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日産自動車のセダン型乗用車 ウィキペディアから
ティアナ(TEANA[注釈 1])は、日産自動車が製造・発売していた高級大型セダン。日本向けモデルの生産は日産自動車九州(所在地・福岡県京都郡苅田町)が担当していた。
2003年(平成15年)2月3日に登場した高級大型セダン。日産の(特にアジア・オセアニア圏における)世界戦略車としての使命を与えられているため、セフィーロ同様世界各国で販売されている。日本のほか中国、タイ、台湾、インドなどでは「ティアナ」、香港、シンガポールなどでは「セフィーロ」(初代のみ。2代目以降はティアナに変更)、またオーストラリアとニュージーランドではJ31とJ32型が「マキシマ」、L33型が「アルティマ」と仕向け地により異なるネーミングで販売されている。また、韓国のルノーサムスンでは初代が「SM7」「SM5」として同社釜山工場でライセンス生産された。
当初、国内仕様を含めその多くは基本的に日産九州工場で行われていたが、その後徐々に海外生産分が増え、2016年(平成28年)10月現在において台湾(裕隆日産汽車)やイラン(パルス・ホドロ)ではJ32型が継続生産・販売され、中華人民共和国(東風汽車有限公司)、タイ(タイ日産)ではL33型が生産されていた。尚、香港/マカオ分やオセアニア分はタイからの輸入である。また、2代目・J32型はロシア(日産ロシア製造会社)でも製造されていた。
初代は割安な価格や後述の特徴などもあって、日本のみならず世界各地で販売された。ただし欧州では販売されておらず、米国では同じプラットフォームを使用したアルティマ(のちに、L33型としてティアナと合流)やマキシマが販売されている。
日産・ティアナ(初代) J31/PJ31/TNJ31型 | |
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前期型(2003年2月-2005年12月) | |
後期型(2005年12月-2008年6月) | |
室内 | |
概要 | |
別名 |
日産・マキシマ(6代目) ルノーサムスン・SM5 ルノーサムスン・SM7 |
販売期間 | 2003年 - 2008年 |
ボディ | |
乗車定員 | 5人 |
ボディタイプ | 4ドア セダン |
エンジン位置 | フロント |
駆動方式 | 前輪駆動 / 四輪駆動 |
プラットフォーム | FF-Lプラットフォーム |
パワートレイン | |
エンジン |
VQ35DE 3.5L V6 231ps VQ23DE 2.3L V6 173ps QR25DE 2.5L 直4 160ps QR20DE 2L 直4(日本国外向け) |
変速機 |
エクストロニックCVT-M6 4速AT (E-ATx) |
サスペンション | |
前 | 独立懸架ストラット式 |
後 | 独立懸架マルチリンク式 |
車両寸法 | |
ホイールベース | 2,775mm |
全長 |
4,770mm(前期) 4,800 - 4,850mm(後期) |
全幅 | 1,765mm |
全高 | 1,475 / 1,495mm |
車両重量 | 1,460 - 1,540kg |
系譜 | |
先代 |
日産・ローレル 日産・セフィーロ |
2003年2月3日、ローレル、セフィーロのマーケットを継承するモデルとして登場。型式は3代目マキシマ(J30)を受け継ぐJ31が与えられた[1]。キャッチコピーは「クルマにモダンリビングの考え方。」、SHIFT_ワードは「SHIFT_interior」[注釈 2]。
キャッチコピーの通り、モダニズムの思想によるデザインを取り入れたインテリアが特徴で、オットマンシートが装備された。日本国内の年間目標販売台数は2万5,000台。価格もこのクラスとしては比較的廉価であった。日本国内のみならず、アジア・オセアニア地域を中心に世界40カ国以上で販売され年間目標は10万台。最終的に世界でトータルで40万台近くを売り上げ、そのうちの16万台がメインマーケットの中国市場で販売された。
アッパーミドルクラスに属する在来モデルを俯瞰すると、セフィーロは広くて実用的だったが高級感がなく、ローレルは高級感はあったが室内が狭かったため、これら2車に代わる高級セダンという位置づけで開発された[2]。
