ウイルス
他の生物の細胞を利用して増殖する、感染性の構造体 / ウィキペディア フリーな encyclopedia
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ウイルス(英語: virus〔ヴァイラス[3]〕, ラテン語: virus〔ウィールス[3]〕, 中国語: 病毒)は、他生物の細胞を利用して自己を複製させる、極微小な感染性の構造体で、タンパク質の殻とその内部に入っている核酸からなる。ウイルスは1930年代に電子顕微鏡が用いられるようになったことで観察が可能になり、その存在が知られるようになった。
生命の最小単位である細胞やその生体膜である細胞膜も持たないこと、小器官がないこと、自己増殖することがないことから、生物かどうかについて議論がある[4]。一般的には「ウイルスは生物ではない」とされるが、フランスの進化生物学者パトリック・フォルテールのように、生物に含める見解もある。ウイルスが宿主に感染した状態(ヴァイロセル、virocell)を本来の姿と捉えれば生物のようにふるまっていること、ミミウイルスのように多数の遺伝子を持った巨大なウイルスもあることなどを理由としている[5]。
ウイルスを生命体と見なせば、その数や多様性は地球上で最も多く(見なさない場合、個体数は微生物、種類は甲虫類が最も多い)、メタゲノム解析の実用化により様々な環境にウイルスが見つかっている。宿主に残ったウイルス由来の遺伝子が生物進化に関わったり[6]、地球の生態系や気候にも影響を与えたりしている。動物や植物のほかほぼ全ての生物に特有のウイルスが存在する[7]。ヒトを含めた動植物に感染症など疾病を引き起こすウイルスは一部であるが[8]、発見・分析されていないウイルスが野生鳥獣を宿主とするものだけで170万種あり、その半数が人獣共通感染症の病原体になるリスクがあると推計されている[9]。