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てんびん座の連星 ウィキペディアから
てんびん座λ星(てんびんざラムダせい、λ Librae、λ Lib)は、てんびん座にある恒星である。見かけの等級は5.03と、肉眼でみることができる明るさである[1]。年周視差を基に計算すると、太陽からおよそ440光年の距離にある[3][注 1]。視線速度の変化から、分光連星であることがわかっており、更に変光星、ヘリウムの欠乏した特異星としての特徴も備えている[8][9][7]。
てんびん座λ星 λ Librae | ||
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星座 | てんびん座 | |
見かけの等級 (mv) | 5.03[1] | |
変光星型 | ELL[2] | |
位置 元期:J2000.0 | ||
赤経 (RA, α) | 15h 53m 20.0538968232s[3] | |
赤緯 (Dec, δ) | −20° 10′ 01.471003716″[3] | |
視線速度 (Rv) | -2.0 ± 0.5 km/s[3] | |
固有運動 (μ) | 赤経: -12.977 ミリ秒/年[3] 赤緯: -17.736 ミリ秒/年[3] | |
年周視差 (π) | 7.3884 ± 0.2897ミリ秒[3] (誤差3.9%) | |
距離 | 440 ± 20 光年[注 1] (135 ± 5 パーセク[注 1]) | |
絶対等級 (MV) | -0.6[注 2] | |
てんびん座λ星の位置(赤丸)
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物理的性質 | ||
半径 | 2.4 R☉[4] | |
質量 | 4.37 M☉[4] | |
表面重力 (log g) | 4.26 cgs[4] | |
自転速度 | 140 km/s[5] | |
スペクトル分類 | B3 V[6] | |
光度 | 417+158 −115 L☉[7] | |
有効温度 (Teff) | 17,000 K[4] | |
色指数 (B-V) | -0.01[1] | |
色指数 (U-B) | -0.56[1] | |
色指数 (R-I) | -0.05[1] | |
金属量[Fe/H] | -0.27[6] | |
年齢 | 1.1 ×107 年[4] | |
軌道要素と性質 | ||
軌道長半径 (a) | ≥ 7.56 ± 0.33 R☉[5] | |
離心率 (e) | 0.40 ± 0.03[5] | |
軌道周期 | 12.4619 ± 0.0005 日[5] | |
他のカタログでの名称 | ||
てんびん座45番星, BD-19 4249, FK5 1415, HD 142096, HIP 77811, HR 5902, SAO 183895[3] | ||
■Template (■ノート ■解説) ■Project |
てんびん座λ星は、視線速度が変化していることがリック天文台のムーアによって指摘された[10][11]。その後、マクドナルド天文台などの観測から、視線速度曲線が得られ、その変動周期が求まり、分光連星であることが確かめられた[11]。更に、1980年代にはセロ・トロロ汎米天文台やキットピーク国立天文台などの観測により、軌道要素が求められるようになった[12]。てんびん座λ星の連星軌道は、公転周期が12.46日で、離心率は0.4とそれなりに大きい偏った軌道をとっている[5]。
リック天文台のキャンベルらが1921年に行った観測から、てんびん座λ星のスペクトルに主星と伴星2本の吸収線がみえるという報告があったが、これはその後裏付けがとれていない[12][13]。しかし、月によるてんびん座λ星の掩蔽を利用して、主星と伴星の切り分けが試みられており、誤差は大きいながら離角は0.2ミリ秒角、明るさの差は2等級と見積もられている[12][8]。
また、ヒッパルコス衛星による固有運動の観測から、てんびん座λ星の固有運動は線形ではなく、位置天文学的連星である可能性がある[14]。この固有運動に影響を与える成分は、分光連星を構成する2星とは別で、そのためてんびん座λ星は、みえていないもう1つの恒星を含む三重連星かもしれない、と指摘されている[15]。
てんびん座λ星は、B型主系列星で、スペクトル型はB3 Vと分類される[6]。ただし、てんびん座λ星のスペクトルは、ヘリウムの吸収線がとても弱いので、化学特異星の弱ヘリウム星とされ、そのことを表すスペクトル型のB3 He wkとも分類される[7][8]。また、てんびん座λ星では赤外超過が検出されており、周囲に残骸円盤を持つベガ型星の候補ともされている[6]。
ローウェル天文台での測光観測から、てんびん座λ星は変光星であることも明らかになった[13]。その光度曲線の周期が、分光連星の軌道周期の半分とよく合ったことから、楕円体状変光星であろうと推定された[13][9]。ただし、当初は光度曲線の振幅の大きさから、楕円体状変光星とすればその変光周期は0.536日とされ、軌道周期がその2倍であるならば、分光観測による軌道周期とは大きな隔たりがあった[13][9]。その後、STEREO衛星の観測からは変光周期3.314日、コリオリ衛星の観測からは変光周期6.641日と、徐々に修正されている[7][16]。
てんびん座λ星は、さそり座-ケンタウルス座アソシエーションの一員であるといわれるが、確かなところはわかっていない[8][1]。
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