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岩波講座日本歴史(いわなみこうざにほんれきし)は、岩波書店が刊行する歴史学(日本史学)に関する叢書。原始・古代から現代にいたる日本の全歴史をカバーし、岩波講座シリーズの一つをなしている。戦前以来、同名の叢書が4回、また同様の趣旨にもとづく『岩波講座日本通史』が1回、刊行されている。これは岩波講座としては、最多のシリーズ刊行である。
岩波講座日本歴史 | ||
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発行日 |
第1次シリーズ:1933 - 35年 第2次シリーズ:1962 - 64年 第3次シリーズ:1975 - 77年 第4次シリーズ:1993 - 97年 第5次シリーズ:2013 - 15年 | |
発行元 | 岩波書店 | |
ジャンル | 歴史学(日本史) | |
言語 | 日本語 | |
ウィキポータル 歴史学 | ||
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多数の研究者が書き下ろした専門的な内容の論文を時代別・テーマ別に並べて各巻を構成し、全体で日本の原始・古代から現代までをカバーする形式の、いわゆる「講座もの」の叢書である。編集委員会が時代およびテーマを設定して各執筆者に振り分け、出来上がった原稿をチェックして刊行される。一般向けの啓蒙書(全体的な概説や通史)というよりは、大学生以上の専門的歴史研究者や高等学校などの歴史担当教員を読者として想定した、各時代の個別のテーマに関する概説的論文が中心となって収録されている。
いずれのシリーズでも「別巻」(あるいは別編・参考編)が置かれ、現状を含む研究史(史学史)・史料論・研究方法論など、専門家に資する内容となっている。そのため、各時期における日本の歴史学研究の研究状況および研究水準が示されていると言える。また、この講座に収められた論考が、その後、その著者の著作の部分として刊行されることもある(75年版の講座に「中世都市論」を執筆した網野善彦が、その論考をのちに単行本『日本中世都市の世界』に収めたのは、その一例である)。
編集・印刷が完了した巻から順次刊行を行うので、必ずしも各巻の巻数が刊行された順とはならない。戦後に刊行された第2次シリーズ以降では、月1回のペースで刊行(配本)を行ない、著名な研究者・文化人等が書いた小文を収めた別刷りである月報を各巻の付録としている。「月報」は各巻の刊行順に番号を付けている。
岩波講座第10次シリーズとして企画され、国史研究会の編集で1933年から1935年にかけて刊行された。全10巻(総説・本編・別編・参考編)および別巻からなる[1]が、各巻は著者別の冊子に分かれており、合計で129分冊である。
1962年4月から1964年2月にかけて刊行された。全23巻(うち別巻2)からなる。各時代の最初の巻の巻頭論文では、総論となる「序説」が付されて編纂委員が執筆している。石母田正「古代史序説」、林屋辰三郎「中世史序説」、奈良本辰也「近世史序説」、遠山茂樹「近代史序説」、井上清「現代史序説」。また、各時代の最後の巻の最終論文では、各時代の研究状況の解説論文が付されている。八木充・宮本救・阿部猛・家永三郎「古代史研究解説」、新田英治・百瀬今朝雄・赤井達郎「中世史研究解説」、金井圓・逆井孝仁・奈良本辰也「近世史研究解説」、石塚裕道・加藤幸三郎「近代史研究解説」、犬丸義一「現代史研究解説」。
時代区分としては、戦後日本の歴史学において定着した原始・古代・中世・近世・近代・現代を用いている。原始・古代1~4巻で旧石器時代から院政期(~11世紀)、中世1~4巻で平氏政権期から戦国期(12~16世紀)、近世1~5巻で織豊期から天保期(16世紀後半~19世紀前半)、近代1~4巻で開国から日清戦争期(1850~1890年代)、現代1~4巻で日露戦争期から第二次世界大戦後まで(1900~50年代)となっている。特徴的なのは、日本における帝国主義=独占資本主義の成立をもって近代と現代の区分を行っている点である。
1975年5月から1977年6月にかけて刊行された。本編23巻および別巻3からなる。各時代の最初の巻の巻頭論文では、総論となる「序説」が付されて編集委員が執筆している。直木孝次郎「原始・古代史序説」、黒田俊雄「中世史序説」、尾藤正英「近世史序説」、大石嘉一郎「近代史序説」、藤原彰「現代史序説」。
時代区分としては、原始・古代1~4巻で旧石器時代から院政期(~11世紀)、中世1~4巻で鎌倉幕府成立期から戦国期(12~16世紀)、近世1~5巻で織豊期から幕末維新期(16世紀後半~19世紀半ば)、近代1~8巻で戊辰戦争期から第二次世界大戦期(1860~1940年代)、現代1~2巻で占領期から日韓条約成立まで(1945~70年)となっている。
1993年9月から1996年3月にかけて岩波講座日本通史というタイトルで刊行された。本編21巻および別巻4巻からなる。他のシリーズと異なって、本編である2~21巻において、①各時代の政治・経済・社会を総合的に概論する「通史」、②各時代の重要なテーマを取り扱う「論説」、③各時代の文化に関するテーマを取り扱う「文化論」、④各時代の特徴的なテーマを取り扱う「特論」をそれぞれ設定している。
時代区分としては、古代1~5巻で旧石器時代から摂関期(~11世紀)、中世1~4巻で院政期から戦国期(12~16世紀)、近世1~5巻で戦国期後期から天保期(16世紀後半~19世紀前半)、近代1~4巻で幕末維新期から占領期(1850~1940年代)、現代1~2巻で高度成長期以降(1950~90年代)となっている。近現代史では第3次シリーズで合わせて10巻が割かれていたのに対して、このシリーズでは6巻に縮小されている。また、アジア・太平洋戦争による敗戦をシリーズ構成上の時代区分として採用していないのも特徴である。
2013年11月から2015年2月にかけて刊行された。全22巻(うち別巻3)からなる。各時代の最初の巻の巻頭論文では、総論となる「招待」が付されて編集委員が執筆している。大津透「古代史への招待」、桜井英治「中世史への招待」、藤井譲治「近世史への招待」、吉田裕「近現代史への招待」。
時代区分としては、原始・古代1~5巻で旧石器時代から摂関期(~11世紀)、中世1~4巻で院政期から戦国期(12~16世紀)、近世1~5巻で織豊期から幕末期(16世紀後半~19世紀前半)、近現代1~5巻で戊辰戦争期から平成期まで(1860~2000年代)となっている。これまで近代史と現代史が区分されていたが、このシリーズでは「近現代史」として一体的に取扱っている。
類似の叢書(講座)としては、歴史学研究会および日本史研究会の編集によるシリーズが数次にわたって東京大学出版会から刊行されている。これらのシリーズも、岩波講座と同様に、多数の研究者が書き下ろした専門的な内容の論文が並んで日本史の全時代をカバーする形式である。
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