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日本のタカラトミーにより製造販売される小さな乗りものの玩具 ウィキペディアから
トミカ(英語:Tomica)は、タカラトミー(旧・トミー)より発売・販売されているミニチュア自動車玩具である。
トミー時代からの主力商品であり、発売から長年愛されるロングセラー商品である。同社の鉄道玩具であるプラレールと組み合わせて遊べるように設計されており、プラレールと互換性を持たせた商品も発売されている。年に一度、主要都市等で開催されるイベント「トミカ博」は、「プラレール博」と共にトミー(現・タカラトミー)の重要なイベントのひとつであり、多くの来場者を集めている。
トミカが発売された1970年(昭和45年)当時、国産車のミニカーといえばダイヤペット(米沢玩具→セガトイズ→現・アガツマ)やモデルペット(アサヒ玩具)に代表される標準スケール(1/43)が中心であり、小スケールミニカーは細々と輸入される海外ブランドしか存在しなかった。この状況に目をつけ、国産車の本格的小スケールミニカーとして発売されたのがトミカである。
トミカは当時小スケールミニカーの第一人者であったレズニーの「マッチボックス」を参考としており、縮尺はまちまちで箱の大きさを統一、番号による入換制、アルミ箔を押し付けるホットスタンプと呼ばれる技法を用いたクロムメッキ風のホイール(あるいはホイールキャップ)の表現と細いタイヤ、板ばねによるサスペンション機能、そしてドアやボンネット、トランクなどの開閉アクション、これらは全て当時のマッチボックスに範を取ったものである。
トミカは発売後大成功を収め、前述のダイヤペットからも小スケールの「チェリカ」というライバル製品が発売されるほど、多大な影響を与えた。手ごろな価格と実車に忠実な造形からコレクションの対象にもなっており、現在では世界中にコレクターが存在し、絶版トミカを扱う専門ショップも全国に点在している。
トミカの名称は「トミーのミニカー」の略では無く、富山幹太郎の富が由来となっている。但し、会社名のトミーも富山姓から来ているため、「トミーのミニカー」という由来も間違いではない[1]。また、「トミーが作る車だから『トミーカー』を呼びやすく『トミカ』と名づけた」とする資料もある[2]。
箱のイメージは発売から一貫してボックスアート風イラストが使用されているが、一部の製品では製品写真や実車の画像が使われたこともある。黒箱から赤箱の日本製トミカのボックスアートは松本光正が手掛けていた[3]。2017年(平成29年)頃から現在までの一部のボックスアートは多田誠が手掛けている[4]。
1970年(昭和45年)から発売されている通常シリーズ。殆どの車種に可動アクションと、車軸にピアノ線を用いた擬似的なサスペンションが設けられていることが大きな特徴。乗用車では側面ドアやバックドア、働く車では車種に応じた可動機構がつく。
実車の大きさを問わず、統一サイズのパッケージを基準に取材・設計され、完成まで約9ヶ月以上かかる[6]が、一部の車種は販促活動の一環として、実車の発表と同時に製品化されるものもある。縮尺は各車種で異なり、乗用車は大体1/60スケール前後、それ以外は車種によって縮尺が変わり、縮尺表記が無いものもある。
当初は国産車のみだったが1976年(昭和51年)に外国車シリーズが追加(第1号車はウィネベーゴキャンピングカー)。一時期は国産車110台・外国車70台で両者合わせて180台のラインナップだったが、1980年(昭和55年) - 1982年(昭和57年)にかけて国産車80台・外国車40台の120台体制に縮小。1988年(昭和63年)に外国車シリーズ(全40台)が国産車シリーズに統合される形で廃止となり120番、120番体制となった。2009年(平成21年)1月からはトレーラーや大型建機、鉄道車両などを製品化したロングタイプトミカシリーズが通常品の続番で登場し、140番体制となり、その後2012年12月よりキャラクター・映像作品とコラボレーションしたドリームトミカが加わった。
