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特定小電力無線局(とくていしょうでんりょくむせんきょく)は、免許を要しない無線局、その内のいわゆる小電力無線局の一種である。
この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。 |
総務省令電波法施行規則第6条第4項第2号に「次に掲げる周波数の電波を使用するものであつて、総務大臣が別に告示する電波の型式及び周波数並びに空中線電力に適合するもの」と定義され、以下、用途と周波数帯が定められている。
電波法施行規則第6条第4項第2号の各号による。
2016年(平成28年)8月31日[1]現在
促音の表記は原文ママ
免許不要局の一種であり手続き不要で使用できる。 その反面、無線設備規則第4章第4節の11および関係告示に技術基準が定められており、特定無線設備の技術基準適合証明等に関する規則により認証された適合表示無線設備(技適マークのついた機器)でなければならない。
出力(空中線電力)は1W(当初は10mW)以下で告示 [2] に定められている。 無線機器には他の無線局の運用を阻害するような混信などの妨害を生じさせない機能を備えている。 また、技術基準には、「一の筐体に収められており、容易に開けることができないこと」(空中線(アンテナ)が外付けできるものなど一部例外がある。)とされ、特殊ねじなどが用いられているので、利用者は改造はもちろん保守・修理の為であっても分解してはならない。 改造したものは技術基準適合証明が無効となり、不法無線局となる。 技適マーク#規制事項を参照。
日本独自の制度であるので外国での使用はできない。持込みができたとしてもその国で使用を許可されたということではない。
特定省電力と誤記されることがある。また、特定無線局や特定ラジオマイクとは関係ない。
適合表示無線設備には技適マークと技術基準適合証明番号又は工事設計認証番号の表示が必須であり、特定小電力無線局を表す記号は、技術基準適合証明番号の英字の第1字目のY[3]である。 従前は工事設計認証番号にも表示を要した。 [4]
なお、改造したものからは技適マークを除去しなければならない。 技適マーク#規制事項を参照。
総務省告示周波数割当計画ならびに無線設備規則およびこれに基づく告示[2][5]による 周波数、電波の型式、空中線電力、占有周波数帯幅の許容値および通信方式と、電波産業会(略称ARIB)が電波法令の技術基準を含めて規格化し公開している標準規格を示す。
記事のあるものは、そちらを参照のこと。
2022年(令和4年)9月5日[6]現在
周波数割当計画別表9-1に規定 [7]
電波型式 | 周波数 | 空中線電力 | 占有周波数帯幅の許容値 | 通信方式 |
---|---|---|---|---|
規定なし | 312-315.25MHz | e.i.r.p. 25μW以下 |
1MHz | 単向通信方式 単信方式 復信方式 半復信方式 同報通信方式 |
F1D F1F F2D F2F F7D F7F G1D G1F G2D G2F G7D G7F D1D D1F D2D D2F D7D D7F |
426.025-426.1375MHz(12.5kHz間隔) | 0.001W以下 | 8.5kHz | 単向通信方式 単信方式 |
429.175-429.7375MHz(12.5kHz間隔) | 0.01W以下 | |||
429.8125-429.925MHz(12.5kHz間隔) 449.7125-449.825MHz(12.5kHz間隔) |
単向通信方式 単信方式 同報通信方式 複信方式 半複信方式 | |||
426.0375MHz 426.0625MHz |
0.001W以下 | 16kHz | 単向通信方式 単信方式 同報通信方式 | |
規定なし | 916-928MHz(100kHz間隔) | 0.01W以下 | 200kHz以下 | 単向通信方式 単信方式 同報通信方式 複信方式 半複信方式 |
920.6-928MHz(100kHz間隔) | 0.01Wを超え 0.02W以下 | |||
916.1-927.9MHz(100kHz間隔) | 0.01W以下 | 200kHzを超え 400kHz以下 | ||
