株式会社再春館製薬所(さいしゅんかんせいやくしょ、英語:Saishunkan Pharmaceutical Co.,Ltd.)は、熊本県上益城郡益城町に本社を置く化粧品・医薬品・医薬部外品の通信販売業の企業である。
- 社名は、江戸時代の熊本藩に建てられた医学校「再春館」に因んでいる。
- 1980年代 - 1990年代に再春館薬業や再春館製薬といった名称を用いた事もあり、提供クレジットも2つの名称が用いられていた。
- 一般的な化粧品と異なり店舗販売は行なっておらず、基本的に「テレビ通販」などに特化しており、「客が納得するまで売らない」「買うまで売らない」など独自の商売倫理に立ったCM作りで有名である。
- 蘇命湯(生薬製剤)
- プラセンタドモホルン(医薬品外用剤)
- カムカQRIII(薬用育毛剤)
テレビCM
「♪0120-444-444」のサウンドロゴによるテレビCMを下記の番組で放送しており、ナレーションは高良健吾が担当している[20]。内容はドモホルンリンクルだけでなく、企業の取り組みを紹介する内容のものもいくつか流している。
1980年代後半、『ドモホルンリンクル』のテレビCMには中村玉緒が出演していた。
2017年度からは従来のサウンドロゴをベースに「444-444」を「♪ドモホルンリンクル」というものに変更した上、インターネットでの検索を促すバージョンも放送されている。
2021年度よりロゴの一新に伴い、サウンドロゴが一新された他、インターネットでの検索もサウンドロゴでは無い別バージョンを流している。
また、熊本県内に本社を置く企業であることから、熊本県の民放テレビ各局でもCMが放送されている。但し、内容は企業の取り組みを紹介するもので、CMの最後に企業ロゴとともに申し込みの受付電話番号(フリーダイヤル)が表示されるが、前述のサウンドロゴは流れない。
特殊例
- 情報ライブ ミヤネ屋(読売テレビ制作、日本テレビ系列)
- ※完全なスポンサーではなく、ネットスポンサー明けの最初のCMとして流されている。
- ヒルナンデス!(日本テレビ系列)
- ※こちらも完全なスポンサーではないが、13時台の最初のCMとして流されている。
過去の提供番組
★は番組自体現在も継続中。
日本テレビ系列
TBS系列
フジテレビ系列
テレビ朝日系列
熊本県民テレビ
熊本朝日放送
なお、1990年代後期にテレビ東京系のシネマタウンや時代劇アワーで提供表示はないがCMを流した事がある。
ラジオCM
ラジオでは主に、痛散湯・歩みのゼリー 根のちから[21] を紹介したラジオCMが放送されている。各局の代表するパーソナリティがCMを担当しているが、その局に担当者がいない場合は、主に生島ヒロシバージョンが流れる(そうでない場合もあり)。指定第二類医薬品に区分されるため、CMの最後に使用上の注意のアナウンスが流れる。読み上げは生島及び各パーソナリティがするが、稀に女声の合成音声で読み上げられた物の場合もある。歩みのゼリー 根のちからのCMは「777♪444♪」のサウンドロゴを放送している。
この他、上記の局以外の民放AMラジオ局各局に於いても流れているが、生島以外のCMナレーターについては明らかにされていない。また立場上、局アナはCM冒頭で氏名を名乗らない。最近はTOKYO FMやα-STATION、CROSS FM、FMヨコハマなど民放FMラジオ局やラジオNIKKEIでも「痛散湯」「ドモホルンリンクル」のCMが流れるようになった。
過去の提供番組
厳密には「提供番組」に当たらないが、全日本トラック協会が長らく単独で提供していた『ドライバーズ・リクエスト』(TBSラジオが制作した平日のJRN全国ネット向け帯番組)では、生島ヒロシバージョンのスポットCMを火曜日限定で放送していた。
- 再春館レディースゴルフトーナメント(現在:ライフカードレディスゴルフトーナメント→西陣レディスクラシック→KKT杯バンテリンレディスオープン)
- サンクスイルミネーション(毎年12月に再春館ヒルトップ敷地内で行われるイルミネーションイベント)
- 2015年開催の「第22回 サンクス・イルミネーション 2015」をもって終了。
2007年5月1日、定例システムチェックを実施した際に通常を上回るアクセス数の記録を確認した。この結果、自社ウェブサイトに外部からの不正アクセスがあり、一部の顧客情報が閲覧された事が発表された[4][5][6]。これを受けてウェブサイトは同日午後10時から閉鎖し、「お知らせとお詫び」に変更された。
被害を受けたのは、顧客情報約27万人のうち14万1,483人分である。また、閲覧された内容は氏名・メールアドレス・ユーザーIDとパスワード・電話番号が閲覧されたものと説明している。
