![cover image](https://wikiwandv2-19431.kxcdn.com/_next/image?url=https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/8/8c/Handwaermer12.jpg/640px-Handwaermer12.jpg&w=640&q=50)
相変化材料
ウィキペディア フリーな encyclopedia
相変化材料(そうへんかざいりょう、phase-change material (PCM))は、相変化時に大きなエネルギーの放出または吸収を行い、利用可能な程度の発熱または冷却を行うことができる物質の総称である。
![Thumb image](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/8/8c/Handwaermer12.jpg/640px-Handwaermer12.jpg)
一般的に「相変化」とは、物質の状態の変化(例えば固体から液体、液体から気体への変化)のことを指す。また、ある結晶構造に適合する状態から別の結晶構造に適合する状態への変化のような、非古典的な物質の状態の変化を指す場合もある。固体から液体への変化、またはその逆の変化によって放出・吸収されるエネルギー、すなわち融解熱は、一般に顕熱よりも遥かに大きい。例えば、水の温度を1度上げるのに必要なエネルギーは約4.2J/gであるが、氷を溶かすのに必要なエネルギーは333.6J/gである。氷・水は古代から使われてきたPCMであり、少なくともアケメネス朝の時代から、冬に蓄えた氷を、夏に冷房のために使うということが行われてきた。
相変化温度(PCT)で融解・凝固することにより、PCMは顕熱での貯蔵に比べて大量のエネルギーを吸収・放出することができる。材料が固体から液体に変化するとき、またはその逆のとき、あるいは材料の内部構造が変化するとき、熱が吸収または放出される。そのため、PCMは潜熱蓄熱材(LHS)とも呼ばれる。
PCMには、石油・植物・動物由来の有機材料と、天然塩などに由来する塩水和物の主に2種類がある。この他、固体から固体への相変化を利用したPCMもある。
PCMは、エネルギーの貯蔵や安定した温度の供給のために使われており、後者の用途として、繰り返し利用可能な携帯カイロ、ネッククーラーなどの冷却グッズ、精密機器の冷却などがある。
PCMの最も大きな潜在的市場は、建物の冷暖房への利用である。再生可能エネルギーによる発電は、電力の供給が断続的もしくは不安定であり、また、需要に合わせて供給量を増減させるのが難しい。例えば、太陽光発電の供給のピークである昼間にPCMにエネルギーを蓄積し、需要のピークである夕方から夜に放出するということが考えられる。