前身のひとつであるセフィーロ同様に日産のFFセダンとしては最上位の位置づけではあるが、ヘッドライトやテールライト、フロントグリルを大作りとしながらも、安易な威圧志向を抑えたシンプルなモダンデザインに徹しており、実際のサイズ以上に大きく見え、かつ洗練された印象のスタイルとなった。
安全性についても全車にEBDつきABS、前席SRSエアバッグ、サイドエアバッグ、前席アクティブヘッドレスト等を標準装備としたほか、オプションでカーテンシールドエアバッグ、VDC(3.5Lは標準装備)、キセノンヘッドランプを採用。また、日産のセダンでは初めて「インテリジェントキー」を設定した。
V6 2.3Lの「VQ23DE」エンジン搭載車は、セフィーロで登場以来評価の高いV型6気筒・VQエンジンを採用しながらも、直列4気筒エンジン搭載が一般的なライバル車と同等の価格設定とされたことが強みであった。なおかつ、この2.3Lエンジンについては量販モデルとしての位置付けからレギュラーガソリン仕様となっていたことも特徴である。一方、上級志向のオーナー向けに強大なトルクとパワーが特徴で、Z33型フェアレディZと同型の3.5L「VQ35DE」エンジンを搭載したモデル(型式:PJ31)が用意された。なお、ティアナ用のVQ35DEは最大トルクこそ34.0kgmと、フェアレディZのそれより3.0kgm小さいが、発生回転数は2,000rpm低い2,800rpmである。このほか、積雪地等の需要に配慮した4輪駆動モデル(型式:TNJ31)[注釈 3]も用意されたが、4輪駆動モデルはスペースとパワートレーンの制約、そして価格の面でV6ではなく2.5L・4気筒の「QR25DE」を採用することになった。また、日本国外市場では2L・4気筒の廉価モデルも設定された。トランスミッションは6速マニュアルモード付きCVT「エクストロニックCVT-M6」(3.5Lエンジン)または電子制御4速オートマチック「E-ATx」(2.3/2.5Lエンジン)を採用。セフィーロに存在したMTの設定はなかった[注釈 4]。
この車のコンセプトとなった「モダンリビングコンセプト」は後に発売されるティーダや2代目ブルーバードシルフィに継承された。特にブルーバードシルフィは、文字どおり「コンパクト・ティアナ」とでも称すべきデザインモチーフが全体に用いられている。
警察の機動捜査用覆面パトカーや一部県警の高速パトカー、警護車としても導入されている[3]。
日産・ティアナ(2代目) J32/PJ32/TNJ32型 | |
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後期型 フロント | |
後期型 リア | |
後期型 室内 | |
概要 | |
別名 |
日産・マキシマ(7代目) 日産・アルティマ(4代目) |
販売期間 | 2008年 - 2018年 |
ボディ | |
乗車定員 | 5人 |
ボディタイプ | 4ドア セダン |
エンジン位置 | フロント |
駆動方式 | 前輪駆動 / 四輪駆動 |
プラットフォーム | Dプラットフォーム |
パワートレイン | |
エンジン |
VQ35DE 3.5L V6 VQ25DE 2.5L V6 QR25DE 2.5L 直4 |
変速機 |
エクストロニックCVT-M6 エクストロニックCVT |
サスペンション | |
前 | 独立懸架ストラット式 |
後 | 独立懸架マルチリンク式 |
車両寸法 | |
ホイールベース | 2,775mm |
全長 | 4,850mm |
全幅 | 1,795mm |
全高 | 1,475/1,500mm |
車両重量 | 1,480-1,570kg |
プラットフォームをアルティマやマキシマなどと共通のDプラットフォームに変更し、足回りについては、リバウンドスプリング内蔵ショックアブソーバーを取り付けた新開発のフロントストラットサスペンションとリアマルチリンクサスペンションにより、先代よりも衝撃吸収性や静粛性を高め、優れた乗り味を実現した。また、Dプラットフォームの採用によりエンジン搭載位置を30mm下げることで、トルクステアを完全に解消した[4]。
特に旧モデルと比較した場合、フロント横曲げ剛性が85%、捩り剛性が40%向上し、セダンとしては世界的に見てもトップレベルの剛性を実現した[5]。さらに、静粛性についてはボディの気密性を向上することにより、先代モデルから室内騒音の2dB以上の低減を実現した[4]。さらに、ドアミラー周辺の風切り音の小ささについてはクラストップとした[5]。
