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『海腹川背』(うみはらかわせ)は、1994年12月23日に日本のTNNから発売されたスーパーファミコン用横スクロールアクション、およびシリーズ名[2]。
主人公の「海腹川背」という名前の女の子を操作し、ゴムロープの先に付いた釣り用ルアーを天井や壁に引っ掛けて進み、ゴールとなるドアを目指すものである。なお主人公は説明書などで親しみを込めて[要出典]「川背さん」と“さん”付けで紹介されている。
開発はTNNが行い、ディレクターおよびプログラムはパソコン用ソフト『ユーフォリー』(1987年)を手掛けた酒井潔、音楽はスーパーファミコン用ソフト『史上最強リーグ セリエA エースストライカー』(1995年)を手掛けた中野雅仁および本山淳弘、立川伸治、キャラクター・デザインはPCエンジンSUPER CD-ROM²用ソフト『ルイン 神の遺産』(1995年)を手掛けた近藤敏信が担当している。
後にエクシングからPlayStation用ソフト『海腹川背・旬』(1997年)が発売され、以後シリーズ化された。
ニンテンドー3DS用ソフト『さよなら 海腹川背』(2013年)以前の作品には、データが存在しない欠番フィールドが存在する。この構成には、ゲームを全面クリアしてもそれが『海腹川背』のすべてではないという意が込められている[3]。なお、このゲームにエンディングデモは存在せず、クリア時のフィールド画面を背景にスタッフロールが流れるのみである。
この作品は、伸縮自在のフックつきゴムロープを使ったアクションが特徴で「ラバーリング・アクション」と銘打たれている。このルアー付きロープは十字キーとの組み合わせで8方向に投げることができ、一定の距離まで直進する。先端のルアーが何かに触れると引っ掛かって固定され、ロープを手繰り寄せたり引き伸ばしたりできる。このロープの使い方を工夫することで、従来のアクションゲームでは不可能だった様々な動きができる。たとえば、敵に引っかけ捕獲する、高く飛び上がる、広い穴を跳び越す、天井に張り付く、上の床に上がる、凄い勢いでダッシュする、など用途が広い。これらの非常に幅広いアクションにより、初心者から上級者まで楽しめる作りとなっている。このロープアクションのシステムは、カプコンのアーケードゲーム『トップシークレット』(1987年)のシステムを受け継いだものであるが、ロープの長さや振り子運動の勢いを微調整する等、より高い自由度とアクションのリアリティが実現している。
障害物や敵を除けながらドアに到達し入ると次のフィールド(面)に進め、ドアが2か所以上設置されているフィールドでは入るドアによって次のフィールドが異なる。最終ステージとなるフィールドと最終フィールドへの到達ルートは複数ある。フィールドによって難易度は様々で、中には、相当の鍛錬を積まないと到達できない上級者向けの難所もある。
リプレイ機能が搭載されており、自分のプレイデータを記録し再生モードで鑑賞できる。2作目の海腹川背・旬以降ではクリアタイムも記録され、一度でも到達したことのあるフィールド1つを選択して練習出来るプラクティス機能が追加されている。また、1/100単位で動く時計でプレイ時間が計られており、1つのフィールドをいかに早くクリアするかという点もやりこみ要素の1つとなっている。
映像外部リンク | |
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海腹川背の歴史 プロトタイプ1~2 |
本作は製品化される前に、X68000向けのプロトタイプが2つ作られた[4]。 以下、1992年3月に開発されたプロトタイプをプロトタイプ1、同年4月に開発されたプロトタイプをプロトタイプ2とする[注 1][4]。
プロトタイプ1は水源の周りに穴を掘って水を流して敵を退治する内容だった[5][4]。また、プロタイプ1では穴を掘るだけでなく、ポンプで水を放出する攻撃方法も想定していたが、導入が見送られた[5][4]。 システムが『ディグダグ』に酷似していたことに加え、動かしてみたところ水路の処理が想定以上に複雑だったことから、プロトタイプ1の製品化は見送られた[5][4]。