920.7-927.9MHz(100kHz間隔) | 0.01Wを超え 0.02W以下 | |||
916.2-927.8MHz(100kHz間隔) | 0.01W以下 | 400kHzを超え 600kHz以下 | ||
920.8-927.8MHz(100kHz間隔) | 0.01Wを超え 0.02W以下 | |||
916.3-927.7MHz(100kHz間隔) | 0.01W以下 | 600kHzを超え 800kHz以下 | ||
920.9-927.7MHz(100kHz間隔) | 0.01Wを超え 0.02W以下 | |||
916.4-927.6MHz(100kHz間隔) | 0.01W以下 | 800kHzを超え 1MHz以下 | ||
921-927.6MHz(100kHz間隔) | 0.01Wを超え 0.02W以下 | |||
F1D F1F F2D F2F F7D F7F G1D G1F G2D G2F G7D G7F D1D D1F D2D D2F D7D D7F |
1216.0125-1216.9875MHz(25kHz間隔) 1252.0125-1252.9875MHz(25kHz間隔) |
0.01W以下 | 16kHz | 単向通信方式 単信方式 同報通信方式 複信方式 半複信方式 |
1216-1217MHz(50kHz間隔) 1252-1253MHz(50kHz間隔) |
32kHz |
標準規格
2005年(平成17年)8月9日 [11] 現在
周波数割当計画別表9-3に規定 [12]
電波 型式 |
周波数 | 空中線電力 | 占有周波数帯幅の許容値 | 通信方式 |
---|---|---|---|---|
A1D F1D G1D |
402-405MHz (体内植込型医療用 データ伝送用) |
e.i.r.p. 25μW以下 |
300kHz | 単向通信方式 単信方式 複信方式 |
403.5-403.8MHz (体内植込型医療用 遠隔計測用) |
e.i.r.p. 100nW以下 |
単向通信方式 |
2005年(平成17年)12月にスプリアス発射等の強度の許容値に関する技術基準が改正[13]され、旧技術基準に基づき認証された適合表示無線設備は、一部を除き使用期限を「平成34年11月30日」[14]と設定された。
対象となるのは、
であり、除外されるのは、移動体識別用の2.4GHz帯周波数ホッピング方式[17]のみである。
本記事で解説されているもので該当するのは
である。
この使用期限は、2021年(令和3年)8月にコロナ禍により[19]「当分の間」延期[20]された。
この延期により特定小電力無線局の旧技術基準の適合表示無線設備は、新たな使用期限が設定されるまで、令和4年12月1日以降は「他の無線局の運用に妨害を与えない場合に限り」使用可能 [21] である。
電波法施行規則第6条の2の4に規定する機器は、技術基準適合証明を取得していなくても届出から180日以内[22]は、実験等無線局として使用できる。 但し同一目的での期間延長はできない。
本記事で解説されているもので該当するのは、テレメーター用、テレコントロール用及びデータ伝送用の920MHz帯(電波法施行規則第6条第4項第2号の第2号(1)(四)のもの)である。
1989年(平成元年)
1992年(平成4年)- 移動体識別用が追加[26]
1995年(平成7年)- ミリ波レーダー用が追加[27]
1997年(平成9年)- 補聴援助用ラジオマイク用が追加[28]
2000年(平成12年)
2001年(平成13年)
2005年(平成17年)
2006年(平成18年)
2007年(平成19年)- 電波の利用状況調査の中で、3.4GHz以上の特定小電力無線局を含む免許不要局の出荷台数が公表
2008年(平成20年)- 動物検知通報システム用が追加[35]
2011年(平成23年)
2012年(平成24年)
2015年(平成27年)
2016年(平成28年)- 動物検知通報システムが人・動物検知通報システムと改称[1]
2018年(平成30年)- 950MHz帯の使用が終了[37]
2019年(令和元年)- 技適未取得機器を用いた実験等の特例の対象に[42]
2022年(令和4年)- 電波の利用状況調査で、714MHz超の免許不要局の出荷台数を公表