トランスミッションは全車新開発のアダプティブコントロールつきのエクストロニックCVT[注釈 6]に進化し、先代ではVQ23DE型エンジンが搭載されていたが、新型では排気量アップされたVQ25DE型(185ps/23.7kg·m)が搭載されている。エンジン形式はA32型セフィーロに搭載されていたものと同じであるが、基本設計以外は新設計となっている[4]。新型のVQ25DEエンジンは、先代のVQ23DEエンジンと同様に使用燃料をレギュラーガソリンとすることで経済性にも配慮されている。4速ATが採用されていた先代J31型2,300ccと比較して、新型となったJ32型2,500ccではエクストロニックCVTを採用しており、動力性能の向上と実用燃費の向上が図られている。
初代ではDVD方式が採用されていたナビゲーションシステムは、新型ではHDD方式が採用されており、加えてメーカーオプションでBOSEサラウンドサウンドシステムも設定された。また、先代では日本市場向けはメーカーオプションも含めサンルーフが用意されなかったが、今回は大型のスタイリッシュガラスサンルーフが用意された[注釈 7]。機構としては前・後席それぞれの天井部分に(中央に向かって)電動で開閉できるシェードつきの空間があり、その上部に前後2分割された大型ガラスルーフが搭載されているというものである。ガラスルーフのフロント部分は電動アウタースライド式のため、室内のヘッドクリアランスを損なわずにすむという利点がある。
グレード表記に関してはフルモデルチェンジを機に「JK」、「JM」から「XE」、「XL」、「XV」へと変わっている。先代で好評だったオーテックジャパン特装車の「AXIS」はこのモデルでも用意される。
プレジデント、フーガ、エクストレイルに採用されているスクラッチシールドが全ボディカラーに採用され、インテリア色もボディーカラーにかかわらずブラックとシルキーエクリュ(ベージュ系)から選択可能である。
香港仕様ではセフィーロとして販売されていたが、このモデルからは同じティアナとなった。
なお、2代目のルノーサムスンSM7(L47型)は当モデルをベースに開発されている。
日本国内仕様は2012年末で3.5Lモデルが消滅、その後は2.5Lモデルのみが販売されていた。
台湾においては、他国が製造・販売を終了した後も、2018年まで製造・販売を続けていた。
エクステリアは先代であるJ31型の良さを残しつつも、平面的であった先代型から2007年の第40回東京モーターショーに出品されたインティマをモチーフに曲線を多用したものとなった[4]。また、先代は最近の高級車としては異例とも言える威圧感の薄いフロントマスクが特徴であったが、この代でやや押し出し感を強くしているのは、中国市場などから「高級車に見えない」という声があったためという[6]。ただし、日産が中国で行った調査では「派手さ」よりも「バランスの取れた雰囲気」が好まれることが判明し、それに即した設計を行った[7]。
また、テールライトには新たにLED式のものが採用されたが、一目でティアナと分かるように、「コ」の字型のLED配列となった[7]。
インテリアについても先代の「モダンリビング」のコンセプトを踏襲しながらも、エクステリアと同様により曲面的なデザインへと変更された[4]。先代で好評だった助手席パワーオットマンも継続採用されている。また先代ではシートのデザインにより座り心地を犠牲にしていた面があったが、今回のモデルチェンジにより改善された。
ホイールベースは先代モデルと同一であるため室内空間はあまり変化していないが、フロントシート下の足入れ性の向上[8]が行われたため、居住性は向上している。また、助手席についてはオットマンの使用を前提として設計されたために広く[9]、さらに前席が大型化されたためこちらも居住性を向上した。しかしながら後席のヒップポイントを前席よりも20mm高くすることで後部座席の居住性を犠牲にすることを防いだ[5]。このモデルから車内電源は装備されなくなった。
また、前後席水平距離(タンデムディスタンス)はクラス最高とし[5]、ヘッドルームについてはフロント40mm、リア10mmの向上が図られた[7]。
日産・ティアナ(3代目) L33型 | |
---|---|
フロント | |
リア | |
室内 | |
概要 | |
別名 | 北米 : 日産・アルティマ(5代目) |
製造国 |
日本 中国 タイ |
販売期間 |
海外:2013年3月 - 日本:2014年2月5日 - 2020年7月 (発表:2014年1月20日) |