敵との戦闘を検証するために開発されたプロトタイプ2では、初めて敵キャラクターの姿が描かれた[5][4]。プロトタイプ2では、主人公が敵キャラクターの上にジャンプすると敵が気絶し、マップの外に投げ捨てて倒すシステムが導入された[5][4]。また、水路を作るというコンセプトはプロトタイプ1と同様だが、水路の作り方は迷路の壁を壊すという方法に変更された[5][4]。 プロトタイプ2は、プロトタイプ1より改善されたとはいえ、面白くなりそうな気配がないということで没にされた[5][4]。
最終的に、「水路を作る」という要素は製品版において排除されたものの、プロトタイプ1における遠距離の敵を倒す方法、プロトタイプ2における「敵を気絶させてマップ外に投げ捨てて倒す」という要素は製品版に受け継がれた[5][4]。
TV向けCMは発売の1ヶ月ほど前にテレビ東京系列の深夜枠等極一部で放映されたのみであり、殆ど存在は知られていない。また、それとは別に、プロモーション用のビデオもある。
作品内では、海腹川背のプレイ映像と共に、海腹川背テーマソング「藍より碧いうみ」(ゆい はやと作詞・作曲/菊池 琢己編曲/トモくん歌)が使われた。その他、無名のメーカーのゲームソフト本格参入第一弾のため、プロモーションには力が入れられており、大型玩具店等でキャラバンキャンペーンも開かれた。
本作には酒井個人が書いた裏設定が存在し、酒井潔のウェブサイト(外部リンク参照)で公開されていたが、現在は閲覧することはできない(インターネットアーカイブ等でそれらを確認することは可能)。その内容は明るいゲーム内容に反して暗いもので、救いの無い重々しい内容(特に川背さんの家族関係)となっていたが、これはあくまでキャラクターや世界観のイメージを伝えるために書かれたものに過ぎず、それがあたかも公式設定であるかのように受け取られている現状には抵抗があると酒井本人が後に述べている。
この裏設定のうち「日本全国を放浪する流しの板前」という主人公の肩書きに関してのみ、3DSで発売された『さよなら 海腹川背』において公式なキャラクター設定として紹介されている他、『海腹川背 Fresh!』では「道中で材料を拾い集めて料理を作る」などの具体的なゲーム性にも活かされている。一方、本編作品ではないが、イラスト担当の近藤敏信が代表取締役を務め酒井潔も所属するスタジオ最前線が開発したクロスオーバー作品『Blade Strangers』では川背さんの裏設定を掘り下げた物語が含まれている[6]。
評価 | ||||||||
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ゲーム誌『ファミコン通信』の「クロスレビュー」では7・7・7・7の合計28点(満40点)[7]、『ファミリーコンピュータMagazine』の読者投票による「ゲーム通信簿」での評価は以下の通り18.0点(満30点)となっている[8]。
項目 | キャラクタ | 音楽 | お買得度 | 操作性 | 熱中度 | オリジナリティ | 総合 |
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得点 | 3.2 | 2.8 | 2.8 | 3.0 | 3.0 | 3.2 | 18.0 |
シリーズ名でもある“海腹川背”は「海の魚は腹に、川の魚は背に脂がのっている」という板前用語に因んだ言葉であると本作の説明書に記載されている。
Windows用スクリーンセーバーソフトである『海腹川背さんセーバー』がフリーウェアとして、キャラクター制作者の近藤敏信の公式サイトにて公開されている。
「海腹川背」の商標権は2009年12月現在、DS版「海腹川背・旬」の著作権者の1社であるエアータッチ株式会社が所有している(登録商標日本第5163679号ほか)。以前はPS版「海腹川背・旬」のアニメーション制作会社、スタジオ・ザイン(旧同4111937号)のほかに、財団法人エヌエイチケイサービスセンター(旧同3229532号)が保有していた。それらはすべて登録が外されている。 なお2012年にキャラクターデザイン担当の近藤敏信が代表を務めるスタジオ最前線が本作に関する権利を取得している[15]。
テレビ番組『ゲームセンターCX』第31回で有野晋哉が『海腹川背』に挑戦。キャラクターデザインの近藤敏信が番組のファンで、番組宛てにイラスト入り色紙(3種類)を贈った。
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