2023年(令和5年)- 電波の利用状況調査で、714MHz以下の免許不要局の出荷台数を公表
315MHz帯、400MHz帯 | ||||
周波数帯 | 平成14年度 | 平成15年度 | 平成16年度 | 出典 |
---|---|---|---|---|
400MHz帯 | 1,635,386 | 1,902,954 | 2,092,948 | 第2章 電波利用システムごとの調査結果(免許不要局)[44] |
周波数帯 | 平成17年度 | 平成18年度 | 平成19年度 | 出典 |
315MHz帯 | 0 | 0 | 269,186 | 第2章 電波利用システムごとの調査結果(免許不要局)[45] |
400MHz帯 | 1,937,462 | 3,687,948 | 4,127,652 | |
周波数帯 | 平成20年度 | 平成21年度 | 平成22年度 | 出典 |
315MHz帯 | 806,378 | 1,686,463 | 2,849,040 | 第2章 電波利用システムごとの調査結果(免許不要局)[46] |
400MHz帯 | 1,063,598 | 1,241,015 | 1,453,214 | |
周波数帯 | 平成23年度 | 平成24年度 | 平成25年度 | 出典 |
315MHz帯 | 8,909,356 | 12,141,052 | 16,776,714 | 第2章 電波利用システムごとの調査結果(免許不要局)[47] |
400MHz帯 | 1,158,785 | 1,348,811 | 1,352,923 | |
周波数帯 | 平成26年度 | 平成27年度 | 平成28年度 | 出典 |
315MHz帯 | 17,435,571 | 15,738,939 | 17,625,542 | 第2章 電波利用システムごとの調査結果(免許不要局)[48] |
400MHz帯 | 1,509,900 | 1,423,473 | 1,316,505 | |
周波数帯 | 平成29年度 | 平成30年度 | 令和元年度 | 出典 |
312MHz超 312.25MHz以下 [49] |
15,087,402 | 15,989,169 | 16,370,313 | 第2章 電波利用システムごとの調査結果(免許不要局)[50] |
410MHz超 430MHz以下 | 1,198,178 | 1,283,144 | 1,168,107 | |
440MHz超 470MHz以下 | 0 | 0 | 0 | |
312MHz超 315.25MHz以下 |
16,356,779 | 16,042,796 | 第2章 電波利用システムごとの調査結果(免許不要局)[51] | |
410MHz超 430MHz以下 | 1,033,182 | 1,150,816 | ||
440MHz超 470MHz以下 | 0 | 0 | ||
920MHz帯、旧950MHz帯、1.2GHz帯 | ||||
周波数帯 | 平成19年度 | 平成20年度 | 平成21年度 | 出典 |
950MHz帯 | 0 | 2,188 | 6,290 | 第2章 電波利用システムごとの調査結果(免許不要局)[52] |
1.2GHz帯 | 4,272 | 3,483 | 3,180 | |
周波数帯 | 平成22年度 | 平成23年度 | 平成24年度 | 出典 |
950MHz帯 | 44,809 | 80,424 | 108,815 | 第2章 電波利用システムごとの調査結果(免許不要局)[53] |
1.2GHz帯 | 2,022 | 1,753 | 2,298 | |
周波数帯 | 平成25年度 | 平成26年度 | 平成27年度 | 出典 |
950MHz帯 | 183,398 | 3,341,550 | 4,840,828 | 第2章 電波利用システムごとの調査結果(免許不要局)[54] |
1.2GHz帯 | 535 | 624 | 1,107 | |
周波数帯 | 平成28年度 | 平成29年度 | 平成30年度 | 出典 |
915MHz超 930MHz以下 | 105,915,437 | 12,491,886 | 9,262,365 | 第2章 電波利用システムごとの調査結果(免許不要局)[55] |
1,215MHz超 1,260MHz以下 | 1,658 | 1,637 | 2,515 | |
