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素粒子が持つ性質の一つ ウィキペディアから
電荷(でんか、英: electric charge)は、その周辺の空間を電場(電界)に変化させる性質のことであり、粒子や物体が帯びている電気(電荷)の量の大きさでもある。電磁場から受ける作用の大きさを規定する物理量である。荷電(かでん)ともいう。計量法体系においては電気量と呼ぶ[1][2]。
電荷の量は電荷量(でんかりょう)と言い、電荷量のことを単に「電荷」と呼んだり、電荷を持つ粒子のことを電荷と呼ぶこともある。
電荷は、電磁気現象を引き起こす源である。電荷の量によって、ある物体が電磁場や他の電荷から受ける力の大きさが決まる。
電荷量は正または負の値を取りうる。電荷量が正である電荷を正電荷といい、電荷量が負である電荷を負電荷という。陽子は正電荷を持つ。電子は負電荷を持つ。中性子は電荷を持たない。正電荷を持つ粒子のことを単に正電荷と呼んだり、負電荷を持つ粒子のことを単に負電荷と呼ぶこともある。すなわち、陽子は正電荷であり、電子は負電荷である。
電子の研究を進める中で、電荷の素量(電気素量)が発見された。電気素量は記号eで表し、その値は
である。1個の電子や1個の陽子の持つ電荷量の絶対値が電気素量である。したがって、電荷量は電気素量の整数倍として表すことができる。ただし、電気素量は巨視的には非常に小さいため、巨視的な電磁気現象を扱う上で電気素量が意識されることはほとんどない。
なお、これまで電気素量の整数倍以外の電荷量は観測されていない。クォークの電荷量は(-1/3)e、(+2/3)eであると考えられているが、クォーク同士は強い力によって結び付けられているため、単独でクォークが観測されたことはない(クォークの閉じ込め)。
正電荷(を持つ粒子)同士の間には斥力(互いに遠ざけようとする力)が生じる。負電荷(を持つ粒子)同士の間にも斥力が生じる。正電荷(を持つ粒子)と負電荷(を持つ粒子)の間には引力(互いに引き付けようとする力)が働く。これらの力は、各粒子の電荷量に比例し、粒子同士の距離の2乗に反比例する。これをクーロンの法則といい、この力をクーロン力という。
物体や空間において、その中に電荷を持つ粒子が複数存在するとき, 各粒子の持つ電荷量の合計を、その物体や空間の「正味の電荷量」と呼ぶ。正電荷と負電荷が等量だけ存在するときは正味の電荷量はゼロである。この状態を中性という。正味の電荷量がゼロでないとき、つまり正電荷か負電荷のどちらかの方が多いとき、その物体や空間は帯電しているという。
単位時間当たりにある場所(もしくは面)を通過する電荷量のことを電流という。電流のSI単位はアンペア[A]である。これはSI基本単位である。電流の定義より明らかに、電荷は電流を時間で積分したものである。したがって、電荷のSI組み立て単位はアンペア・秒[A s]である。この単位をクーロン[C]という。すなわち、1[C]=1[A s]である。
電荷素量とは電荷の最小単位である。これを記号eで表すと陽子は+e 、電子は-e 、中性子は0の電荷をそれぞれ持っている。イオンを表すMg2+やOH-などはそれぞれ+2eや-eだけ帯電していることを示す。例外として素粒子であるクォークは(-1/3)eまたは(+2/3)eの電荷を持っているが、単独で取り出せないため(1/3)eは電荷素量としては扱わない。なお反粒子はその対になる粒子と正負が逆で絶対値が等しい電荷を持つ。たとえば電子の反粒子である陽電子は+eの電荷を持ち、陽子の反粒子である反陽子は-eの電荷を持つ。
単位体積あたりの電荷を電荷密度という。
すべての電荷の総量は保存するという法則。現在確認されているあらゆる反応のうち、これが破られた例はない。この意味で、電荷は素粒子が持つ最も基本的な性質の一つであると言える。
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