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閲覧された情報 |
閲覧された人数 |
メールアドレスのみ |
110,269人 |
メールアドレス+氏名 |
223人 (うち1人は電話番号を含む) |
メールアドレス+ユーザーIDとパスワード |
31,125人 (うち295人はメールアドレスを含まず) |
メールアドレス+氏名+ユーザーIDとパスワード |
164人 (うち2人は電話番号を含む、3人はメールアドレスを含まず) |
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なお、クレジットカード番号、口座番号、その他の情報などが閲覧されていない事が確認された。閲覧された情報を悪用される「二次被害」についてはまだ確認されていない。情報が閲覧された顧客に対し、謝罪のメールや手紙を送信した(電話番号が閲覧された人には電話でも謝罪している)。
2007年5月2日には、熊本県警に不正アクセス行為の禁止等に関する法律(不正アクセス禁止法)違反容疑などで被害届を提出。この件に関して、5月3日午後3時から本社で記者会見し、詳しい経緯を説明した。顧客情報が閲覧された時間帯(4月30日午前9時20分 - 5月1日午前10時44分)に記録された接続元の機器の場所は中国国内だったという。通常の接続数は1日約1万件であるのに対し、顧客情報が閲覧された時間帯の約25時間には約14万件もの接続があったという。
この事から、5月4日から6月末までテレビCMが公共広告機構(現在:ACジャパン)に差し替えられていた。なお、同日から数日間は番組の提供クレジットに“再春館製薬所”の文字が表示されたままとなっていた。その後、5月8日から順次、事件に関する情報などがウェブサイトに掲載された。
なお、ウェブサイトについては、事件から1か月後の6月中旬頃を目処に再開される予定だったが、6月6日より一部のページが再開。7月5日時点では、商品利用者向けコミュニティサイトを除いた他のページがすべて再開。商品利用者向けコミュニティサイトについては7月23日に再開され、これにより、すべてのサイトが再開した。
主に、天然の化粧品原料と老化のメカニズムについての学会発表を行っている。
化粧品原料においてはこれまで、チューリップ(ピンクダイヤモンド)の花びらから抽出されるエキスによるコラーゲン合成促進効果や、「芋焼酎粕」やスイス高山植物「ピンピネラ」など天然物の化粧品への利用のための研究成果などを発表している。熊本県の不知火地方でのみ採れる「不知火菊」の研究は、同社の主な研究成果の一つである。
老化のメカニズムに関しては、アンジオポエチン様因子2(Angptl2)や熱ショックタンパク質(HSP)の皮膚老化との関係およびそのメカニズムについての研究が主である。2015年には、皮膚科学分野におけるAngptl2研究および同抑制生薬に関する熊本大学との共同研究成果を発表している。
近年は、天然原料を用いた防腐剤の開発や漢方における修治を化粧品原料に応用する研究なども行っている。
- 2009年
- 富山県産のチューリップ(ピンクダイヤモンド)の花びらから抽出されるエキスによる、「皮膚細胞でのコラーゲン合成促進効果」について、「日本薬学会第129年会」にて発表。
- 熱ショックタンパク質(HSP70)による「メラニン合成の抑制作用や紫外線による損傷からの回復効果」について、熊本大学と「第15回国際光生物学国際会議(International Congress of Photobiology 2009)」にて発表。
- 2010年
- 「芋焼酎粕抽出物の抗糖化作用とメラニン抑制作用」・「スイス高山植物ピンピネラの抗酸化作用」について「日本生薬学会第57回年会」にて発表。
- 「毒性の少ないHSP70誘導生薬のスクリーニング及びメラニン産生に対する効果」について、天然物「ヤバツイ(野馬追)」、「アルニカ」が皮膚を守りながら美白作用を示すことを、熊本大学と「日本薬学会第130年会」にて発表。
- 2011年
- 「シワシミ抑制機能を有する自己回復タンパク質 熱ショックタンパク質(HSP70)」について、熊本大学と「第41回欧州研究皮膚科学会」にて発表。
- 2012年
- 熱ショックタンパク質(HSP70)の皮膚におけるシワシミ抑制機序について解析し、「紫外線に対するHSP70の効果と化粧品への応用」について「日本薬学会第132年会」にて発表。
- 熊本大学が再春館製薬所とのAngptl2を標的とした共同研究を「第30回日本美容皮膚科学会総会・学術大会」にて発表し、優秀演題賞を受賞。
- 2013年
- 「Angptl2による皮膚老化促進メカニズム」について熊本大学が再春館製薬所と「第32回美容皮膚科学会」にて発表。
