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ビール、発泡酒とは異なる原料・製法で製造された、ビール風味の発泡アルコール飲料 ウィキペディアから
第三のビール(だいさんのビール)とは、ビール、発泡酒とは別の原料、製法(後述)で作られた、ビール風味の発泡アルコール飲料の名称。この種の製品を生産するメーカー各社はビールとの誤認を避けるため新ジャンルと称している。
この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。 |
「第三のビール」という用語自体はビール、発泡酒に続くことから、新聞社や放送局などのマスメディア・広告代理店によって作られた用語である[1]。あくまでもビールではないので表現としては不正確であるが、用語として定着している。
特徴としては、酒税法上「ビール」または「発泡酒」に属さない扱いにする[2]ために、
という手法をとっているという点である。前者の場合は法律上その他の醸造酒(発泡性)①[注 1]に、後者の場合はリキュール(発泡性)①に分類されるため、税率が下がる。各メーカーは、おいしさを追求した結果このような手法をとることになったとアピールしている。なお、これまでサントリーとアサヒのみが発売していたリキュール型だが、2007年からキリンとサッポロも参入するのに伴いリキュール型が主要4社全てから出揃うのを受けて、一部マスコミでは区別する意味合いから、リキュール型を「第四のビール」[3]と呼称するところも出てきている。
第三のビールにて「生」の定義は、ビールの「生」(生ビール)の定義と同様に『熱処理をしていないもの』が該当する[4]が、ビールの表示に関する公正競争規約の対象ではないため、基本的に「熱処理していない」旨(「非熱処理」等)の表記は行なわれていない。また、リキュール(発泡性)①に分類されている商品は、缶チューハイと同様の規制を受けるため、大手メーカーの商品では「生」の表記は行っていない[注 2]。
メーカーはビールではないため「ビール」という名称を使うことはないが、基本的にビールの缶と類似のデザインであり、「泡」や「麦」や「ホップ」などの語や図案を配置したり商品名に用いることで、購入者がビールを想起するように配慮されている。
2017年の酒税法改正により、2020年10月以降第三のビールの税率は段階的に増税(ビールおよび麦芽比率25%以上の発泡酒は減税)され、2026年10月には現在のビール類は全て同一の税率(1リットルあたり155円)になる[5]。
2020年10月1日から2023年(令和5年)9月30日までのビール類の税率は次のとおり。金額は1リットルあたり。
第三のビール(その他の発泡性酒類) | 108円 | |
発泡酒 | 麦芽比率50%以上 | 200円 |
25%以上50%未満 | 167.125円 | |
25%未満 | 134.25円 | |
ビール | 200円 |
2020年9月までは次のとおりであった[6]。金額は1リットルあたり。
第三のビール(その他の発泡性酒類) | 80円 | |
発泡酒 | 麦芽比率50%以上 | 220円 |
25%以上50%未満 | 178.125円 | |
25%未満 | 134.25円 | |
ビール | 220円 |
2003年(平成15年)の酒税法改正前までは、同法の規定でビールよりも税率が低く抑えられた発泡酒が売れ行きを伸ばしてきていたが、同改正によって発泡酒の税率が引き上げられた。この税率改正に伴う値上げのため、消費者が離れる事を懸念した各ビールメーカーは、より低税率(低価格)になるよう麦芽以外の原料を使用して作った、もしくはビールや発泡酒に別のアルコール飲料を混ぜて作った、ビールや発泡酒と同じような味わいのアルコール飲料の研究・開発に着手した。
そして、2004年(平成16年)2月にサッポロビールが発売した「ドラフトワン」が麦芽以外の原料で作った製品の第一号となった。それに続き2004年3月9日にサントリーからビールと麦焼酎をブレンドした「麦風」が発売された。その後、麦芽以外原料タイプのキリン「のどごし<生>」、アサヒ「アサヒ新生」が発売された。なお、サントリーからは過去に同様の商品(後述)が発売されたことがある。
第三のビールが勢力を伸ばしてくると、かつては安さが一番の特徴であった発泡酒の売上に影響が出てくるようになり、発泡酒のシェアが第三のビールに奪われていく形になった[7]。
2006年(平成18年)5月、税収不足に苦慮している国税庁は「第三のビール」に該当する分類について、改正酒税法を施行し、350ml缶で3.8円の増税となった。その反面、ビールに対する減税(同0.7円減)も行われた。また、この改正により指定された原料[6]や従来から存在した製法を用いた第三のビール以外の発泡性のある10度未満の酒類はビールと同額の課税がなされるようになったため[6]、新たな原料や製法を用いた「第三のビール」が誕生する事は現実的に難しくなった。
具体的に、定義表[8]を見ると次のような注釈がある。(カッコ内は該当すると思われる製品)
※2 下記に記載している原料以外を使用し、ホップ又は苦味料を使用している場合はビール並みの酒税となります。
- 糖類、ホップ、水及び大豆たんぱく及び酵母エキスを原料として発酵させたもの (→ キリン「のどごし〈生〉)
- 糖類、ホップ、水、大豆ペプチド、酵母エキス及びカラメルを原料として発酵させたもの (→ アサヒ「新生」)
- 糖類、ホップ、水、エンドウたんぱく及びカラメルを原料として発酵させたもの (→ サッポロ「ドラフトワン」)
- 糖類、ホップ、水、エンドウたんぱく、水溶性食物繊維及びカラメルを原料として発酵させたもの → (サッポロ「スリムス」)
- 糖類、ホップ、水、コーンたんぱく分解物、コーン、酵母エキス、醸造アルコール、食物繊維、香味料、くえん酸カリウム及びカラメル (→ サントリー「ジョッキ生」)
- 発泡酒にスピリッツ(小麦又は大麦を原料の一部としたアルコール含有物を蒸留したものに限る。)を加えたもの
1〜5が「その他の醸造酒(発泡性)①」の指定であるが、各項目がピンポイントで既存製品に対応する内容である。つまり、原則的にはビール並みの課税となるところを既存製品だけピンポイントで外してあるわけであり、新たな原料でビール風の酒を醸造してもビール並みに課税され、節税は不可能となる。
これまでキリンとサッポロは麦芽以外原料タイプのみの発売であったが、2007年からリキュール型も発売開始し、主要4社全てから両タイプが出揃った。しかしアサヒビールは2009年に麦芽以外原料タイプから撤退している。
2000年代中盤以降に、韓国など日本国外でも第三のビールに該当する商品が誕生しており、価格が日本国内主要4社の商品と比べさらに安くなっていることから、2000年代後半以降輸入が伸び、好評を博している[9]。また、サントリーが大手流通チェーンのプライベートブランドとして、イオンとセブン&アイ・ホールディングスへの製品の供給を2009年から行っている[10][11]。
サッポロビール「極ZERO」は発売当初、「第三のビール」として発売していたが、国税庁から第三のビールに該当しない可能性を指摘され 2014年(平成26年)5月に販売打切り、同年7月15日より発泡酒として再発売となった[12]。
2017年(平成29年)に酒税法が改正され、2026年(令和8年)10月1日より第三のビール、発泡酒を含むビール類の税率は最終的に一本化され、それに先立ち2020年(令和2年)10月1日より「第三のビール」が若干増税、および(純粋な)「ビール」が若干減税され、2023年(令和5年)10月1日より「第三のビール」という区分が廃止され、既存製品、およびそれ以降に開発・製造・発売された「第三のビール」は発泡酒に統合され、「発泡酒②」に分類されることとなった[5][13][14]。
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