動詞
さきんじる【先んじる】
- (自動詞) 他よりも先に進む。先に起こる。先んずる。
- これは謂わばメンデルだけが時代に先んじてもいたので、やむを得ないことでもあったのでしょうが、やはり彼にとっては残念な次第でもあったわけです。(石原純「グレゴール・メンデル」)〔1942年〕[1]
- 小男は目を輝かし、どうも同僚に先んじたという勝利の喜びを抑えきれずにいるようだった。(アーサー・コナン・ドイル「緋のエチュード」)〔大久保ゆう訳2014年〕[2]
- (他動詞) ある物事を、他よりも先に進める。先に起こさせる。先んずる。
- ぜひ大臣には、文科省がやっておる先ほどの新興・再興感染症研究拠点形成プログラムに参加されている学者の皆さんからも鋭意情報を得ていただいて、本当に日本が最も世界の中でこのインフルエンザ対策を先んじたと言われるように御尽力をいただきたいと思います。(阿部知子、第171回衆議院厚生労働委員会)〔2009年〕[3]
- (他動詞) ある期間分や距離の分などを先行する。先んずる。
- 周知のごとく、わが日本は、明治維新の大変革によりまして、アジアの他の国々に比し数十年を先んじて近代化の道を開き、アジアのただ一つの工業国、ただ一つの独立国たるの栄をかちえたのでございます。(帆足計、第51回衆議院本会議)〔1966年〕[4]
- 一歩を先んじよというのは、常に緊張して努力せよというのであって、その結果は必ず他に一歩を進める事となる。(相馬愛蔵「私の小売商道」)〔1952年〕[5]
活用
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各活用形の基礎的な結合例
意味 | 語形 | 結合 |
否定 | さきんじない | 未然形 + ない |
意志・勧誘 | さきんじよう | 未然形 + よう |
丁寧 | さきんじます | 連用形 + ます |
過去・完了・状態 | さきんじた | 連用形 + た |
言い切り | さきんじる | 終止形のみ |
名詞化 | さきんじること | 連体形 + こと |
仮定条件 | さきんじれば | 仮定形 + ば |
命令 | さきんじろ さきんじよ | 命令形のみ |
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用法
- 副詞的に〔他よりも先に〕の意味で、「先んじて」の形で述語を修飾するのに用いることが多い。
- 水門まで来かかると久野は「さあ水門だ」と敵に先んじて叫んだ。(久米正雄「競漕」)〔1916年〕[6]
- 世界で競争する都市においては、政府主導で、大胆な規制改革を先んじて行う。そのための国家戦略特区制度も、いよいよ動き出します。(安倍晋三、OECD閣僚理事会基調演説)〔2014年〕[7]