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『ヨーン・ガブリエル・ボルクマン』(『ジョン・ガブリエル・ボルクマン』、John Gabriel Borkman)は、1896年にヘンリック・イプセンによって書かれた戯曲。イプセン晩年の作品で、イプセンの最後から2番目の作品に当たる。初演は1897年ヘルシンキのスウェーデン劇場とスオミ劇場(現在のフィンランド国立劇場)で行われた。
ヨーン・ガブリエル・ボルクマン John Gabriel Borkman | ||
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イプセンによるヨーン・ガブリエル・ボルクマン原稿表紙 | ||
著者 | ヘンリック・イプセン | |
訳者 | 森鷗外 他 | |
発行日 | 1896年 | |
ジャンル | 戯曲 | |
ウィキポータル 文学 | ||
ウィキポータル 舞台芸術 | ||
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イプセンは、実際にあった将校の横領事件と自殺未遂に着想を得、1896年夏に執筆を開始した。作品は同年12月15日には出版され、翌年1897年に上演された。作品としては観客と評論家の双方から好評であり、初版は1万5000部であった。『人形の家』以来の成功をもたらしたとされる。初演の後、フランクフルト・アム・マイン、コペンハーゲン、ストックホルム、ベルリン、ロンドンなどの各都市で公演された。
日本においては1909年11月、小山内薫、市川左團次らの自由劇場第1回公演における演目『ジョン・ガブリエル・ボルクマン』として上演された。台本は森鷗外訳[1]で、ボルクマン役を左團次、他に左團次一座の若い歌舞伎役者が出演した。以後、自由劇場は文芸協会(坪内逍遥、島村抱月ら)と並んで新劇運動の中心となった。『ボルクマン』はイプセン劇の本格的な初上演作として、日本近代演劇史に残ることとなった。
但し、当時の劇評はイプセンの意図とは正反対である。例えば岩野泡鳴は劇評で第四幕を蛇足とし、第三幕で実質のある劇として殆ど尽きているとしている。森鴎外は国民新聞紙上に翻訳と同時に『シュレンテルのボルクマン評』を掲載し、その中で『ボルクマン』を「冬季の戯曲」「衰老の戯曲」と評していることを紹介している。しかし、それにも関わらず、当時の観客の大半が『ボルクマン』を、息子エルハルトが自由を求める青年劇と受け取っていたきらいがある。こうしたイプセン戯曲の曲解は長らく続くが、1990年の原千代海によるノルウェー語からの直訳『イプセン戯曲全集』が公刊され、それに伴う忠実な解釈が行われるようになってきた。2010年の「ジョン・ガブリエルと呼ばれた男」では、さらに登場人物を4人に絞り、人生の終盤においてもまだ自分の夢を諦めない老人をテーマとした[2][3]。
人物の名称については翻訳によって表記揺れが見られる。
一介の鉱夫の子として生まれたヨーン・ガブリエル・ボルクマンは、実業家として立身出世し、銀行頭取となる。ボルクマンは国中の鉱山を発掘することで、国の産業界を掌握し栄光と権力を体現しようと野心を抱く。ボルクマンは自らが頭取を務める銀行から不正に資金を融資した。ボルクマンの不正融資を知るのは弁護士のヒンケルであったが、ヒンケルを味方につけるためヒンケルが密かに恋心を抱いていた、自分の恋人エルラを譲り、自身はエルラの双子の姉グンヒルドと愛情のない結婚をする。しかし肝心のエルラはヒンケルになびかず、ヒンケルはエルラが自分に愛情を示さないのは、昔の恋人であるボルクマンが背後にあって糸を引いていると邪推した。ヒンケルはボルクマンを不正融資を暴露し、ボルクマンは8年の実刑判決を受けた。ボルクマン刑期を終えた後、破産し零落の身を、エルラの提供した別荘に寄せ2階の一室に8年間閉じこもった生活を送っていた。グンヒルトとの夫婦仲は冷え切ったものとなっていた。また、グンヒルトとエルラ姉妹はかつてボルクマンをめぐり、そしてボルクマンの懲役に際しては、ボルクマンの息子エルハルトをエルラが引き取り養育したため、エルハルトをめぐり互いに憎悪する間柄になっていた。ボルクマンを訪ねるのはボルクマン同様に老残の下級書記フォルダルとその娘フリーダだけであった。
ある日、エルラがボルクマンの隠居を訪問する。彼女は不治の病に冒され余命幾ばくもない。エルハルトを再び自分の手元に引き取りたいと考えるが、実子エルハルトに未来を託するグンヒルトは実妹の願いを拒絶する。ボルクマンは二階の自室でフォルダルと話し、自分が後少しのところで手に入れそこなった栄光と権力をエルハルトとともに再び手に入れようという目論見を語る。しかし、エルハルト本人は、こうした老人の手前勝手な考えなどは、全く思考の枠外にあった。結局、エルハルトは年上の情人ファニー・ウィルトン夫人とともにフリーダを連れ南の国に旅立つ。失意のボルクマンは自分ひとりでも再び栄光と権力の座を目指そうと夢想する。そして8年間の時を超え、二階の部屋から、雪の戸外に出る。そしてボルクマンを追ってきたエルラと昔、二人が逢引の場とした丘の上で、夢を思いつつ心臓発作で死ぬ。エルラと二人を追ってきたグンヒルトは、ボルクマンの遺体を前に和解の握手をした。
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演劇集団 円による公演。
上演台本笹部博司、演出栗山民也。台本を書いた笹部は森鴎外訳を中心にその他の主要な訳を参考に台本を執筆。上述の通り、登場人物をボルクマン、グンヒル、エルラ姉妹、フォルダルの4人に絞った[2][3]。
イプセンを上演する会、研究公演
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