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『鳴門秘帖』(なるとひちょう/なるとひじょう)は、吉川英治の長編小説である。1926年8月11日から翌年10月14日まで、「大阪毎日新聞」に連載された。
鳴門秘帖 (なるとひちょう/なるとひじょう) | ||
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著者 | 吉川英治 | |
発行日 |
1927年3月10日(前編) 1933年11月(後編) | |
発行元 |
大阪毎日新聞社 東京日日新聞社 | |
ジャンル | 伝奇小説 | |
国 | 日本 | |
言語 | 日本語 | |
形態 | 単行本 | |
ページ数 | 438頁(前編) | |
公式サイト |
吉川英治歴史時代文庫 2 吉川英治歴史時代文庫 3 吉川英治歴史時代文庫 4 | |
コード |
ISBN 4-06-142005-4 ISBN 4-06-142006-2 ISBN 4-06-142007-0 ISBN 4-06-146303-9 ISBN 4-06-196502-6 ISBN 4-06-196503-4 ISBN 4-06-196504-2 | |
ウィキポータル 文学 | ||
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謎に囲まれた阿波に潜入しようとする青年隠密と、それを阻もうとする阿波藩士の戦いに、青年隠密を恋い慕う女性の恋情を組み入れたものである。
当時毎日新聞の学芸部長は、病のため薄田泣菫の代わりに、阿部眞之助が務めていた。阿部は当時「サンデー毎日」の代表作家白井喬二に目をつけ執筆を依頼しようとしたが、編集長に断られてしまう。のち白井は「報知新聞」に『富士に立つ影』を連載、これに対抗しようと考え講談社に作家の調査を依頼、そこで指名されたのが吉川英治であった。
執筆にあたり、伊上凡骨の案で阿波に興味を示し、司馬江漢の随筆『春波楼筆記』にヒントを得た作品である。蜂須賀重喜は30代で蟄居を命じられ、72歳まで生きた。作者は重喜の蟄居の裏には大きな謎があるとふみ、伝奇時代小説の伝統を踏まえつつ、宝暦事件で敗れた竹内式部、明和事件で敗れた山県大弐といった公卿の存在を鍵に、重喜が幕府転覆の黒幕であるという想像を盛り込んでいる。
読者からの人気は高く、当時の大衆小説の代表的作品となった。新聞連載中に映画化、戦後にも映像化されている。
「秘帖」の本文中のルビは「ひじょう」となっているが、「ひちょう」と呼ばれて流通している。
続篇「続鳴門秘帖」が雑誌「文芸倶楽部」に連載されたが未完に終わり、現在に至るまで単行本化されていない。
江戸時代中期、幕府打倒の陰謀が発覚した(宝暦事件)。幕府は、黒幕を阿波の徳島藩主たる蜂須賀重喜とにらみ、甲賀の隠密世阿弥を潜伏させる。しかしそれから10年、阿波は鎖国し、世阿弥は行方知れずのまま。世阿弥の仲間の中に真実を知るために阿波潜入を試みる者たちがいた。
虚無僧姿に身を包む隠密・法月弦之丞(のりづき げんのじょう)もその一人である。世阿弥の娘であるお千絵は弦之丞に想いを寄せるが、弦之丞が隠密であるため、その願いはかなわない。
女スリの見返りお綱は、意図せず俵一八郎の阿波潜入の計画を挫いてしまう。彼の意思を継いだ法月弦之丞だが、その行く手を阿波藩士らが阻もうとする。天堂一角、お十夜孫兵衛、旅川周馬らは、弦之丞を亡き者としようとし、江戸から付け狙う。反省しスリをやめた見返りお綱は、目明かしの万吉と共に江戸から法月弦之丞を追うが…。
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