同種の他社ミニカーとの違いとして、乗用車以外のラインナップが充実している点が挙げられる。一般的な商用車を始め、消防車、建設機械、ごみ収集車、グランドハンドリングカーといった働く車の定番から、変わったところでは船舶、ヘリコプター、農機、オートバイなどといった乗り物までラインナップされている。また、STマークの導入に伴い、安全面の観点から実車を再現しながら造形は丸みを帯びさせるようにしており、乗用車では一部の車種を除きドアミラーを省略しているのも特徴である[6]。
レーシングカーに関しては長年、長谷見昌弘のスポンサーをつとめていた関係から、彼が乗ったマシンやハセミモータースポーツのマシンを中心に製品化されていた(詳細は長谷見昌弘#トミカの項を参照)。2016年(平成28年)から新たにネッツトヨタ兵庫レーシングチームのスポンサーに就いており、86/BRZレースに出場するトヨタ・86を製品化している。
現在までに約1,000車種が製造・販売されており、メーカーによるギフトセットやアソート品、イベント記念品、企業や団体・小売店の特注品など、数多くのバリエーションが存在している。30以上の国と地域で販売されており、累計販売個数は7億台を超える。
年間で発売される車種は、現在では24台前後である。発売当初から1999年(平成11年)までは発売日が特に定められておらず、新車情報は毎年刊行されるカタログなどで告知されるのみだったが、2000年(平成12年)以降は毎月第3土曜日を「トミカの日」と制定して、通常2種の新車が必ず発売されることとなり、2022年(令和4年)11月発売分からは入れ替え商品(廃盤商品)も併記されるようになった。2003年(平成15年)6月から2006年(平成18年)3月まで、および2011年(平成23年)7月以降の新車の1台は、『初回特別仕様』と称する仕様(ボディカラーや車体形状など)違いの製品が用意されている。
当初は日本国内のみの販売だったが、1974年(昭和49年)からは「Pocket Cars」のブランド名でアメリカおよびヨーロッパへの輸出を開始、1980年代前半まで(途中から「TOMICA」の名称に変更)発売が続いた。現在は日本以外にアジア圏、ヨーロッパ、アメリカと計30カ国で発売している。2011年(平成23年)以降はアジアンカー(紅旗、ヒュンダイ・ソナタ、ダットサン・GO、ホンダ・ブリオなど)を製品化した海外専売モデルが登場しており、中国車はCN、韓国車はKR、東南アジア圏車はASというシリーズナンバーが充てられている。
2001年(平成13年)4月から2013年(平成25年)6月まで発売されたシリーズで、レギュラートミカの塗装、パーツ、タイヤ、ホイールなどをよりリアルに仕上げたもの。このため対象年齢は14歳以上となり、ディスプレイ専用モデルとなった。通常品の改装がほとんどだが、中にはこのシリーズ向けに金型を新造した車種もある。当初は国産の旧型車種だけだったが、次第に現行車や外国車、商用車などがモデル化されるようになった。2005年(平成17年)4月 - 2006年(平成18年)6月の間はSUPER GTで活躍する車種が専門的にモデル化されていた。
トミカと同様、新車発売日が制定されており、発売は通常品より1週遅れの毎月第4土曜日であった。なお、2002年(平成14年)には後述するトミカダンディの金型を流用し、塗装やパーツなどをリアルに仕上げた「トミカリミテッドSシリーズ」が発売された。
トミカリミテッドの発売以降、それまで玩具扱いされていた小スケールミニカーにも観賞用モデルが登場するようになり、その後各社から同様のミニカーが発売されるようになった。
2004年(平成16年)から販売が開始された、開閉アクションのないディスプレイ専用モデルの新シリーズ。「もしもトミカが昭和30年代に誕生していたら」というコンセプトにより、昭和30 - 40年代の旧車、そして1980年代以降のネオヒストリック車、およびトミカで製品化されなかった車種を中心とする「トミカリミテッドヴィンテージNEO」というシリーズが展開されている。
なお、このシリーズはタカラトミーではなく、トミーテックが生産・販売を担当している。
2015年(平成27年)4月から発売が開始されたシリーズ。トミカリミテッドの実質後継に当たるシリーズだが、金型は専用に新規製作されたものを使用しており、レギュラートミカと同様に番号による入れ替えも行われる。タイヤはトミカリミテッドと異なり、レギュラートミカと同様のABS樹脂を使用している。また、レギュラートミカと異なり、小パーツを取り付けて完成させる車種もある。対象年齢は14歳以上から6歳以上に引き下げられた。トミカリミテッドヴィンテージと同様、商品化される車種は旧車が中心となっており、過去にレギュラートミカで製品化された車種も本シリーズで再登場することもある。
