不完全菌
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不完全菌(ふかんぜんきん、fungi imperfecti)とは、子のう菌・担子菌の仲間ではあるものの、有性生殖を営むステージが未発見であるため分類学的な位置が不詳である状態のもの及びその集合に対する呼称である。呼称の由来は、菌類の生活環において有性生殖を行わず無性生殖のみを行うステージである不完全世代(アナモルフ)のみが発見され、有性生殖も行うステージである完全世代(テレオモルフ)が不明であることによる。身近に見ることのできるカビの大部分は不完全世代の状態であり、しばしば不完全菌が含まれる。
菌類の生活環の多くは視覚的特長に乏しい菌糸体であり、生化学的手段をとらない限り、生殖器によらなければ同定は困難である。また既知の子のう菌や担子菌の不完全型と酷似していても、完全型が未知の近縁別種であったり、有性生殖能力を喪失した近縁種である可能性は棄却できない。このような理由により、完全型が発見されている菌であっても、不完全型に対しては不完全菌として与えられた名称が使われる場合も多い。例えば、完全型に対して与えられたEmericella nidulansではなく、不完全型に対して与えられたAspergillus nidulansを便宜上使用することが容認される場合が多い。