ボディ | |
乗車定員 | 5名 |
ボディタイプ | 4ドアセダン |
エンジン位置 | フロント |
駆動方式 | 前輪駆動 |
パワートレイン | |
エンジン |
QR25DE型 2,488cc 直列4気筒DOHC |
最高出力 | 127kW(173PS)/6.000rpm |
最大トルク | 234N・m(23.9kgf・m)/4,000rpm |
変速機 | エクストロニックCVT |
サスペンション | |
前 | 独立懸架ストラット式 |
後 | 独立懸架マルチリンク式 |
車両寸法 | |
ホイールベース | 2,775mm |
全長 | 4,880mm |
全幅 | 1,830mm |
全高 | 1,470mm |
車両重量 | 1,460kg - 1,480kg |
その他 | |
ブレーキ |
前:ベンチレーテッドディスク式 後:ディスク式 |
3代目は初代が掲げた「モダンリビング」、2代目が打ち出した「OMOTENASHI」という2つのコンセプトに一層の磨きをかけ、さらに思いのまま走ることのできる愉しさ、“走る快適性”を加えた。アルティマとは姉妹車で、細部のデザインが異なるもののボディを共有化することでコスト削減を図ると同時に、型式もアルティマと同じL33型に編入されている。新設計のリア・マルチリンク・サスペンションには世界初のコネクトブッシュを新採用し、高い操縦安定性を実現している。
トランスミッションは全車にエクストロニックCVTを採用。エンジンは、直列4気筒・2.5LのQR25DEのみを設定。従来型で設定されていたV型6気筒・VQエンジンや4輪駆動車は設定されていない。エンジンやCVTの改良によって加速性能と燃費性能を両立するとともに、オルタネーター回生制御や電動油圧パワーステアリングの採用などによって燃費を向上し、日本向けに関しては全車で平成27年度燃費基準を達成している。
日本向けのグレード体系は先代の2.5L車のグレード体系を踏襲して上から「XV」・「XL」・「XE」となり、ナビ・オーディオシステムは全車オーディオレスが標準となる。また、安全装備を強化し、MOD(移動物検知)機能付アラウンドビューモニター、LDW(車線逸脱警報)、BSW(後側方車両検知警報)を採用し、NissanConnect ナビゲーションシステム、クルーズコントロール、6スピーカー(「XE」のみ)とのセットオプションとして全車に設定した。その他のメーカーオプションはXEを除きサンルーフ(当車は「ガラスルーフ」と称される)がオプションで設定されている。2016年4月のグレード体系変更により、「XL」にセットオプションを標準装備した「XLナビAVMパッケージ」を追加。「XV」はセットオプションを標準装備化して「XVナビAVMパッケージ」に改名した。
中国仕様については、2013年11月より先代同様に内外装のクオリティを引き上げた上級仕様「天籁公爵(ティアナ・セドリック)」が設定される。エンジンは先代で設定されていたVQ35DEとVQ25DEが廃止され、代わって4気筒・2.5LのQR25DEのみの設定となった。今回はノーマル(全長:4,868mm)比でホイールベースが125mm、前後バンパーが計10mm延長され、全長が5,003mmとなっている。ホイールベース延長分はそのまま後席空間に充てられる。
初代から継承されてきた「6ライトウインドウ」は健在。姉妹車のアルティマとの相違点は、メッキ加飾が施された専用フロントグリル、専用コンビネーションライトなど。
ボディカラーには流れ落ちる滝のような力強さと神秘的な色をイメージした新色の「ウォーターフォールブルー」を含む6色を設定し、先代同様、全色にスクラッチシールドが採用されている。
インテリアは、初代からの「おもてなし」コンセプトを継承し、長時間走行時の疲労を最小化するスパイナルサポートシートを採用。後席トランクスルーは日本向けセダンとしてはA33セフィーロ以来の6:4分割可倒式が採用されているが、中国仕様のみが防犯性の都合からセンターアームレストスルーのみとなる。
「ティアナ」はネイティブ・アメリカンの言葉で「夜明け」を意味する。また、中国仕様車の漢字表記である「天籟」は「大自然の息吹」、「天からの声」を表す[4]。
中国市場専売のロングホイールベース版に付くサブネーム「セドリック」は同社が販売していた同名の高級車に因む。
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