不定期にタカラトミーモール限定品として、バリエーションモデルが登場するほか、2018年(平成30年)8月からは、一部車種で車体色違いの「発売記念仕様」が用意されており、パッケージデザインは通常品の黒から赤に変更されている。
2018年(平成30年)11月からは標準スケールの「トミカプレミアムRS」、2021年(令和元年)11月からは映像作品の車両を製品化した「トミカプレミアムアンリミテッド」がそれぞれラインナップに加わった。
1976年(昭和51年)に誕生した独立品番のシリーズで、トレーラートラックやタンクローリー、バスといった長尺の車種をメインに製品化された。1994年(平成6年)に生産中止となったが、2009年(平成21年)に通常品の続番(No.121 - )として復活している。
1972年(昭和47年)に発売された標準スケールのミニカーシリーズ。トラック、バス等も存在し、当初はスケールがまちまちだったが、1977年(昭和52年)以降1/43スケールに統一された。トミカと同様さまざまな車種がラインナップされ、スケールが拡大された分ディテールやギミックも充実していたが、1994年(平成6年)に生産中止となった。なお同ブランドは2001年(平成13年)にトミカ30周年を記念して復刻され、その前後にも何度か復刻生産をしている。
1973年(昭和48年)から発売されたシリーズ。戦闘機や旅客機などの航空機をモデル化したもの。ロッキード F-104、ダグラス DB-7ハボック、P-47Dサンダーボルト、P-51Dムスタング、ボーイング 707、ミグ21、ゼロ戦等がモデル化されていた。
2000年(平成12年)に展開されていた、1/1000スケールの旅客機のダイキャストモデル。「トミカサイズのミニチュア旅客機」というコンセプトで開発されたため、全長がトミカの箱とほぼ同じ長さであり、非常に小さい。
なお、これとスカイトミカはトミカ名義で販売されていたが、トミーの製品ではなく、香港のリーントイ社の製品をトミーが輸入販売したものである。
1973年(昭和48年)に登場したシリーズ。名称通り戦車を製品化したもので、全ての車種がHOスケール(1/87)で統一されているほか、プラモデルのように組み立てるキット版も同時展開されていた。しかし単価が高いこともあり、わずか2年ほどで生産中止となった。
手動で走らせる通常のトミカとは異なる、モーターやゼンマイなどの動力を使用し、自走する商品も存在している。いずれのブランドも動力を搭載する関係からか、通常のトミカよりも一回り大きくなっている。
2010年(平成22年)にトミカ40周年を記念して発売されたシリーズで、商品名は「手ころがし」+「エコロジー」の造語。内蔵の超小型発電ユニットにより、手で転がすとライトが点滅する仕組みとなっている。通常のトミカと同じサイズで、車種は商品の性格上緊急車両が多い。このシリーズは製造をタイで行っていた。
トミカには自ら音声を発するシリーズも存在している。いずれも通常品の流用で、以下の4シリーズと、トミカではなく基地や駅が音声を発する「αトミカ」シリーズが過去に発売されている。
トミカには情景部品のひとつとして駐車場や高速道路、フェリーといったトミカワールドシリーズが発売されている。主なシリーズ展開としては、建設・警察関係が中心である。1987年(昭和62年)には街の身近な建築物を模した「トミカタウン」シリーズもあり、交番や消防署をはじめ、ENEOS、セブン-イレブン、ミスタードーナツなど実在する企業の建物も製品化されている。
トミカヒーローシリーズは、特撮ヒーローが登場し、ヒーローたちが乗り込む車両をトミカ化するシリーズ。「世界各地で発生する災害にヒーローたちが立ち向かい、人々を救出する」というコンセプトで、作品に登場する車両が製品化されている。車種は通常品の流用が大半を占めるが、一部新規金型で製作される車種もある。
2008年4月から2010年3月まで特撮ドラマが2作品が制作・放送された。
