | |
排水量 | 設計:45,000トン 軽荷:43,875トン 基準:48,425トン 常備:55,424トン 満載:57,540トン 最大:59,331トン |
長さ | 全長:887 ft-2.75 in(270.427 m) 水線長:859 ft-5.75 in(262.689 m) |
幅 | 全幅:108 ft-2.063 in(32.971 m) |
吃水 | 常備:35 ft-0.75 in(10.687 m) 満載:36 ft-2.25 in(11.030 m) |
主機 | 蒸気タービン方式、4軸推進 |
バブコック・アンド・ウィルコックス式重油専焼ボイラー 8基 | |
GE式またはウェスチングハウス式蒸気ギヤードタービン 4基 | |
出力 | 212,000馬力 221,000馬力(1943年) |
速度 | 33ノット 31.9ノット(1943年) 35.2ノット(1968年) |
航続距離 | 12ノット/18,000海里(1945年) 15ノット/14,890海里 17ノット/15,900海里(1945年) 20ノット/11,700海里 29.6ノット/5,300海里(1945年) |
乗員 | 設計:1,921名 1945年 アイオワ:2,788名 ニュージャージー:2,753名 ミズーリ:2,978名 ウィスコンシン:2,911名 |
兵装 | Mk.7 16インチ50口径砲 9門 (3連装砲塔として搭載) |
Mk.12 5インチ38口径砲 20門 (連装砲塔として搭載) | |
対空兵装[3] | |
40 mm 機関砲(4連装) アイオワ:60門(15基) ニュージャージー:80門(20基) ミズーリ:80門(20基) ウィスコンシン:80門(20基) | |
20 mm 機関砲 アイオワ:60門(単装60基) ニュージャージー:49門(単装49基) ミズーリ:49門(単装49基) ウィスコンシン:53門(単装49基、連装2基) | |
対空兵装 (1945年)[3] | |
40 mm 機関砲(4連装) アイオワ:76門(19基) ニュージャージー:変更無し ミズーリ:変更無し ウィスコンシン:変更無し | |
20 mm 機関砲 アイオワ:68門(単装52基、連装8基) ニュージャージー:57門(単装41基、連装8基) ミズーリ:59門(単装43基、連装8基) ウィスコンシン:65門(単装49基、連装8基) | |
光学機器[4] | |
主砲塔1基に レンジファインダー1基(倍率25、1番はMk.53合致式、2と3番はMk.52立体視) Mk.66テレスコープ4基(倍率12) Mk.29ペリスコープ2基(倍率12) | |
副砲塔1基に Mk.68テレスコープ3基(倍率6.3) | |
Mk.38ディレクター1基に Mk.48立体視レンジファインダー1基(倍率25) Mk.69テレスコープ2基(倍率12) Mk.56テレスコープ1基(倍率4) Mk.29ペリスコープ1基(倍率12) | |
Mk.40ディレクター1基に Mk.30ペリスコープ2基(倍率12) Mk.32ペリスコープ1基(倍率12) | |
Mk.37ディレクター1基に Mk.42立体視レンジファインダー1基(倍率12or24) Mk.60テレスコープ2基(倍率6) | |
レーダー[5] | SK対空捜索1基 SG対水上捜索2基 SQ対水上捜索(携帯用) Mk.8射撃管制2基(Mk.38ディレクター) Mk.3射撃管制1基(Mk.40ディレクター) MK.4射撃管制4基(Mk.37ディレクター) Mk.19射撃管制(Mk.49ディレクター、BB-62) |
レーダー (1945年)[5] |
SK対空捜索1基(BB-61と64) SR対空捜索1基(BB-61と64) SK-2対空捜索1基(BB-62と63) SP高度探知1基(BB-62) SG対水上捜索2基(BB-63と64) SU対水上捜索1基(BB-61と62、SGは1基) SQ対水上捜索(携帯用) Mk.8射撃管制1基(Mk.38ディレクター、BB-63は2基そのまま) Mk.13射撃管制1基(Mk.38ディレクター、BB-61、62、64) Mk.27射撃管制1基(Mk.40ディレクター) Mk.12射撃管制/Mk.22高度探知4基(Mk.37ディレクター) Mk.29射撃管制(Mk.57ディレクター) |
艦載機 | カタパルト 2基 |
水上機 3機 | |
装甲 | 舷側:307mm(傾斜19度) 甲板:主甲板STS38mm 装甲甲板121mm+STS32mm 主砲防盾:432mm裏面にSTS64mm 主砲座:439mm 司令塔:439mm |
ワシントン海軍軍縮条約(ワシントン体制)を脱退した大日本帝国に対抗すべく[7]、英米仏は1938年4月に第2次ロンドン海軍条約のエスカレーター条項を適用する[8][9]。6月末に調印して、16インチ砲を搭載した基準排水量45,000トンの戦艦が建造可能になった[10]。
当初は16インチ砲搭載35,000トン級戦艦(サウスダコタ級)の兵装と防御を強化した発展型案や、サウスダコタ級と同等の防御に12門の40.6cm砲の戦艦案や、サウスダコタ級と同等の攻防力を持った速い戦艦案等が考案された。1938年7月の時点で、既に速力に重点を置いた案が有望視されている[注釈 1]。最終的に排水量45,000トンで9門の40.6cm50口径砲と最大速力33ノットという、高速戦艦の艦容となった。
日本海軍が16インチ砲9門を搭載した43,000トン級超弩級戦艦を8隻建造していると推定したアメリカ海軍は[注釈 2]、ヴィンソン案によって建造した自軍の35,000トン級戦艦6隻では対抗不能と判断、アイオワ級戦艦とモンタナ級戦艦の建造(計画)に踏み切ったのである[13]。 一方、アイオワ級戦艦の存在は太平洋戦争開戦前から日本海軍も把握しており[14]、一般にも知られていた[15][注釈 3][注釈 4]。