周波数 | 令和元年度 | 令和2年度 | 出典 | |
915MHz超 930MHz以下 | 7,742,271 | 7,284,62 | 第2章 電波利用システムごとの調査結果(免許不要局)[56] | |
1,215MHz超 1,260MHz以下 | 2,638 | 3,543 |
平成17年度 | 平成18年度 | 平成19年度 | 出典 |
---|---|---|---|
0 | 0 | 2,937 | 第2章 電波利用システムごとの調査結果(免許不要局)[45] |
平成20年度 | 平成21年度 | 平成22年度 | 出典 |
55,580 | 20,291 | 17,662 | 第2章 電波利用システムごとの調査結果(免許不要局)[46] |
平成23年度 | 平成24年度 | 平成25年度 | 出典 |
0 | 49 | 0 | 第2章 電波利用システムごとの調査結果(免許不要局)[47] |
平成26年度 | 平成27年度 | 平成28年度 | 出典 |
0 | 0 | 0 | 第2章 電波利用システムごとの調査結果(免許不要局)[48] |
平成29年度 | 平成30年度 | 令和元年度 | 出典 |
639 | 566 | 651 | 第2章 電波利用システムごとの調査結果(免許不要局)[50] |
令和2年度 | 令和3年度 | 出典 | |
0 | 0 | 第2章 電波利用システムごとの調査結果(免許不要局)[51] |
特定小電力無線局で廃止されたものについて廃止時点の情報を参考として掲げる。
ミリ波画像伝送用及びミリ波データ伝送用特定小電力無線局を参照
電波型式 | 周波数 | 空中線電力 | 占有周波数帯幅の許容値 | 通信方式 |
---|---|---|---|---|
規定なし | 954.2-957.4MHz(200kHz間隔) (同時使用単位チャネル数1) 954.3-957.3MHz(200kHz間隔) |
0.01W以下 | 200kHz以下 | 単向通信方式 単信方式 複信方式 半複信方式 同報通信方式 |
951-954MHz(200kHz間隔) (同時使用単位チャネル数1) 951.1-954.1MHz(200kHz間隔) |
0.001W以下 | |||
954.3-957.3MHz(200kHz間隔) (同時使用単位チャネル数2) 954.4-957.2MHz(200kHz間隔) |
0.01W以下 | 200kHzを超え 400kHz以下 | ||
951.1-954.1MHz(200kHz間隔) (同時使用単位チャネル数2) 951.2-954.2MHz(200kHz間隔) |
0.001W以下 | |||
954.4-957.2MHz(200kHz間隔) (同時使用単位チャネル数3) 954.5-957.1MHz(200kHz間隔) |
0.01W以下 | 400kHzを超え 600kHz以下 | ||
951.2-954.2MHz(200kHz間隔) (同時使用単位チャネル数3) 951.3-954.3MHz(200kHz間隔) |
0.001W以下 | |||
954.5-957.1MHz(200kHz間隔) (同時使用単位チャネル数4) 954.6-957MHz(200kHz間隔) |
0.01W以下 | 600kHzを超え 800kHz以下 | ||
951.3-954.3MHz(200kHz間隔) (同時使用単位チャネル数4) 951.4-954.4MHz(200kHz間隔) |
0.001W以下 | |||
954.6-957MHz(200kHz間隔) | 0.01W以下 | 800kHzを超え 1MHz以下 | ||
951.4-954.4MHz(200kHz間隔) | 0.001W以下 | |||
ARIB STD-T96 特定小電力無線局950MHz帯テレメータ用、テレコントロール用及びデータ伝送用無線設備(廃止済み)[57] |
920MHz帯へ移行を促進する為、新たにこの周波数帯を携帯電話業務に使用するソフトバンク(旧称ソフトバンクモバイル)が期限内に無線機を取り替える費用を負担する「終了促進措置」を実施していた[58]。
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