![cover image](https://wikiwandv2-19431.kxcdn.com/_next/image?url=https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/b/b8/Iron_hydroxide_precipitate_in_stream.jpg/640px-Iron_hydroxide_precipitate_in_stream.jpg&w=640&q=50)
メタゲノミクス
ウィキペディア フリーな encyclopedia
メタゲノミクス(英:Metagenomics)は、環境サンプルから直接回収されたゲノムDNAを扱う微生物学・ウイルス学の研究分野である。広義には環境ゲノミクスやエコゲノミクス、群集ゲノミクスとも呼ばれる[1]。メタゲノム解析(Metagenomic analysis)、あるいは単純にメタゲノム(Metagenome)とも呼称される。従来の微生物のゲノム解析では、単一の菌株を環境サンプルから分離培養する過程を経る必要があったが、メタゲノム解析はこの過程を経ることなく、微生物コミュニティ(細菌叢)から直接ゲノムDNAを抽出し、様々な系統由来のDNAがミックスされた状態でDNAシーケンスを行う。そのため、メタゲノム解析では従来の培養を基本とする方法では困難であった難培養・未培養系統に属する微生物のゲノム情報が入手可能である。一説には、地球上に棲息する細菌の99%以上は単独では培養できない系統であると推察されており[2]、メタゲノム解析は環境中に埋没する膨大な数の未知の細菌、未知の遺伝子を解明できる手法として期待されている。DNAシークエンシングのコストは年々安価になってきており、より大規模で詳細なメタゲノム解析研究が行われることも見込まれる[3]。狭義には、メタゲノム解析はショットガンシーケンスにより得られたゲノム全体の配列情報を解析することを指し、ターゲット遺伝子を絞りPCRを経た増幅シーケンス(16S rRNAタグシーケンスなど)とは区別されるが[4]、後者を広義のメタゲノム解析に含めて扱われることもある[5]。
![Thumb image](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/b/b8/Iron_hydroxide_precipitate_in_stream.jpg/320px-Iron_hydroxide_precipitate_in_stream.jpg)
今日では、海水や土壌、腸内や口腔といった様々な常在細菌叢、海底の鯨骨細菌群、鉱山廃水中のバイオフィルム、動植物の共生細菌、下水処理施設、南極氷床、温泉、大深層の地殻など、様々な環境を対象としたメタゲノム解析が論文として報告されている[6]。