- 「シワ」・「メタボリックシンドローム」は、同じタンパク質の過剰な働きが共通の原因と「第13回日本抗加齢医学会総会」において、再春館製薬所と熊本大学の共同研究で発表。
- 2014年
- 「Angptl2による皮膚発がん促進メカニズムの機能」について熊本大学が再春館製薬所と「第14回日本抗加齢医学会」にて発表。[22]
- 2016年
- 「不知火菊抽出物のAngptl2発現抑制効果と老化促進因子が及ぼす肌への影響」について「日本生薬学会第63回年会」にて発表。[23]
- 2019年
- 不知火菊抽出物のメラニン合成抑制機序について解析し、「Angptl2発現を抑制する不知火菊抽出物はメラニン産生経路を抑制する」ことを「第19回日本抗加齢医学会総会」にて発表。[24]
- オタネニンジンについて蒸気処理の最適化を行い、「蒸気処理最適化による紅参エキスのメラニン産生抑制作用増大とその成分変化」について「第19回日本抗加齢医学会総会」にて発表。[25]
- コラーゲンのリサイクルに着目し、「種々の素原料を用いた大棗エキスのコラーゲン受容体Endo180産生促進作用とその活性成分」について「日本生薬学会第66回年会」にて発表。[26]
- 複数の真菌に対する天然植物の抑制効果を検討し、「真菌に対する天然防腐原料の発見と実用化に向けた検討」について「防菌防黴学会第46年次大会」にて発表。
- 不知火菊抽出物の詳細な分析を行い、「不知火菊より得られたAngptl2発現抑制成分の作用、及び、部位・種特異性」について「日本薬学会第140年会」にて発表。
- 2020年
- 一卵性双生児を被験者に実施した、肌測定と生活習慣に関するアンケート結果を解析し、「夜勤勤務、歯周病、運動習慣なし、運動歴なし、急激な体重増加(3 kg/年以上)は、肌状態を有意に悪化させる環境要因である」ことを「第20回日本抗加齢医学会総会」にて発表。
- 植物エキスによる細胞内のOPH活性を評価し、「加水分解コメヌカ抽出物による真皮細胞の酸化タンパク質分解酵素(OPH)活性化および抗カルボニル化作用」について「第20回抗加齢医学会総会」にて発表。
- 生薬基質(ハトムギ・トチュウ・ラカンカ)の複合発酵による発酵物の有用性を見出し、「生薬複合基質による麹菌Aspergillus oryzae発酵産物の有用性付与とその成分変化」について「2020年度日本フードファクター学会・日本農芸化学会西日本支部合同大会」にて発表。
- 栽培方法による植物の有用性向上のための検討として「根株養生刈り取り栽培によるピンピネラの有用性向上の検討」について「日本フードファクター学会・日本農芸化学会西日本支部 合同大会(第332回講演会)」にて発表。
- 257種の植物サンプルを評価し、米ぬか(加水分解コメヌカ抽出物)に抗カルボニル化・抗糖化の作用があり、植物エキスとして初めて、細胞内の酸化タンパク分解酵素(OPH) を活性化 することを発見し、特許出願をいたしました(特願2020-123905)。本研究の成果は、「第20回 日本抗加齢医学会総会」(2020年9月25日 - 9月27日)にて発表。
- 2021年
- 熊本県を主産地とする柑橘「パール柑」の皮から抽出したエキスに、線維芽細胞の 「遊走性活性化」作用を確認。この「コラーゲンを生成する細胞の移動」作用により、人体において“ムラの 無いコラーゲン生成”分布が期待され、シワ予防効果への応用研究に展開していけることが示唆されました。 同研究成果は、「日本生薬学会第67回年会」(2021年9月19日・9月20日)にて発表。
- 2022年
- 天然素材である乳酸菌発酵米で作られたラメラ構造を持つ乳化粒子が、”シワ改善機能”を有する有効成分をより肌の奥へ浸透させ、効果を発揮しやすい状態へ導くことを明らかにした。また同技術の応用により、その他の効果成分を必要な場所に届け、更なる効果を発揮できることが示唆された。同研究成果は、「日本薬学会第142回年会」(2022年3月25日 - 3月28日)にて発表。
- 2023年
- 紫外線照射によるピンピネラの機能性成分含有量及び抗酸化活性の増強を検討し、「ピンピネラの紫外線照射による成分変化と機能性向上」について「日本生薬学会第69回年会」(2023年9月9日・9月10日)にて発表。
- 2009年
- 2010年
- 「Prevention of UVB Radiation-induced Epidermal Damage by Expression of Heat Shock Protein 70」(Journal of biological chemistry「Suppression of Melanin Production by Expression of HSP70」(Journal of biological chemistry 2010年4月号)