トミカと連動する大型ビークルとプラキッズを絡めたシリーズ。主にハイパーレスキュー、ハイパーブルーポリスの2種類を中心に商品展開が行われる。2017年4月15日から、このシリーズをベースとしたテレビアニメ『トミカハイパーレスキュー ドライブヘッド 機動救急警察』がTBS系で放送された[16]。2018年からは『ドライブヘッド』シリーズ第2期として、月1回のインターネット配信が開始された。同年8月24日には劇場映画も公開された。
トミカ誕生50周年を記念したアニメシリーズ。2020年4月から2021年3月までテレビ大阪・テレビ東京系6局ネットにて放送。
2022年より展開される新規シリーズ。タイトルに「トミカヒーロー」を冠されているが前述のトミカヒーローシリーズとの繋がりはなく、同時展開される映像作品についても実写ではなくアニメーションとなっている。
2005年8月に東京駅一番街にオープンしたトミカの直営店[注釈 6]。トミカ博イベントモデルやタカラトミーモール限定品など、通常ルートでは手に入らない製品が置かれているのが特徴。トミカの他にはアパレル商品等の関連グッズやゲームコーナー、トミカ組立工場も常時設置されている。姉妹製品であるプラレールショップも併設された店もあり、現在の営業店舗は全てプラレールショップが併設されている。
東京店は2007年12月から改装工事に伴い一時休業し、2008年3月に東京キャラクターストリート内に再度オープンした(この間は『東京ドームシティ』で暫定営業していた)。2006年10月には栄のオアシス21に名古屋店が[注釈 7]、2007年7月にはなんばウォークに大阪店がオープン、2010年3月には福岡パルコに福岡店がオープンした[注釈 8]。2010年11月にコピス吉祥寺内に吉祥寺店がオープン[注釈 9]、大阪店が大丸梅田店に移転開業した。2012年5月には東京スカイツリーに開業と同時に東京スカイツリータウン・ソラマチ店が[注釈 10]、2015年8月にはランドマークプラザに横浜店[注釈 11]が開業した。日本国外では2010年9月に台湾の新光三越台北店に出店している。
また、トミカショップの名を冠さない店舗[注釈 12]もあり、2017年10月には羽田エアポート店[注釈 13]、2019年8月からは不定期店舗としてエミオ池袋店(西武池袋駅駅ナカ施設)が開業している。
現在の常設店舗は東京店、東京スカイツリータウン・ソラマチ店、大阪店のみとなる。
1970年代後半から1980年代後半にかけてトミカフェアが実施されていた。通常品の各種バリエーションを一挙に発売して販売促進を狙ったもので、購入者には販促グッズが配布されていた。対象車種はミニクーパーやスバル360などカラーバリエーションの多い乗用車やグループA、トラック、バスなど多岐に渡った。
2000年のトミカ30周年を機に毎年開催されている博覧会。主催は主に、地元の放送局が担当しており、タカラトミーは特別協力の形を取っている。この形態は同社の「プラレール博」と同様である。
毎年、ゴールデンウィークに開催される大阪で展示テーマが一新され(トミカの一部は8月に開催される東京(横浜)で新作が発売)、以降夏の東京(2015年以降は横浜)・安比高原、冬の名古屋・札幌が定期的に開催されるほか、それ以外の都市でも不定期に開催される(地域によっては展示テーマが前年のものとなることもある)。
会場の構成は大きく分けて、展示ゾーン、アトラクションゾーン、ショッピングゾーンの3つから成る。展示ゾーンでは、テーマに沿った巨大レイアウトや過去発売された数百台~数千台のトミカやテーマに沿った実車が展示されている。アトラクションゾーンでは、トミカに因んだゲームコーナーや乗り物アトラクション、トミカをその場で作る「組立工場」や「ミニミニドライバー工房」が設置されている。
有料入場者(2歳以下は入場無料)には記念品として入場記念のオリジナルトミカが渡される。当初はテーマに沿った実車だったが、2007年から2018年まではTDM(トミカドリームモータース)オリジナルデザインの車種が配布されていた。また、地域や曜日によっては下記以外の入場記念品が配布されることもあり、2008年~2010年の正月に開催されていたトミカ博横浜では横浜オリジナルモデルが配布されていた。
主にトミーがセット物に同梱したものVHSビデオと、タカラトミーが販促用に配付したDVDビデオがある。
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