- 2013年
- 「皮膚におけるアンジオポエチン様因子2の発現とシワの形成の影響」(月刊細胞 2013年9月号)
- 2014年
- 「皮膚におけるアンジオポエチン様因子2 の発現とシミの形成の可能性」(別冊BIO Clinica 皮膚における炎症性疾患)
- 2016年
- 「皮膚におけるアンジオポエチン様因子2 の発現と不知火菊抽出物のシミ形成抑制作用」(BIO Clinica 2016年2月号)
- 2018年
- 「UV-B-activated B16 melanoma cells or HaCaT keratinocytes accelerate signaling pathways associated with melanogenesis via ANGPTL 2 induction, an activity antagonized by Chrysanthemum extract」(Experimental Dermatology 2018年12月号)
- 2020年
- 「メラニン産生におけるアンジオポエチン様因子2の役割と不知火菊抽出物の抑制機構」(フレグランスジャーナル 2020年2月号)[28]
- 2022年
- 「天然素材を用いたラメラ構造を有する乳化製剤による機能性成分の皮膚浸透性への影響」(フレグランスジャーナル 2022年6月号)[29]
- 2012年:熱ショックタンパク質誘導剤、およびこれを含む皮膚用外用剤、食品、並びに、熱ショックタンパク質誘導剤の製造方法(特許番号:第5080065号)
- 2015年:熱ショックタンパク質の発現誘導剤(特許番号:第5697879号)
- 2016年:ピンピネラサキシフレイジ抽出物(特許番号:第5890955号)
- 2017年:皮膚外用剤(特許番号:第6166506号)
- 2019年:不知火菊抽出物を含む抗皮膚老化剤(特許番号:第6490342号)
- 2023年:Angptl2阻害剤及びその用途(特許番号:第7296616号)
出典
- 絶倫ゴールドやボインボインバストなどの強壮・美容関係の商品を扱っている「再春館薬品」という会社があるが、関係はまったくない。
- なお、2010年3月に、再春館製薬所は再春館薬品に対し、類似商号の使用禁止などを求める訴訟を、東京地裁に起こした[注釈 2]。9月、再春館薬品が商号を変更または抹消することなどを条件に和解成立。
- 2000年には、当時熊本市帯山にあった本社社屋の窓ガラスと壁に、5月に銃弾4発、6月にも銃弾5発がそれぞれ撃ち込まれたほか、当時阿蘇郡西原村にあった阿蘇工場の窓ガラスが割られる事件が発生。のちに銃刀法違反などの疑いで暴力団「北岡会」幹部らが逮捕された[31][32][33]。
- アルコ&ピースのコントに同社のCMを基にしたネタがある。
- 2016年4月14日に発生した平成28年熊本地震で震源地にあった本社・工場が被災し10日間ほど営業を停止したが、被災後まもなく、認定NPOピースウィンズ・ジャパンに協力し、本社敷地内に災害用避難テントを張るなどの復旧支援活動を実施した。また、5月13日には熊本城に5億円の復旧支援金を寄付している。
- 自社の製造や商品の受注等で使用する電力は、ほぼ100%太陽光発電で賄っている[注釈 3]。
注釈
同社のCMでも最初に『返品の山』として取り上げているほか、当時返品された一部を本社内に展示している。
訴訟前の2009年には、楽工社から発売された「トンデモ本の世界W」にて「再春館製薬の絶倫ゴールドからベンゼンが検出された」とドリンク剤の販売元を間違えた記述が行われ、出版社が謝罪広告を掲載する事態となっている[30]。
2004年の480kW設置を皮切りに、2014年(10年後)に8.075MW(約17倍)に増力して需給率ベースでほぼ全量を賄っている。
出典
「顧客情報流出か 再春館製薬に不正接続」くまにちコム 熊本日日新聞社 2007年5月3日報道
「再春館製薬所HPに不正アクセス14万件 情報流出か」asahi.com 朝日新聞社 2007年5月3日報道
「個人情報:再春館製薬所で顧客情報14万件流出か」MSN毎日インタラクティブ 毎日新聞社 2007年5月3日報道
『読売新聞』2000年07月14日「再春館銃撃容疑で組員逮捕」
『毎日新聞』2000年10月11日「再春館製薬へ銃弾 暴力団幹部を逮捕 熊本県警」
- はねバド!:アニメ版において同社バドミントン部が取材協力として参加。また、バドミントン撮影協力として同社バドミントン部所属の仲井由希乃、小野菜保がロトスコープのモデルとして参加している。